「東日本大震災」関連倒産 2015年累計は141件
2015年(1-12月)の「東日本大震災」関連倒産は141件(前年比19.4%減、前年175件)にとどまった。ピークだった2011年の年間544件と比べて、4分の1の規模に減少した。月次では、2015年4月以降、9カ月連続で前年同月を下回り、震災から5年を前にして収束傾向を強めている。
ただし、震災発生からの累計件数は1,683件(2015年12月31日現在)に達している。都道府県別でみると、最多は東京の511件(2015年48件)。次いで、宮城133件(同16件)、北海道82件(同1件)、神奈川71件(同5件)、福岡70件(同8件)、千葉63件(同3件)、岩手61件(同6件)、茨城60件(同9件)、群馬56件、栃木50件、静岡48件、福島45件、大阪と山形が各44件、埼玉41件と続く。直接被災地の東北6県の倒産件数は333件(構成比19.7%、2015年41件)。
「震災関連」倒産の累計1,683件を産業別でみると、最多は宿泊業・飲食店などを含むサービス業他の445件(2015年46件)。次いで、製造業が385件(同23件)、卸売業が308件(同26件)、建設業が208件(同14件)、小売業が155件(同15件)と続く。
被害型で分類すると、「間接型」1,542件(構成比91.6%)に対し、「直接型」は141件(同8.3%)だった。2015年の「直接型」は16件。
震災関連倒産は収束傾向を辿っているが、震災の影響をいまだに引きずり、業績不振から抜け出せない企業がみられ、爪あと大きさを浮き彫りにした。
震災関連の集計基準
「震災関連」の経営破綻は、原則として次の3 つのどれかに該当するものを集計している。
- 震災により施設・設備・機械等に被害を受けて経営破綻した(直接型)
- 以前から経営不振だったが、震災による間接影響を契機に経営破綻した(間接型)
- 震災の影響による経営破綻が、取引先や弁護士等への取材で確認できた(直接・間接型)
- ※集計では、すでに震災前に再建型の法的手続を申請しながら、震災による影響で再建を断念し破産手続に移行したケースなどは、倒産件数のダブルカウントになるため集計から除外している。
- ※「震災関連」の経営破綻は下記の「倒産の定義」のいずれかに該当するケースを「倒産」として集計。「事業停止」や「弁護士一任」、「破産手続き中」などの企業は、今後の展開次第で事業再開の可能性もあるため、「実質破綻」として区別した。
倒産の定義(対象:負債額1,000 万円以上の法人および個人企業)
- 会社更生法、民事再生法、破産、特別清算を裁判所に申請した企業(法的倒産)
- 手形決済などで6 カ月間に2 回の不渡りを出し、銀行取引停止処分を受けた企業(私的倒産)
- 企業が経営破綻により事業継続を断念したが、法的手続きを採らず弁護士などに事後を一任して私的整理(内整理)を明らかにした企業(私的倒産)