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シェアハウス問題、スルガ銀行・スマートデイズ被害弁護団が「転売業者リスト」を公表

 8月29日、シェアハウス「かぼちゃの馬車」への投資被害者らで組織される「スルガ銀行・スマートデイズ被害者同盟」と被害弁護団は都内で会見し、中間省略登記で不動産仲介や販売業者が多額のマージンを得ていたスキームを明らかにした。
 中間省略登記は不動産を転売する過程で所有権登記を一部省略する手法。地主AがBへ物件を売った上で、Cが取得する場合にBの所有権登記を省略する。
 「かぼちゃの馬車」のケースでは、(株)スマートデイズ(TSR企業コード:294730672、破産手続き中)が地主から土地を取得したのち、複数の不動産業者に転売。その後、シェアハウスオーナーに販売されていた。転売の過程で手数料などが上乗せされ、オーナーは実勢価格より高い金額で土地を取得させられていた。
 転売に関わった可能性のある業者は数十社にのぼる。東京商工リサーチ(TSR)は被害弁護団が公開した資料と独自取材を基に、これらの業者へのコンタクトを続けているが、「(物件を)紹介しただけ」と物件の売買契約を否定する業者もいる。
 判明した業者の本社所在地は東京が圧倒的に多く、弁護団が公表したリストには同一人物とみられる販売担当者が異なる業者で複数登場している。
 このスキームでシェアハウスを購入したオーナーは、仮に物件を購入と同時に売却しても実勢価格との差額はマイナスになり、融資を受けたスルガ銀行などからの借入金の全額返済はほぼ不可能だ。

(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2018年8月31日号掲載予定「SPOT情報」を再編集)

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