• TSRデータインサイト

2017年4月の注目業種の倒産動向

「宿泊業」の倒産、4月は11件で前年同月より3.6倍増

 2017年4月の旅館,ホテルなどの「宿泊業」の倒産件数は11件(前年同月3件)で増加が目立った。11件の内訳をみると、設立50年以上の老舗が4件含まれ、経営不振や累積赤字から事業譲渡していた先が、ここにきて整理に踏み切ったケースが目立った。
 「宿泊業」の倒産は、2016年(1-12月)は81件(前年比4.7%減、前年85件)で、2年ぶりに前年を下回り、水準としては1998年(81件)以来18年ぶりの低水準にとどまった。しかし、2017年は、1-4月が31件(前年同期30件)と前年を上回り、事業再生の一環として別会社に事業譲渡した後に、清算するケースが多くなっていることから、今後の推移が注目される。

宿泊業の倒産 年度推移

「飲食業」の倒産、4月は61件で2カ月連続で前年同月を上回る

 2017年4月の「飲食業」の倒産件数は61件(前年同月55件)で、2カ連続で前年同月を上回った。61件の内訳をみると、居酒屋などの「酒場,ビヤホール」が11件(同7件)、「食堂,レストラン」が15件(同10件)などで増加がみられた。
 「飲食業」の倒産は、2016年(1-12月)が639件(前年比6.4%増、前年600件)で、2年ぶりに前年を上回り、全体の企業倒産が減少するなかで増勢が目を引いた。
 2017年になっても、1-4月が256件(前年同期227件)と前年を上回って推移し、増勢に拍車がかかっている、このため今後の推移を注視する必要がある。

飲食業の倒産 年度推移

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

「人材派遣業」倒産、1-3月は過去最多の29件 ~ 「円高」、「トランプ関税」でさらに増加も ~

人手不足で人材の獲得競争が厳しさを増すなか、人材派遣会社(労働者派遣業)の倒産が急増している。

2

  • TSRデータインサイト

コメ農家の倒産・休廃業が過去最多 ~ コメ作りの「あきらめ」、さらに増加も ~

コメ価格の高騰が止まらない。農水省が18日に発表した3月の米価格(相対取引価格)は2万5,876円で、1年前の約2倍の高値だ。 政府は備蓄米を放出したが、小売業者にはなかなか届かず、韓国産やアメリカ産の輸入拡大も検討されている。

3

  • TSRデータインサイト

大型連休は「博物館・美術館」がオススメ? ~ 物価高でも魅力的な入館料が追い風、業績も回復 ~

コロナ禍で打撃を受けた博物館・美術館が物価高のなかで健闘している。体験型やデジタル対応など新しい取り組みや、比較的安価な入館料で集客力を高めている。

4

  • TSRデータインサイト

次世代電池のAPB、経営騒動の舞台裏 ~ APB・大島麿礼社長 単独インタビュー ~

次世代リチウムイオン電池「全樹脂電池」の開発や製造を手がける技術系ベンチャーのAPB(株)が注目を集めている。大島麿礼社長が東京商工リサーチの単独取材に応じた(取材日は4月10日)。

5

  • TSRデータインサイト

中小企業の賃上げ率「6%以上」は9.1% 2025年度の「賃上げ」 は企業の85%が予定

2025年度に賃上げを予定する企業は85.2%だった。東京商工リサーチが「賃上げ」に関する企業アンケート調査を開始した2016年度以降の最高を更新する見込みだ。全体で「5%以上」の賃上げを見込む企業は36.4%、中小企業で「6%以上」の賃上げを見込む企業は9.1%にとどまることがわかった。