全国企業倒産状況

2023年12月の全国企業倒産810件

12月の企業倒産 21カ月連続で前年同月を上回り、2023年では最多件数


 2023年12月度の全国企業倒産(負債額1,000万円以上)は、件数が810件(前年同月比33.6%増)、負債総額は1,032億2,800万円(同30.3%増)だった。
 件数は、2022年4月から21カ月連続で前年同月を上回った。2カ月連続で800件台に乗せ、3月の809件を超え、2023年では最多となった。
 負債総額は、2カ月ぶりに1,000億円を超えた。2カ月連続で負債100億円超の倒産は発生せず、最大の倒産は(株)エム・シーネットワークスジャパンの負債58億5,700万円。負債1億円未満が612件(構成比75.5%)で、小・零細企業が押し上げる傾向に変化はない。
  「新型コロナウイルス」関連倒産は、250件(前年同月比2.4%増)発生した。
 産業別は、農・林・漁・鉱業と不動産業を除く8産業で増加した。建設業が163件(前年同月比49.5%増)と大幅に増え、12カ月連続で前年同月を上回った。

企業倒産月次推移


・形態別件数:破産が731件。法的倒産の構成比は96.9%
・都道府県別件数:前年同月を上回ったのが33都道府県、減少10府県、同数4県
・負債別件数:負債1億円未満の構成比75.5%、100億円以上は2カ月連続で発生なし
・業種別件数:機械器具卸売業、情報サービス・制作業などが増加
・従業員数別件数:従業員10人未満の構成比89.3%、7カ月連続で80%台
・中小企業倒産(中小企業基本法に基づく)の構成比は99.8%


◇倒産データ分析:https://www.tsr-net.co.jp/news/data_analysis/index.html

産業別 10産業のうち、8産業で前年同月を上回る 

 2023年12月の産業別件数は、10産業のうち、8産業で前年同月を上回った。
 最多はサービス業他の267件(前年同月比42.7%増)で、16カ月連続で前年同月を上回った。月次倒産に占める構成比は32.9%(前年同月30.8%)だった。
 次いで、人手不足に加え、資材価格の高止まりが続く建設業が163件(前年同月比49.5%増)で12カ月連続、卸売業が95件(同13.0%増)で3カ月連続で、それぞれ前年同月を上回った。
 このほか、製造業が82件(同6.4%増)で17カ月連続、情報通信業が38件(同123.5%増)で15カ月連続、小売業が86件(同30.3%増)で8カ月連続、金融・保険業が2件(前年同月1件)で3カ月連続、運輸業が49件(前年同月比36.1%増)で2カ月ぶりに、それぞれ前年同月を上回った。一方、農・林・漁・鉱業が8件(同11.1%減)で、2カ月連続で前年同月を下回った。不動産業は、前年同月と同件数の20件だった。

2023年12月 産業別倒産状況
主要産業倒産件数推移

主なサービス業他 倒産状況

主なサービス業他 倒産月次推移

地区別 四国を除く、8地区で前年同月を上回る

 2023年12月の地区別件数は、9地区のうち、四国を除く8地区で前年同月を上回った。
 関東280件(前年同月比35.2%増)が、2022年5月より20カ月連続で前年同月を上回った。このほか、近畿221件(同27.0%増)が13カ月連続、中部98件(同32.4%増)と中国36件(同80.0%増)が8カ月連続、北海道33件(同106.2%増)が3カ月連続、東北51件(同64.5%増)と九州60件(同9.0%増)が2カ月連続、北陸16件(同14.2%増)が4カ月ぶりに、それぞれ前年同月を上回った。
 四国は、前年同月と同件数の15件だった。

2023年12月 都道府県別倒産


※地区の範囲は以下に定義している。
東北(青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島)
関東(茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、山梨)
中部(長野、岐阜、静岡、愛知、三重)
北陸(富山、石川、福井)
近畿(滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山)
中国(広島、岡山、山口、鳥取、島根)
四国(香川、徳島、愛媛、高知)
九州(福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄)


当月の主な倒産

[負債額上位5社]
1.(株)エム・シーネットワークスジャパン/東京都/脱毛サロン経営/58億5,700万円/破産
2.奥白馬高原開発(株)/東京都/ホテル経営/48億円/特別清算
3.昌一金属(株)/大阪府/架線金物・付属部品製造/39億1,600万円/民事再生法
4.CFN(株)/神奈川県/トナーカートリッジほかリユース・リサイクル/34億2,600万円/特別清算
5.(株)プロルート丸光/大阪府/衣料品卸/27億300万円/会社更生法

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

長渕剛さんの個人事務所、イベント会社に破産申立

歌手の長渕剛さんが代表を務める(株)オフィスレン(TSRコード:295731311、渋谷区)が、イベント運営を委託していた会社を相手取り、東京地裁に破産を申し立てたことが東京商工リサーチ(TSR)の取材で判明した。

2

  • TSRデータインサイト

みんなで大家さん、分配金の支払いが遅延

7月31日、不動産投資商品を販売するみんなで大家さん販売(株)(TSRコード:571226140)は、不動産投資商品「みんなで大家さん成田1号~18号(全18商品)」について、7月末の利益分配(分配金)が遅れると投資家に通知した。

3

  • TSRデータインサイト

ホテル業界 止まらない客室単価の値上げ インバウンド需要で高稼働・高単価が続く

インバウンド(訪日旅行客)需要に支えられ、ホテル業界は好調が続いている。ホテル運営の上場13社(15ブランド)の2025年3月期の客室単価は、インバウンド需要の高い都心や地方都市を中心に前年同期を上回り、稼働率も前年同期並で高水準を維持している。

4

  • TSRデータインサイト

私立大学の経営、売上トップは(学)順天堂 赤字企業率5割に迫る、損益は地域格差が鮮明に

私立大学を経営する全国の543法人のうち、約半数の253法人が2024年決算で赤字だった。赤字企業率は46.5%にのぼり、前期(40.8%)から5.7ポイント上昇し、5割に迫った。

5

  • TSRデータインサイト

2025年上半期 20床以上の病院倒産が急増 「病院・クリニック」倒産21件、5年連続で前年同期を上回る

病床20床以上の病院の経営が厳しさを増している。2025年上半期(1-6月)の病院・クリニックの倒産は21件(前年同期比16.6%増)だった。上半期では、コロナ禍の2020年を底に、2021年から5年連続で前年同期を上回り、1989年以降で最多の2009年同期の26件に次ぐ、2番目となった。

TOPへ