全国企業倒産状況

2023年8月の全国企業倒産760件

8月の倒産 17カ月連続で増加、ゼロゼロ融資後の倒産は累計1,025件

 2023年8月度の全国企業倒産(負債額1,000万円以上)は、件数が760件(前年同月比54.4%増)、負債総額は1,083億7,700万円(同2.7%減)だった。
 件数は、2022年4月から17カ月連続で前年同月を上回った。2023年に入り前年同月との増加率が拡大し、8月の54.4%増はコロナ禍以降では最大となった。
 負債総額は、2カ月ぶりに前年同月を下回った。負債10億円以上の大型倒産は19件(前年同月16件)と増加したが、100億円超が発生せず(前年同月1件)、8月では3年ぶりに前年同月を下回った。
 2023年8月の「新型コロナウイルス」関連倒産は241件(前年同月比24.2%増)発生した。2020年2月からの累計は6,892件に達した。

 ゼロゼロ融資の返済や過剰債務の解消、物価高、人手不足など、経営課題が山積している。
 倒産の増勢は鮮明で、2023年1-8月累計は5,560件に達し、10月には2022年の年間件数(6,428件)を超えることが確実になった。


企業倒産月次推移


・形態別件数:破産が689件。法的倒産の構成比は95.6%
・都道府県別件数:前年同月を上回ったのが36都道府県、減少7県、同数4県
・負債別件数:負債1億円未満の構成比72.7%、100億円以上は7カ月ぶりに発生せず
・業種別件数:金属製品製造業、飲食料品小売業、飲食業などが増加
・従業員数別件数:従業員10人未満の構成比88.0%、3カ月連続で80%台
・中小企業倒産(中小企業基本法に基づく)は3カ月連続で100.0%

産業別 約15年ぶりに10産業すべて前年同月を上回る

 2023年8月の産業別件数は、2008年9月以来、約15年ぶりに10産業すべてで前年同月を上回った。
 最多はサービス業他の238件(前年同月比42.5%増)で、12カ月連続で前年同月を上回った。月次倒産に占める構成比は31.3%(前年同月33.9%)だった。
 次いで、資材高が続く建設業が157件(前年同月比72.5%増)で8カ月連続、原材料価格や仕入コストが上昇している製造業が89件(同71.1%増)で13カ月連続で、それぞれ前年同月を上回った。
 
 このほか、情報通信業36件(同125.0%増)が11カ月連続、卸売業83件(同33.8%増)が5カ月連続、小売業76件(同68.8%増)が4カ月連続、運輸業37件(同5.7%増)が3カ月連続、農・林・漁・鉱業9件(同50.0%増)が2カ月連続、金融・保険業2件(同100.0%増)と不動産業33件(同94.1%増)が2カ月ぶりに、それぞれ前年同月を上回った。

2023年8月 産業別倒産状況

主要産業倒産件数推移

地区別 倒産件数、3カ月連続で9地区すべてで増加

 2023年8月の地区別件数は、3カ月連続で9地区すべてで前年同月を上回った。
 関東292件(前年同月比48.2%増)が、2022年5月より16カ月連続で前年同月を上回った。このほか、九州63件(同53.6%増)が14カ月連続、近畿191件(同44.6%増)が9カ月連続、北陸18件(同100.0%増)が6カ月連続、東北35件(同75.0%増)が5カ月連続、中部77件(同40.0%増)と中国46件(同170.5%増)が4カ月連続、北海道25件(同78.5%増)と四国13件(同85.7%増)が3カ月連続で、それぞれ前年同月を上回った。
 9地区のうち、北陸、中国の2地区は、今年最多の件数になった。

2023年8月 都道府県別倒産


※地区の範囲は以下に定義している。
東北(青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島)
関東(茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、山梨)
中部(長野、岐阜、静岡、愛知、三重)
北陸(富山、石川、福井)
近畿(滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山)
中国(広島、岡山、山口、鳥取、島根)
四国(香川、徳島、愛媛、高知)
九州(福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄)


当月の主な倒産

[負債額上位5社]
1.征矢野建材(株)/長野県/木材販売ほか/65億2,000万円/民事再生法
2.(株)守田/福岡県/鉄スクラップ卸/30億円/破産
3.(株)クロナス/東京都/建設機械販売・リース/29億3,300万円/破産
4.JMKトレーディング(株)/神奈川県/中古トラック・部品販売/28億7,500万円/破産
5.アミックテレコム(株)/愛知県/携帯電話販売、不動産賃貸/27億4,300万円/破産

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

2025年3月期決算(6月20日時点) 役員報酬1億円以上の開示は117社・344人

2025年3月期決算の上場企業の株主総会開催が本番を迎えた。6月20日までに2025年3月期の有価証券報告書を510社が提出し、このうち、役員報酬1億円以上の開示は117社で、約5社に1社だった。

2

  • TSRデータインサイト

「想定為替レート」 平均1ドル=141.6円 前期比1.9円円高を想定、4期ぶり円安にブレーキ

主な株式上場メーカー98社の2025年度決算(2026年3月期)の期首ドル想定為替レートは、1ドル=140円が48社(構成比48.9%)と約5割にのぼった。平均値は1ドル=141.6円で、前期に比べ1.9円の円高となった。

3

  • TSRデータインサイト

代金トラブル相次ぐ、中古車販売店の倒産が急増

マイカーを売却したのに入金前に売却先の業者が破たん――。こうしたトラブルが後を絶たない。背景には、中古車価格の上昇や“玉不足”で経営不振に陥った中古車販売店の増加がある。倒産も2025年1-5月までに48件に達し、上半期では過去10年間で最多ペースをたどっている。

4

  • TSRデータインサイト

日産自動車の役員報酬1億円以上開示は5人 内田前社長の報酬額は3億9,000万円

 経営再建中の日産自動車が、2025年3月期決算の有価証券報告書を提出した。報酬額1億円以上の個別開示の人数は5人で、前年と同数だった。

5

  • TSRデータインサイト

2024年上場企業の「個人情報漏えい・紛失」事故 過去最多の189件、漏えい情報は1,586万人分

2024年に上場企業とその子会社が公表した個人情報の漏えい・紛失事故は、189件(前年比8.0%増)で、漏えいした個人情報は1,586万5,611人分(同61.2%減)だった。 事故件数は調査を開始した2012年以降、2021年から4年連続で最多を更新した。

TOPへ