全国企業倒産状況

2023年上半期(1-6月)の全国企業倒産4,042件

上半期の倒産 3年ぶり4,000件台、「物価高」倒産が3.3倍増に急増

 2023年上半期(1-6月)の全国企業倒産(負債額1,000万円以上)は、件数が4,042件(前年同期比32.0%増)、負債総額は9,340億8,000万円(同45.3%減)だった。
 件数は、2年連続で前年同期を上回り、上半期では2020年同期(4,001件)以来、3年ぶりに4,000件台に乗せた。
 負債総額は、前年同期のマレリホールディングス(株)(埼玉、負債1兆1,330億円、民事再生法)の反動減で、2年ぶりに前年同期を下回った。ただ、負債100億円以上が8件(前年同期7件)、1億円以上5億円未満が824件(同608件)、5億円以上10億円未満が115件(同106件)と中堅規模で増勢の兆しが強まった。

企業倒産 上半期推移


・「ゼロ・ゼロ融資」後の倒産は322件(前年同期174件)、「物価高」倒産は300件(同90件)発生
・「後継者難」209件(同225件)、「求人難」27件(同17件)、「人件費高騰」24件(同ゼロ)
・形態別件数:法的倒産の構成比96.0%、7年連続で90%台
・都道府県別件数:前年同期より増加が38都道府県、減少は7県、同数が2県
・負債別件数:負債1億円未満の構成比74.3%、3年ぶりに前年同期を上回る
・業種別件数:飲食業、電気機械器具製造業、印刷・同関連業などが増加

産業別 25年ぶりに10産業すべて前年同期を上回る

 2023年上半期の産業別件数は、1998年同期以来、25年ぶりに10産業すべてで前年同期を上回った。
 最多はサービス業他の1,351件(前年同期比36.0%増)で、上半期としては3年ぶりに前年同期を上回った。上半期倒産に占める構成比は33.4%(前年同期32.4%)だった。
 次いで、歴史的な資材高が続く建設業が785件(前年同期比36.2%増)で2年連続、円安などによる物価高でコスト負担が上昇している製造業が459件(同37.4%増)で3年ぶりに、それぞれ前年同期を上回った。
 このほか、燃料価格の高止まりや人手不足が深刻な運輸業が188件(同25.3%増)で3年連続、情報通信業161件(同38.7%増)が2年連続、不動産業142件(同43.4%増)が2年ぶり、卸売業455件(同13.7%増)と金融・保険業24件(同140.0%増)が3年ぶり、小売業434件(同25.0%増)が5年ぶりに、それぞれ前年同期を上回った。

2023年上半期(1-6月)産業別倒産状況
主要産業倒産件数 上半期推移

地区別 倒産件数、9地区すべてで前年同期を上回る

 2023年上半期の地区別件数は、2000年同期以来、23年ぶりに、9地区すべてで前年同期を上回った。
 北海道124件(前年同期比14.8%増)と東北206件(同20.4%増)、九州345件(同34.2%増)が、上半期としてはそれぞれ2年連続で前年同期を上回った。このほか、関東1,489件(同29.2%増)が6年ぶり、中部536件(同50.5%増)と北陸76件(同18.7%増)、近畿1,011件(同30.7%増)、中国173件(同36.2%増)、四国82件(同57.6%増)が3年ぶりに、それぞれ前年同期を上回った。

2023年上半期(1-6月)都道府県別倒産状況


※地区の範囲は以下に定義している。
東北(青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島)
関東(茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、山梨)
中部(長野、岐阜、静岡、愛知、三重)
北陸(富山、石川、福井)
近畿(滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山)
中国(広島、岡山、山口、鳥取、島根)
四国(香川、徳島、愛媛、高知)
九州(福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄)

上半期の主な倒産

[負債額上位5社]
1.ユニゾホールディングス(株)/東京都/純粋持株会社/1,261億9,800万円/民事再生法
2.FCNT(株)/神奈川県/携帯電話端末販売/872億円/民事再生法
3.ジャパン・イーエム・ソリューションズ(株)/兵庫県/携帯電話端末製造/613億円/民事再生法
4.堀正工業(株)/東京都/ベアリング販売ほか/350億円/取引停止処分
5.(株)JOLED/東京都/有機ELディスプレイパネル製造開発ほか/337億4,100万円/民事再生法

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

コロナ破たん累計が1万件目前 累計9,489件に

4月は「新型コロナ」関連の経営破たん(負債1,000万円以上)が244件(前年同月比9.9%減)判明した。3月の月間件数は2023年3月の328件に次ぐ過去2番目の高水準だったが、4月は一転して減少。これまでの累計は9,052件(倒産8,827件、弁護士一任・準備中225件)となった。

2

  • TSRデータインサイト

堀正工業(株) ~約50行を欺いた粉飾、明細書も細かく調整する「執念」 ~

東京には全国の地域金融機関が拠点を構えている。今回はそれら金融機関の担当者が対応に追われた。最大54行(社)の金融機関やリース会社から融資を受けていた老舗ベアリング商社の堀正工業(株)(TSR企業コード:291038832、東京都)が7月24日、東京地裁から破産開始決定を受けた。

3

  • TSRデータインサイト

インバウンド需要で「ホテル経営」が好調 8割のホテルが稼働率80%超、客室単価の最高が続出

コロナ禍の移動制限の解消と入国審査の緩和で、ホテル需要が急回復している。ホテル運営の上場13社(15ブランド)の客室単価と稼働率は、インバウンド需要の高い都心や地方都市を中心に、コロナ禍前を上回った。

4

  • TSRデータインサイト

2024年4月の「円安」関連倒産 1件発生 発生は22カ月連続、円安の影響はさらに長引く可能性も

2024年4月の「円安」関連倒産は1件発生した。件数は、3カ月ぶりに前年同月を下回ったが、2022年7月から22カ月連続で発生している。 3月19日、日本銀行はマイナス金利解除を決定したが、じりじりと円安が進み、4月29日の午前中に一瞬34年ぶりに1ドル=160円台に乗せた。

5

  • TSRデータインサイト

約束手形の決済期限を60日以内に短縮へ 支払いはマイナス影響 約4割、回収では 5割超がプラス影響

これまで120日だった約束手形の決済期限を、60日に短縮する方向で下請法の指導基準が見直される。約60年続く商慣習の変更は、中小企業の資金繰りに大きな転換を迫る。 4月1~8日に企業アンケートを実施し、手形・電子記録債権(でんさい)のサイト短縮の影響を調査した。

記事カテゴリを表示
記事カテゴリを閉じる

プリントアウト

RSS

CLOSE
TOPへ