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「親和銀行・十八銀行取引企業」調査

 2月26日、福岡銀行、熊本銀行、親和銀行を傘下に持つふくおかフィナンシャルグループ(以下、ふくおかFG)と、長崎県を地盤とする地方銀行の十八銀行が経営統合に関する基本合意を締結したことを発表した。十八銀行の総資産は2兆7,689億円(2015年3月期)で、ふくおかFGを形成する福岡銀行(総資産11兆5,353億円、2015年3月期)・熊本銀行(同1兆5,538億円、同)・親和銀行(同2兆5,868億円、同)に、十八銀行を加えた総資産合計は18兆4,448億円で、コンコルディアFGを形成する横浜銀行(総資産15兆2,043億円、2015年3月期)と東日本銀行(同2兆1,045億円、同)の総資産合計17兆3,089億円を抜き、地方銀行では国内最大の総資産規模となる。
 佐世保市を地盤とする親和銀行と長崎市を地盤とする十八銀行の店舗数は合計188店舗(親和銀行88店舗、十八銀行100店舗、2015年3月末)で、重複店舗の統合も大きな課題になってくる。
 九州地区では、ふくおかFGのほか、2015年10月に鹿児島銀行と肥後銀行が経営統合し、持ち株会社の(株)九州フィナンシャルグループが誕生した。また、西日本シティ銀行は2016年10月をめどに持株会社である西日本フィナンシャルグループの設立を検討しており、地方銀行の生き残りを掛けた動きが本格化するとみられる。


  • 本調査は、東京商工リサーチの企業データベース(対象398万社)から、親和銀行・十八銀行をメーン取引としている企業を集計、分析した。メーンバンクが数行ある場合は、最上位行をメーンバンクとして集計した。

2行がメーンバンクの企業数は1万3,096社

 親和銀行をメーンバンクとする企業数は6,541社、十八銀行は6,555社で、合計1万3,096社だった。親和銀行がメーンバンクの企業は、長崎県内が最も多く(5,485社、構成比83.8%)、長崎県外は1,056社にとどまった。一方、十八銀行がメーンバンクの企業は、同じく長崎県内が最多で(6,226社、構成比94.9%)、長崎県外は329社にとどまった。2行の本店がある長崎県に本社を置く企業が両行をメーンバンクとしている企業が圧倒的に多い。

都道府県別メーン取引状況

産業別 貸出先構成には大差なし

 親和銀行がメーンバンクの6,541社の産業別内訳をみると、トップが建設業で2,296社(構成比35.1%)。次いで、飲食業や宿泊業などを含むサービス業他が1,131社(同17.2%)、小売業が1,097社(同16.7%)、卸売業697社(同10.6%)、製造業608社(同9.3%)の順。
 一方、十八銀行がメーンバンクの6,555社を産業別でみると、トップが建設業の2,038社(同31.0%)。次いで、サービス業他1,398社(同21.3%)、小売業1,135社(同17.3%)、卸売業701社(同10.6%)、製造業529社(同8.0%)と続く。
 両行とも貸出先の産業別構成で共通点が多いことがわかる。このため、両行が合併した場合、もともと地元の企業との取引は圧倒的に強いが、メーン、サブメーンの関係も多いとみられるだけに新規取引先の創出、合併後の取引先の与信格付けなど、新たな課題が浮き彫りになる可能性も出てきた。

産業別メーン取引構成比

 2月26日、ふくおかFGと十八銀行が経営統合に関する基本合意の締結を発表した。将来的には長崎に地盤を置く親和銀行と十八銀行が合併し、長崎県内で強固な経営基盤を持つ銀行が誕生する。
 今回の調査では両行ともに長崎県内を主力とし、貸出先の産業構成も似通っており、新規貸出先や従来取引先の調整など、シェアが大きくなることによる新たな課題も浮き彫りになってくる。
 2016年2月26日に総務省が公表した「2015年国勢調査人口速報集計」によると、長崎県の人口は137万7,780人で、前回調査(142万6,779人)より4万8,999人減少(3.4%減)している。人口減少は地域経済の疲弊に直結するだけに、これはどの地方でも共有の問題になっている。マイナス金利で銀行収益の圧迫も指摘されているが、地方銀行が生き残りに向けての経営地盤固めはこれからが本番を迎えることになる。

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