• TSRデータインサイト

シェアハウス問題、スルガ銀行・スマートデイズ被害弁護団が「転売業者リスト」を公表

 8月29日、シェアハウス「かぼちゃの馬車」への投資被害者らで組織される「スルガ銀行・スマートデイズ被害者同盟」と被害弁護団は都内で会見し、中間省略登記で不動産仲介や販売業者が多額のマージンを得ていたスキームを明らかにした。
 中間省略登記は不動産を転売する過程で所有権登記を一部省略する手法。地主AがBへ物件を売った上で、Cが取得する場合にBの所有権登記を省略する。
 「かぼちゃの馬車」のケースでは、(株)スマートデイズ(TSR企業コード:294730672、破産手続き中)が地主から土地を取得したのち、複数の不動産業者に転売。その後、シェアハウスオーナーに販売されていた。転売の過程で手数料などが上乗せされ、オーナーは実勢価格より高い金額で土地を取得させられていた。
 転売に関わった可能性のある業者は数十社にのぼる。東京商工リサーチ(TSR)は被害弁護団が公開した資料と独自取材を基に、これらの業者へのコンタクトを続けているが、「(物件を)紹介しただけ」と物件の売買契約を否定する業者もいる。
 判明した業者の本社所在地は東京が圧倒的に多く、弁護団が公表したリストには同一人物とみられる販売担当者が異なる業者で複数登場している。
 このスキームでシェアハウスを購入したオーナーは、仮に物件を購入と同時に売却しても実勢価格との差額はマイナスになり、融資を受けたスルガ銀行などからの借入金の全額返済はほぼ不可能だ。

(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2018年8月31日号掲載予定「SPOT情報」を再編集)

 TSR情報とは

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

破産の聘珍樓に予約 約1,000組、前払い客も ~ 横浜中華街の御三家の一角、破産の影響広がる ~

横浜中華街の御三家として知られる老舗の中華料理店である(株)聘珍樓(TSRコード: 017658390、横浜市)と関連2社が5月21日、破産開始決定を受けた。

2

  • TSRデータインサイト

警備業界は大手2社の寡占化が進む 人手不足で倒産・休廃業が過去最多

全国の主な警備会社828社の2024年の業績は、売上高が1兆9,180億円(前年比2.6%増)、最終利益は1,604億円(同15.6%増)と、堅調に推移している。 業界市場は拡大しているが、大手の寡占化が進み、中小・零細事業者は人手不足でコストが上昇し、経営環境は厳しさを増している。

3

  • TSRデータインサイト

ミュゼプラチナム、第三者破産に「積極的な対抗せず」 ~ 運営会社MPH・高橋英樹社長 単独インタビュー ~

大手脱毛サロン「ミュゼプラチナム」を運営するMPH(株)の動向が注目されている。MPHのほか2社でフランチャイズ展開を進めているが、今回の第三者破産を当事者はどう受け止めているのか。 東京商工リサーチは、MPHの高橋英樹社長と関係者に単独取材した(取材日は5月21日)。

4

  • TSRデータインサイト

2025年1-5月の「早期・希望退職」募集人数は8,711人で前年2倍に急増、相次ぐ大型募集

 2025年1月-5月15日までに「早期・希望退職募集」が判明した上場企業は19社(前年同期27社)で、前年同期より約3割(29.6%減)減少した。しかし、大手メーカーの大型募集が相次ぎ、対象人員は、8,711人(前年同期4,654人)と前年同期の約2倍(87.1%増)に急増した。

5

  • TSRデータインサイト

中小企業の賃上げ率「6%以上」は9.1% 2025年度の「賃上げ」 は企業の85%が予定

2025年度に賃上げを予定する企業は85.2%だった。東京商工リサーチが「賃上げ」に関する企業アンケート調査を開始した2016年度以降の最高を更新する見込みだ。全体で「5%以上」の賃上げを見込む企業は36.4%、中小企業で「6%以上」の賃上げを見込む企業は9.1%にとどまることがわかった。

TOPへ