• TSR速報

(株)近澤製紙所

※画像は実際の企業とは関係ありません

※画像は実際の企業とは関係ありません

破産から一転、事業再建を目指して民事再生に

 2023年9月27日に高知地裁より破産開始決定を受け、破産管財人のもと財産処分等の手続きが進められていた(株)近澤製紙所(高知県いの町)は4月8日、高知地裁に民事再生法の適用を申請した。
 申請代理人は加藤明俊弁護士ほか4名(弁護士法人関西法律特許事務所、大阪市中央区北浜2-5-23)。
 債権者への通知文では、当社の個別財産を買い受けるのではなく、事業一体を引き受けたいという複数のスポンサー候補が現れたことで、事業再建を目指すことにしたとしている。
 負債総額は約33億円。

 昭和初期に手漉き和紙製造業者として創業。1959年には機械漉きに移行し、京花紙などの製造を手掛けるようになった。1962年に生理用ナプキン、1975年には他社に先駆けて大人用紙おむつの製造を開始し、1987年にはパンツタイプの大人用紙おむつの製造ラインを設置。老人医療福祉に関する需要の高まりを背景に、新製品の開発と製造ラインの増設を進め、1992年3月期には売上高が20億円を突破した。以降も売上を伸ばし、自社ブランド製品からOEMまで手掛け、2008年3月期には売上高41億6188万円をあげていた。
 しかし、同業他社との競合から、その後の売上は一進一退の推移を余儀なくされ、原材料高もあって採算面は低調に推移していた。こうしたなか、2022年12月には大口取引先との契約が解消となったうえ、原材料高が一層進んだこともあって、2023年3月期は3億6606万円の赤字を計上し、1億9408万円の債務超過に陥った。
 その後も厳しい業況が続き、資金繰りが限界となり、再度の資金ショートを起こし2023年8月、行き詰まりを表面化。同年9月、高知地裁に破産を申請していた。

※(株)近澤製紙所(TSR企業コード:830027858、法人番号:5490001005390、吾川郡いの町4003、設立1953(昭和28)年4月、資本金7000万円)

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

2025年1-9月の「人手不足」倒産が過去最多 「従業員退職」が前年の1.6倍増、初の年間300件超へ

2025年9月に「人手不足」が一因となった倒産は、調査を開始した2013年以降では月間最多の46件(前年同月比109.0%増)を記録した。また、2025年1-9月累計も、過去最多の285件(前年同期比31.3%増)に達し、人手不足はより深刻さを増していることがわかった。

2

  • TSRデータインサイト

ケーキや和菓子は「高値の花」に、スイーツ店が苦境 倒産は過去20年で最多ペース、競合商品も台頭

街のスイーツ店が苦境に陥っている。材料コストの上昇、酷暑、人手不足が重なり、商品値上げによる高級化も購入機会の減少につながったようだ。2025年1-9月の菓子製造小売の倒産は、過去20年で最多の37件に達した。

3

  • TSRデータインサイト

2025年1-9月「後継者難」倒産が過去2番目 332件 高齢化が加速、事業承継の支援が急務

代表の高齢化が進み、後継者が不在のため事業に行き詰まる企業が高止まりしている。2025年1-9月の「後継者難」倒産(負債1,000万円以上)は332件(前年同期比4.5%減)で、2年ぶりに前年同期を下回った。だが、2025年は過去最多だった前年同期の348件に次ぐ、過去2番目の高水準だった。

4

  • TSRデータインサイト

2025年 全国160万5,166社の“メインバンク“調査

全国160万5,166社の“メインバンク”は、三菱UFJ銀行(12万7,264社)が13年連続トップだった。2位は三井住友銀行(10万1,697社)、3位はみずほ銀行(8万840社)で、メガバンク3行が上位を占めた。

5

  • TSRデータインサイト

2025年度上半期の「円安」倒産30件 仕入コスト上昇が卸売業を直撃

2025年度上半期(4-9月)の「円安」関連倒産は、30件(前年同期比31.8%減)だった。上半期では、2022年度以降の円安では前年度の44件に次いで、2番目の高水準になった。

TOPへ