(株)秀和システム

(株)秀和システムが入居するビル
7月1日に法的整理を弁護士に一任したことを取引先などに通知した(株)秀和システム(江東区東)は7月4日、東京地裁から破産開始決定を受けた。破産管財人には永野剛志弁護士(東京丸の内法律事務所、千代田区丸の内3-3-1)が選任された。
負債総額は約400名に対して約50億円。
実用書や資格、ビジネス関連の書籍を中心とした出版社。特にIT関連の書籍や入門書などに定評があり、相応の実績と知名度を有し、ピークの2002年7月期は売上高27億2134万円をあげていた。しかし、その後は出版不況などの影響を免れず、年間売上高は20億円を割り込む水準となっていた。
こうしたなか、2015年12月には上田智一氏が当社を買収後、M&Aを積極的に展開し、当社を中心とした企業グループを形成していた。また、グループを通じて2021年5月には船井電機(株)(大東市)に対しTOB(株式公開買い付け)を実施して傘下に収め、船井電機は2021年8月26日付で東証1部上場を廃止した。この間、船井電機は船井電機・ホールディングス(株)(現:FUNAI GROUP)に商号を変更のうえ、持株会社へ意向。会社分割で船井電機(株)(大東市)を2023年2月に設立していた。
しかし、2023年4月に船井電機グループが買収した「ミュゼプラチナム」運営会社は広告会社とトラブルが発覚したほか、液晶テレビ事業の不振も続いていた。
船井電機グループとのシナジー効果があげられないなか2024年9月、上田氏は船井電機の代表取締役を辞任。翌10月24日、船井電機が東京地裁より破産開始決定を受けた。グループの中心的存在である秀和システムの動向にも注目が集まっていたが2025年1月、当社が債権者としてFUNAI GROUPに対して東京地裁へ民事再生法の適用を申し立てた。だが、2月に取り下げるなど不安定な経営が続き、信用が大きく低下。これに前後して出版した本の返品で資金繰りがひっ迫して私的整理も模索していたが、今回の措置となった。
*(株)秀和システム(TSRコード:292007680、法人番号:1010401013986、江東区東陽2-4-2、設立1974(昭和49)年12月)