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2016年「一般社団法人」の新設法人調査

 2016年(1-12月)に設立された法人12万7,829社(以下、新設法人)のうち、「一般社団法人」は5,996社で、2008年の調査開始以来、8年連続で過去最多を更新した。
 2008年12月1日、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」が施行された。それまで「社団法人」は公益性が必要だったが、施行後の「一般社団法人」は公益性の有無にかかわらず、「一般社団法人」の法人格を取得できるようになった。また、事業の種類に制限はなく、設立に行政庁の許可も必要ない。任意団体や社会貢献を目的にした事業、同業者団体も「一般社団法人」として設立できる。
 一方、「一般財団法人」は設立時に300万円以上の拠出が必要で、2016年の新設法人数は321社(構成比0.2%)にとどまり、「一般社団法人」と好対照になっている。
 まだ、「一般社団法人」は公益性のイメージ先行しているが、利益を追求することに問題はなく、大まかには利益(剰余金)の分配(配当)をできない点が「株式会社」と異なる。
 「一般社団法人」は、公益性が設立要件として不要で手続きが容易になった。敷居が低くなり、法人格を持たない任意団体が信用を高めるために法人格を取得することも可能で、多くのメリットを持つだけに、今後の推移が注目される。


  • ※本調査は、東京商工リサーチの企業データベース(対象327万社)から、「一般社団法人」として2016年(1-12月)に新しく設立された法人データを抽出、分析した。
  • 一般社団法人 新設法人年間推移

構成比は年々上昇

 2016年の全国の新設法人のうち、「一般社団法人」は5,996社で、前年より8.0%(444社)増加した。増加率は下落をたどるが、2016年は「合同会社」の増加率7.8%増を0.2ポイント上回り、主な法人格別で増加率トップとなった。新設法人に占める構成比も、4.7%に上昇した。

主な法人格の前年比・構成比推移

産業別 10産業のうち8産業が増加

 産業別では、金融・保険業と運輸業を除く8産業で増加した。増加率では、農・林・漁・鉱業が前年比86.4%増でトップ。2016年の農・林・漁・鉱業の新設法人41社のうち、7割を占める29社(構成比70.7%)が農業関連で、一部は農業と福祉を連携した「一般社団法人」もみられた。次いで、小売業が33.3%増、製造業の27.3%増の順。
 構成比では、社会貢献事業などを含むサービス業他が78.1%と圧倒的だった。次いで、情報通信業の7.5%、金融・保険業の5.9%、不動産業の4.2%と続く。

産業別 一般社団法人 新設法人

業種別 医療・福祉事業が続伸

 業種別では、社会貢献や業界団体などを含む「他のサービス業」が2,186社(構成比36.4%)で最も多かった。次いで、「学術研究,専門・技術サービス業」の1,364社(同22.7%)。上位2業種で約6割を占め、3位に医療・福祉事業が入るなど、「一般社団法人」となり公益性を求められなくても、他の法人格とは一線を画す業種が活用していることがわかる。
 設立数200社以上で、増加率トップは医療,福祉事業の増加率17.0%増だった。2015年も同36.0%増と高い増加率を示しており、医療・福祉分野の市場拡大を裏付けた格好となった。

都道府県別 新設法人数は東京が最多

 都道府県別では、東京都の2,189社(前年比1.9%増、構成比36.5%)が最多。次いで、大阪府が528社(同6.9%増、同8.8%)、神奈川県が299社(同5.3%増、同4.9%)と続く。
 増加率では、有料老人ホームや保育園、福祉サービスの運営を目的する新設法人が多かった宮崎県が100.0%増でトップだった。次いで、佐賀県68.2%増、福井県63.2%増、鳥取県60.0%増、徳島県56.5%増、愛媛県50.0%増の順。
 減少率では、高知県が40.0%減でワースト。続いて、青森県33.3%減、岩手県28.6%減、島根県21.1%減、和歌山県20.6%減の順だった。


 2008年12月、公益法人の制度改革として、「社団法人」は「一般社団法人」へ変更された。「社団法人」に必要だった公益性、主務官庁の許可がなくなり、これまで法人格を持たなかった業界団体や社会貢献組織なども「一般社団法人」の法人格取得が可能で、活動の幅を広げやすくなった。
 「一般社団法人」は、利益剰余金の配当に制限はあるが、事業内容は自由で利益計上も問題ない。「一般社団法人」を大別すると、「非営利型」と「普通型」に区分され、「非営利型」は公益外の収益事業のみ課税される。「普通型」は「株式会社」などと同様にすべて課税される。
 また、公益目的に事業を行う「一般社団法人」は行政庁の認定で「公益社団法人」の法人格を得ることも可能になった。
 だが、過去の社団法人のイメージが強く、「一般社団法人」は公益性が条件で、行政庁の許可を必要と認識する人も少なくない。そのため「公益性」のイメージを悪用し、「一般社団法人」の法人格を乱用する事態も起きている。例えば、2017年3月に児童福祉法違反容疑で元代表理事が逮捕された「一般社団法人赤ちゃんの未来を救う会」は、営利目的で養子縁組を斡旋したとして摘発された。
 「一般社団法人」の法人格の要件が下がり、2016年の新設法人に占める割合は約5%に上昇した。今後も「一般社団法人」は増加が見込まれるが、同時に「一般社団法人」を隠れ蓑にした不正行為を防止するチェック機能も求められている。

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