「肥後銀行・鹿児島銀行取引企業」調査
11月7日、地方銀行の肥後銀行と鹿児島銀行が経営統合について検討していることが明らかとなった。肥後銀行は熊本県内で、鹿児島銀行は鹿児島県内でそれぞれのトップ銀行。総資産は、肥後銀行が4兆4,983億円(連結)、鹿児島銀行が3兆8,899億円(同)で、両行合計では8兆3,883億円となり、九州では、ふくおかフィナンシャルグループ(親和銀行、福岡銀行、熊本銀行、総資産額14兆1,259億円)に次ぐ総資産規模となる。店舗数は両行で278店舗(2014年3月31日現在)。横浜銀行と東日本銀行の経営統合に次ぐ地銀再編の動きが、今後、加速する可能性がある。
- ※本調査は、東京商工リサーチの企業データベース(対象266万社)から、肥後銀行・鹿児島銀行をメーン取引としている企業を集計、分析したほか、2014年3月期単独決算ベースで両行の「預証率」、「預貸率」、「リスク管理債権状況」を調べた。なお、取材が可能だった企業をデータベース化しているため、実数とは異なる。また、メーンバンクが数行ある場合は、最上位行をメーンバンクとして集計している。
メーンバンクとする企業は2万985社
肥後銀行をメーンバンクとする企業数は1万1,413社、鹿児島銀行は9,572社で、合計2万985社。
肥後銀行をメーンバンクとする企業は、熊本県内が最も多く(1万1,185社、構成比98.0%)、鹿児島県内の企業は18社(構成比0.16%)にとどまる。一方、鹿児島銀行をメーンバンクとする企業は、鹿児島県内が最多で(9,032社、構成比94.3%)、熊本県内では15社(構成比0.1%)にとどまる。両行は南九州を地盤とする地方銀行だが、お互いの取引先が重複する可能性は低く、九州地区ではふくおかフィナンシャルグループに対抗できる体制を目指すものとみられる。
産業別 貸出先構成は相似
肥後銀行をメーンバンクとしている全国の企業1万1,413社の産業別では、最多が建設業の4,154社(構成比36.4%)と約4割を占めた。次いで、飲食業や宿泊業などを含むサービス業他が2,354社(同20.6%)、小売業1,646社(同14.4%)、卸売業1,096社(同9.5%)、製造業942社(同8.2%)の順。
一方、鹿児島銀行の全国の企業9,572社の産業別では、最多が建設業の3,320社(同34.6%)、次いでサービス業他2,056社(同21.4%)、小売業1,326社(同13.8%)、卸売業865社(同9.0%)、製造業854社(同8.9%)と続く。
両行とも貸出先の産業別構成は似通っており、効率の良い経営が期待できる。
横浜銀行と東日本銀行が経営統合の方向で最終調整に入っていることが報じられた直後、肥後銀行と鹿児島銀行の経営統合への検討が明らかになった。今回は肥後銀行、鹿児島銀行ともに地域を代表する県内のトップ銀行同士の経営統合に乗り出した初めての動きとなった。TSRの調査では、両行をメーンバンクとする企業数は2万985社にのぼり、経営統合の進捗状況に大きな注目が集まる。今後、地方再生が重要な政策課題となっている中、他の地域でも地銀の再編を通じた地域経済の立て直しの方向として波及しそうだ。