「TSR経済動向調査(2026年3月調査)」分析レポート

調査の目的

本レポートでは、四半期ごとの企業活動の変化を定点観測することで、経済動向の「兆し」を早期に把握し、業種・規模といった属性による経営課題の差異を可視化して公表しています。
本調査は継続的に実施し、分析結果を更新する予定です。

調査の概要

調査概要
調査実施期間 2026/3/23(月)~3/30(月)
調査方法 TSRメールマガジン会員に対しWEBアンケートを実施
回答企業数 5,652社

回答企業の属性

図表1 業種内訳
業種内訳グラフ
図表2 地区別内訳
地区別内訳グラフ
  • 東北(青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島)
  • 関東(茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、山梨)
  • 北陸(富山、石川、福井)/中部(長野、岐阜、静岡、愛知、三重)
  • 近畿(滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山)
  • 中国(広島、岡山、山口、鳥取、島根)/四国(香川、徳島、愛媛、高知)
  • 九州(福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄)

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調査結果

1. まとめ

2026年3月調査における全体の業況は2.97と前回から0.01ポイントの増加となり、地域間の経済格差も縮小傾向となりました。業種別ではサービス業や建設業が3.00を上回り良好な一方、小売業やその他の業種は前回比で0.18ポイント減少しました。規模別では1,000人以上の大企業で改善が目立つ一方、50~99人規模では先行きへの警戒感が強まっています。

経営課題は「人材確保・育成」が68.5%で最多となり、自由回答では中東情勢や円安に伴う原材料・仕入価格の高騰を危惧する声が多く、資金繰りも厳しさを増しています。

今後3か月の業況見通しは全業種・全規模で3.00を下回る予測であり、先行きの不透明感が増す厳しい局面となっています。

スコアの見方:各選択肢を「良い=5点」から「悪い=1点」まで点数化して平均した指標。5点に近いほど良好、3点前後は中立的、1点に近いほど評価が低いことを示しています。


2. 地区別業況▶全体の業況は前回調査から0.01ポイント改善、地域の経済格差も縮小

全体の業況(昨年同期比)は2.97で、12月調査(2.96)から0.01ポイント改善しました。

地区別では、九州(3.03)が最も良好となり、次いで関東(3.02)、北海道(3.01)の順に続いています。一方、中国(2.83)、東北(2.89)は低水準にとどまりました。なお、前回調査から業況が最も改善した地区は四国(+0.11)であり、低下した地区は中国(−0.11)、北陸(−0.10)、中部(-0.04)となりました。

都道府県別では、最も良好な秋田県・沖縄県(ともに3.27)と最も不調な和歌山県(2.50)の格差は0.77となり、前回調査の格差(1.02)から0.25ポイント減少しており、地域間の経済格差が縮小する結果となりました。

図表3 地区別業況スコアマップ
図表3 地域別業況スコアマップ
図表4 都道府県別業況スコアマップ
図表4 都道府県別業況スコアマップ

3. 四半期推移▶今後3か月の業況見通しは全ての地区で減少傾向、北海道は0.19ポイント減少

図表5 地区別業況スコア推移
地区別業況スコア推移

4. 業種別分析▶[サービス業]が業況トップ、今後3か月の見通しは全ての業種で減少傾向

業種別の業況(昨年同期比)は、サービス業(3.08)が最も良好となり、次いで建設業(3.02)、その他(2.95)の順に続く。前回調査と比較すると、卸売業(+0.09)、製造業(+0.04)、サービス業(+0.03)は改善しました。一方、小売業とその他は前回調査からともに0.18ポイント減少し、建設業も0.01ポイント減少しました。

今後3か月の業況見通しでは、全ての業種で減少が見込まれており、いずれも3.00ポイントを下回る見込みです。特にその他の業種では、前回調査から−0.42ポイント減少する結果となりました。

図表6 業種別業況スコア(3区分)
業種別平均スコア

5. 従業員数別分析▶[100~999人]の規模が業況トップ、その他の企業規模でも改善がみられる

業種別の業況(昨年同期比)は、100~999人(3.08)が最も良好となり、次いで1,000人以上(3.00)、10人未満(2.96)の順に続きます。前回調査と比較すると、1,000人以上(+0.27)は改善し、10人未満(+0.04)、10~49人(+0.02)も改善しました。一方、100~999人は横ばい、50~99人は0.05ポイント減少となりました。

今後3か月の業況見通しでは、全ての従業員規模で減少が見込まれており、いずれも3.00ポイントを下回ります。 特に50~99人区分では、前回調査から−0.19ポイント減少する結果となっています。

図表7 従業員数別業況スコア(3区分)
従業員数別平均スコア

6. 時系列分析▶前回調査から8項目がプラスへ、伸び率は「仕入価格(前期比)」がトップ

12月調査と3月調査の時系列比較分析において、23項目中8項目がプラス、13項目がマイナス、2項目が横ばいという結果となりました。これは、9月から12月にかけての「17項目がプラス、4項目がマイナス」という状況から悪化する結果となりました。

主要指標の変化をみると、業況(昨年同期比)は2.97で前回調査から0.01ポイント増と改善し、売上(昨年同期比)は3.03で前回調査並みの水準、経営利益(昨年同期比)は2.90で0.01ポイント増、資金繰り(昨年同期比)は3.09で0.03ポイント減と厳しさが強まりました。なお、今後の3か月の業況見通しは2.83で、前回調査から0.14ポイント減と低下が見込まれます。

図表8 設問ごとの平均スコア
設問ごとの平均スコア
図表9 主要指標の時系列スコア
主要指標の時系列スコア

7. 業種別推移▶[小売業][その他]の業種は前回調査で改善したものの、再び減少傾向へ

業種別のスコア推移をみると、小売業とその他の業種は12月調査で改善したものの、今回調査で減少となりました。一方、製造業、サービス業、卸売業は改善傾向となっています。

図表10 業種別の業況スコア推移
業種別の業況スコア

8. 直面する経営課題▶「人材確保・育成」が約69%で最多

直面している経営課題は、「人材確保・育成」が68.5%で最多となり、次いで「売上の増加」(51.0%)、「コスト削減」(31.8%)、「デジタル化・IT化の推進」(26.8%)の順となっています。

「その他」では中東情勢や円安に伴う原材料、仕入価格の高騰といった意見が多くあげられました。

図表11 具体的な経営課題(複数回答)
具体的な経営課題グラフ

【その他】の主な内容

  • 中東情勢や円安に伴う原材料・エネルギー価格の高騰。(製造業)
  • 中東情勢や円安に伴う仕入価格の高騰と、それに伴う商品の欠品・入荷遅延への不安。(卸売業・小売業)
  • 人件費の高騰を背景とした価格転嫁と利益確保が課題。建築基準法改正への対応。(建設業)
  • 原材料やエネルギー価格、人件費といったコスト高騰への対応に加え、国際情勢への不安が伴う。(サービス業)

9. 業種細分類別スコアランク▶[機械設計業]がトップ、上位10業種は建設業が最多

業種細分類別の業況スコアをみると、「機械設計業」(3.30)、「建築設計業」(3.29)の学術研究、専門・サービス業がトップとなりました。一方、下位10業種は「その他の建築材料卸売業」、「鉄鋼一次製品卸売業」(ともに2.56)となり、トップ業種との格差は0.74ポイントとなりました。

図表12 業種(細分類)別業況スコアランキング
業種(細分類)別業況スコアランキング

(文責 : 株式会社東京商工リサーチ 市場調査部 部長 進 拓治)


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本ツールで確認できる詳細データ(一例)

  • 地域別比較 : 各設問の都道府県別スコアチャートで、エリアごとの景況感を特定
  • 成長予測 : 売上成長予測スコア別に詳細分析
  • 属性分析 : 「設立年」や「従業員規模」ごとの経営課題の傾向
  • 時系列推移 : 過去データと比較し、事業界のトレンドを把握

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