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地方公共団体向け貸出金  8年連続増加

銀行116行の2013年3月期連結決算ベースの地方公共団体向け貸出しは、全体の7割の銀行で貸出金残高を増やし、2005年の調査開始以来、8年連続で前年同期を上回った。地方公共団体向け貸出しの増加は、銀行のリスク回避傾向に変化がないことを映し出した。

  • 本調査は、銀行116行を対象に2013年3月期連結決算ベースの地方公共団体向け国内貸出金残高を調べ、前年同期と比較した。なお、三菱UFJ、三井住友、みずほの信託銀行3行、りそな、沖縄銀行は信託勘定を含む。傘下の銀行が連結子会社となっている場合や単体データのみ公表の銀行(2005年3月期以降に連結決算を作成した銀行を含む)は、単独決算の業種別貸出状況を比較した。

地方公共団体向け貸出金残高 前年同期比7.0%増

銀行116行の2013年3月期連結決算ベースの地方公共団体向け貸出金残高は、25兆5,563億900万円(前年同期比1兆6,747億5,200万円増、7.0%増)だった。貸出金残高が前年同期を上回ったのは87行(構成比75.0%、前年同期74行)だった。地方公共団体向け貸出金残高は、調査開始の2005年3月期以来、8年連続で前年同期を上回った。
地方公共団体向け貸出金残高トップは、北洋銀行(単体)の1兆2,961億3,600万円だった。次いで、みずほ銀行1兆772億800万円、三井住友銀行(単体、銀行勘定)9,922億3,300万円、北陸銀行9,738億9,800万円、三菱東京UFJ銀行(単体)8,587億4,100万円、福岡銀行(単体)8,281億4,400万円の順。貸出金残高5,000億円以上は9行(前年同期9行)で、前年同期と同数だった。

特例措置が資金需要を加速

地方公共団体向け貸出の増加要因には、国が実施した「公的資金の補償金免除繰上償還制度」が背景にある。この制度は一定の条件を満たす地方公共団体を対象に、行政改革を条件に高利(5%以上)の公的資金を繰上償還する場合、通常は将来利子相当額を補償金として支払う必要があったが、2007年度から2009年度までの3年間に限りこれを特例措置として免除された。この結果、民間金融機関から低利資金を借り入れ繰上償還する地方公共団体が続出した。特例措置は、深刻な地域経済の低迷と大幅な税収減という状況を踏まえ、さらに3年間(2010年度~2012年度)延長された。

増加額100億円以上が52行

前年同期より貸出金残高が増加した87行のうち、増加額トップは北洋銀行(単体)の1,487億400万円増だった。次いで、北陸銀行1,236億7,600万円増、近畿大阪銀行(単体、国・地方公共団体)1,121億9,400万円増と続く。増加額100億円以上は52行(前年同期44行)で、前年同期から8行増加した。また、貸出金残高の増加率10%以上は41行(同32行)で、前年同期を9行上回った。
一方、前年同期より貸出金残高が減少したのは、三菱東京UFJ銀行(単体)が603億6,900万円減、みずほ銀行373億4,000万円減、福岡銀行(単体)287億9,500万円減、新生銀行254億6,700万円減、三井住友信託銀行192億300万円減など28行だった(未計上の東京スター銀行を除く)。このうち、減少額100億円以上は8行だった。大手・信託銀行の減少が目立つ。

貸出比率10%以上が57行

2013年3月期連結決算ベースの地方公共団体向け平均貸出比率は5.8%(前年同期5.6%)で、貸出比率10%以上は57行(前年同期52行)と前年同期より5行増加した。
個別の貸出比率は、青森銀行31.3%(政府・地方公共団体向け)を筆頭に、北都銀行29.5%、北洋銀行(単体)23.0%、北陸銀行22.4%、鳥取銀行21.9%、北國銀行21.3%、北越銀行21.1%(国・地方公共団体向け)、岩手銀行20.7%となった。東北や北陸などの比率が高い。

地区別 10地区のうち9地区で前年同期を上回る

本店所在地で分けた地区別では、全国10地区のうち、9地区で貸出金残高が前年同期を上回った。増加額は、関東(東京を除く)17行の3,233億8,400万円増を筆頭に、近畿11行の3,138億9,300万円増、東北15行が2,930億1,900万円増、北海道2行が1,943億9,800万円増、北陸6行が1,631億7,300万円増、中国9行が1,380億5,700万円増、中部14行が1,245億2,500万円増、四国8行が1,027億9,200万円増、九州21行が791億5,100万円増の順だった。これに対し、東京13行が576億4,000万円の減少となった。
増減率では、増加が近畿16.3%増、北海道11.5%増、四国10.4%増、北陸9.2%、東北8.8%増、関東(東京を除く)8.7%増、中部8.6%、中国7.2%増、九州2.1%増の順。減少は東京の1.6%減のみ。


企業向けよりも貸倒れリスクが低い地方自治体向け貸出しは、特例措置の「公的資金の補償金免除繰上償還制度」も影響して、調査開始から8年連続で貸出金が増加を続けている。特に、東北、北海道、北陸の地銀・第二地銀の貸出比率の高さが目立つ。これらは、高水準な国債保有とともに銀行の「リスク回避」の貸出姿勢を浮き彫りにした。中小企業金融円滑化法が今年3月末で期限切れし、銀行には中小企業への資金・経営面のバックアップが今まで以上に期待されている。政府は成長経済戦略を策定して中小企業の活性化を目指すが、銀行がリスクの低い地方公共団体向けに傾く貸出姿勢を、どう転換できるかがキーポイントになるだろう。

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