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580億円流出のコインチェック 事業継続の意思を示すが補償や売買再開は明言避ける

 不正アクセスで仮想通貨「NEM(ネム)」が580億円流出したコインチェック(株)(TSR企業コード:294733060、渋谷区)。1月29日に金融庁から業務改善命令を受けていたが、報告期日の2月13日に改善報告書を金融庁に提出し、同日20時からコインチェック本社で大塚雄介取締役が記者会見に応じた。

会見に応じる大塚取締役

会見に応じる大塚取締役

 本社1階ロビーで記者に囲まれて開いた会見で大塚取締役は、凍結していた日本円の出金について「出金を再開し、401億円はすでに出金指示を終了した」と語った。流出したNEMの補償については、「ある程度の目処はついている」としながらも「正式な日付が決まったら報告する」と補償時期の明言を避けた。ただ、1月28日に公表したNEM保有者への日本円で約463億円の補償方針は、「変更しない」とした。補償の資金手当てをできているか問われると、「左様でございます」と明言を避けながらも資金確保をにおわせた。
 会見に和田社長が出席していないことを指摘されると、大塚取締役は「私が内容を説明する責任を持っている」と語った。また、仮想通貨を売買できず損害賠償の動きがあることについては、「確認できておらずお答えしかねる」と述べるにとどめた。破産申請の憶測が流れていることを聞かれると、「事業継続の意思がある。ある程度の見通しも立っている」と強気に答弁したが、具体的な話は示さなかった。2月13日に金融庁に提出した報告書の内容は、「(詳細は)言えないことになっている」と言及しなかった。

 会見前の15時すぎ、金融庁関係者とみられる複数名とコインチェックの顧問弁護士が本社に入ったことを、東京商工リサーチは確認している。だが、18分ほどで終了した会見に和田社長や顧問弁護士は最後まで顔を出すことはなかった。会見が終了しても本社の周囲には記者やカメラマンが多数残り、会見の消化不良ぶりが表れているようだった。

 今後、報告書の提出を受けた金融庁がどう対応するのか。被害者の会が結成される中で、補償や仮想通貨売買を再開できるのか。26万人の顧客を巻き込んだコインチェックの流出騒動は、まだ予断を許さない。

(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2018年2月15日号掲載予定「取材の周辺」を転載)

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