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ゴルフスタジアム問題、「被害者を守る会」有志が破産を申し立て

 1,000名超のレッスンプロらとクレジット支払いを巡りトラブルに発展していた(株)ゴルフスタジアム(TSR企業コード:296139424、法人番号:101040185225、東京都豊島区、堀新社長、以下・ゴルフ社)が6月27日、レッスンプロなど債権者から東京地裁に破産を申し立てられた。
 今後、裁判所が堀社長などを審尋し、早ければ2週間後に破産開始決定を下す可能性も出てきた。ただ、要件を満たさない場合、破産申し立てが棄却される可能性も残している。
 トラブルの発端は、レッスンプロら向けに手掛けたホームページサービスだ。ゴルフ社がレッスンプロにスイング解析ソフトを販売、ただし広告料を支払うことで実質無料と説明されていた。ところが、今年2月末にゴルフ社から広告料支払いが止まり、購入したソフト代金のローンがそのまま残ってしまった。
 そこでレッスンプロらが結束し「ゴルフスタジアム被害者を守る会」を発足。信販会社に債務不存在などを求める裁判を起こした。

社長は事業継続に意欲を示すが

 ゴルフ社は、5月に大手通信会社が売買代金の支払いを求めた訴訟で敗訴し、4億円の支払いを命じられた。
 また、TSRが入手したゴルフ社が6月中旬に取引先へ送付した「報告」(複数)によると、「取引銀行に3月末から8月末までの借入金返済のリスケをお願いした。しかし、リスケ交渉がうまく進められず、一部口座が凍結されてしまった」、「私(堀社長)から全従業員に対して退職をお願いしている」など、経営状況の悪化を説明していた。
 こうしたなか、6月17日に東京オフィスを閉鎖し、豊島区のバーチャルオフィスへ移転している。
 「報告」では、「今後も微力ながら皆様のお力になれるよう精進して参ります」と事業継続の意欲も示していたのだが…。

破産を申し立てられる

 関係者への取材によると、破産を申し立てた債権者は未払の広告料や敗訴した大手通信会社への支払、関連会社の不透明な動きなどを総合的に判断したようだ。
 破産手続が進み、破産開始決定を受ければ裁判所が選任する破産管財人の下で、徹底的な調査に進む。
 バーチャルオフィスに移転したゴルフ社は、訪問しても不在で、「オフィスに常勤はいない」(ビル関係者)という。
 事業を大幅に縮小したゴルフ社。破産を申し立てられ、逃げ場もなくなった。堀社長はどう対応するのか。裁判所の決定までの時間は残り少ない。

ゴルフ社が送付した「報告書」

ゴルフ社が送付した「報告書」

(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2017年6月30日号に掲載予定)

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