全国企業倒産状況
2023年(令和5年)の全国企業倒産8,690件
2023年の企業倒産 件数の増加率は31年ぶりの高水準、4年ぶりに8,000件台に
2023年の全国の企業倒産(負債総額1,000万円以上)は、件数が8,690件(前年比35.1%増)、負債総額は2兆4,026億4,500万円(同3.0%増)だった。
件数は、2年連続で増加し、2019年(8,383件)以来、4年ぶりに8,000件台に乗せた。増加率35.1%は、1992年(前年比31.2%増)以来、31年ぶりの高水準。
負債総額は、負債1億円未満が6,493件(構成比74.7%)と小規模倒産が主体だが、同5億円以上10億円未満が252件(前年比10.0%増)、同10億円以上が211件(同24.1%増)と中堅規模で増加が目立つ。また、同1,000億円以上は2件(前年1件)発生した。
2023年の「新型コロナウイルス」関連倒産は、3,127件(前年比36.3%増)発生した。
産業別では、飲食業(522→893件)を含むサービス業他が2,940件(前年比41.6%増)など、31年ぶりに10産業すべてで前年を上回った。
2024年4月にゼロゼロ融資の民間返済がピークを迎え、資金繰りが一段と厳しくなる企業が増えるとみられるだけに、2024年の企業倒産は「1万件」の壁を超える可能性も出てきた。
・「ゼロゼロ融資」利用後倒産は631件(前年453件)、「物価高」倒産は645件(同285件)
・「人手不足」関連倒産のうち、「人件費高騰」59件(同7件)、「求人難」58件(同27件)など
・都道府県別件数:前年を上回ったのが44都道府県、減少が3県。2年連続で「増加」が「減少」を上回る
・負債額別件数:負債1億円未満の構成比74.7%、3年連続で1,000億円以上が発生
・業種別件数:飲食業、印刷・同関連業などが増加
・形態別件数:法的倒産の構成比が96.1%、7年連続で90%台
・従業員数別件数:10人未満の構成比88.5%、300人以上は2年連続で発生
・上場企業倒産:東証スタンダードの(株)プロルート丸光の1件で、2年連続で発生
・中小企業倒産件数(中小企業基本法に基づく)の構成比は前年と同水準の99.9%
◇倒産データ分析:https://www.tsr-net.co.jp/news/data_analysis/index.html
産業別 31年ぶりに、10産業すべてで前年を上回る
2023年の産業別件数は、10産業すべてで前年を上回った。10産業すべてが前年を上回るのは1992年以来、31年ぶり。
最多は、サービス業他の2,940件(前年比41.6%増)で、2年連続で前年を上回り、1990年以降では、2009年(2,966件)に次いで2番目の多さになった。
次いで、人手不足や資材価格の高騰などが顕著な建設業が1,693件(前年比41.7%増)、円安による原材料やエネルギーのコストアップが続く製造業が977件(同35.3%増)と、それぞれ2年連続で前年を上回った。
このほか、運輸業が416件(同28.3%増)で3年連続、農・林・漁・鉱業93件(同3.3%増)と卸売業960件(同15.1%増)、情報通信業349件(同46.6%増)が2年連続、不動産業が288件(同33.3%増)で7年ぶり、小売業が939件(同30.7%増)で4年ぶり、金融・保険業が35件(同105.8%増)で3年ぶりに、それぞれ前年を上回った。
地区別 15年ぶりに、9地区すべてで前年を上回る
2023年の地区別件数は、9地区すべてで前年を上回った。9地区すべてが前年を上回るのは、2008年以来、15年ぶり。
北海道269件(前年比35.8%増)と東北434件(同27.2%増)、関東3,233件(同32.1%増)、近畿2,206件(同35.3%増)、中国392件(同57.4%増)、九州719件(同33.6%増)が、それぞれ2年連続で前年を上回った。また、中部1,108件(同43.7%増)が5年ぶり、北陸160件(同10.3%増)と四国169件(同55.0%増)が4年ぶりに、それぞれ前年を上回った。
増加率が最も大きい中国は、サービス業他139件(同73.7%増)、建設業75件(同38.8%増)、卸売業53件(同51.4%増)など8産業が前年を上回った。また、四国は、サービス業他41件(同24.2%増)、製造業29件(同93.3%増)、小売業26件(同136.3%増)など7産業で前年を上回った。
※地区の範囲は以下に定義している。
東北(青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島)
関東(茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、山梨)
中部(長野、岐阜、静岡、愛知、三重)
北陸(富山、石川、福井)
近畿(滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山)
中国(広島、岡山、山口、鳥取、島根)
四国(香川、徳島、愛媛、高知)
九州(福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄)
主な倒産
[負債額上位5社]
1.パナソニック液晶ディスプレイ(株)/兵庫県/IPS方式液晶ディスプレイ製造/5,836億円/特別清算
2.ユニゾホールディングス(株)/東京都/純粋持株会社/1,261億9,800万円/民事再生法
3.(株)ガイア/東京都/パチンコ店経営/943億5,500万円/民事再生法
4.FCNT(株)/神奈川県/携帯電話端末販売/872億円/民事再生法
5.ジャパン・イーエム・ソリューションズ(株)/兵庫県/携帯電話端末製造/613億円/民事再生法