全国企業倒産状況

2023年4月の全国企業倒産610件

4月の倒産 13カ月連続で前年同月を上回る、「物価高」倒産が2.3倍増

 2023年4月度の全国企業倒産(負債額1,000万円以上)は、件数が610件(前年同月比25.5%増)、負債総額は2,038億6,100万円(同150.8%増)だった。
 件数は、2022年4月から13カ月連続で前年同月を上回った。13カ月連続で前年同月を上回るのは1999年11月-2000年11月以来、22年5カ月ぶり。増加率25%超は4カ月連続。
 負債総額は、ユニゾホールディングス(株)(東京、負債1,261億9,800万円)の大型倒産が発生し、2カ月ぶりに前年同月を上回った。4月での2,000億円超は10年ぶり。
 2023年4月の「新型コロナウイルス」関連倒産は235件(前年同月比52.5%増)で、2022年9月から8カ月連続で200件超で推移。2020年2月からの累計は5,786件に達した。

企業倒産月次推移



・「後継者難」43件(前年同月37件)、「人件費高騰」8件、「求人難」3件
・形態別件数:破産が557件。法的倒産の構成比は97.2%
・都道府県別件数:前年同月を上回ったのが26都道府県、減少15府県、同数6県
・負債別件数:負債1億円未満の構成比74.9%、100億円以上が3カ月連続で発生
・業種別件数:繊維・衣服等卸売業、飲食業、印刷・同関連業などが増加
・従業員数別件数:10人未満の構成比が88.1%、300人以上が2カ月連続で発生
・中小企業倒産(中小企業基本法に基づく)は100.0%

産業別 10産業のうち、小売業を除く9産業で前年同月を上回る 

 2023年4月の産業別件数は、小売業を除く9産業で前年同月を上回った。
 最多はサービス業他の191件(前年同月比23.2%増)で、8カ月連続で前年同月を上回った。月次倒産に占める構成比は31.3%(前年同月31.8%)だった。
 次いで、建設業が134件(前年同月比65.4%増)で4カ月連続、製造業が77件(同26.2%増)で9カ月連続で、それぞれ前年同月を上回った。円安やウクライナ情勢による資材や原材料、光熱費の高騰などの影響を大きく受けている。
 このほか、運輸業24件(同9.0%増)と情報通信業27件(同68.7%増)が7カ月連続、不動産業が19件(同46.1%増)で6カ月連続、金融・保険業が4件(同100.0%増)で3カ月連続、農・林・漁・鉱業が8件(同33.3%増)で2カ月連続、卸売業が66件(同20.0%増)で2カ月ぶりに、それぞれ前年同月を上回った。
 一方、小売業が60件(同20.0%減)で、5カ月ぶりに前年同月を下回った。

2023年4月 産業別倒産状況
主要産業倒産件数推移

地区別 倒産件数、中部、中国を除く7地区で増加

 2023年4月の地区別件数は、9地区のうち中部と中国を除く7地区で前年同月を上回った。
 関東252件(前年同月比57.5%増)が、12カ月連続で前年同月を上回った。このほか、九州47件(同14.6%増)が10カ月連続、北海道17件(同6.2%増)と近畿148件(同14.7%増)が5カ月連続、北陸14件(同55.5%増)が2カ月連続、東北25件(同13.6%増)が2カ月ぶり、四国16件(同166.6%増)が3カ月ぶりに、それぞれ前年同月を上回った。
 一方、中部が68件(同13.9%減)で5カ月ぶり、中国が23件(同4.1%減)で4カ月ぶりに、それぞれ前年同月を下回った。

2023年4月 都道府県別倒産

※地区の範囲は以下に定義している。
東北(青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島)
関東(茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、山梨)
中部(長野、岐阜、静岡、愛知、三重)
北陸(富山、石川、福井)
近畿(滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山)
中国(広島、岡山、山口、鳥取、島根)
四国(香川、徳島、愛媛、高知)
九州(福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄)

当月の主な倒産

[負債額上位5社]
1.ユニゾホールディングス(株)/東京都/純粋持株会社/1,261億9,800万円/民事再生法
2.(医)社団心和会/千葉県/病院経営/132億円/民事再生法
3.テラファーマ(株)/東京都/再生医療等製品開発/19億7,200万円/破産
4.(有)白扇/鳥取県/温泉旅館経営/16億円/民事再生法
5.(株)トキワメディアサービス/埼玉県/印刷業/13億7,000万円/破産



人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

約束手形の決済期限を60日以内に短縮へ 支払いはマイナス影響 約4割、回収では 5割超がプラス影響

これまで120日だった約束手形の決済期限を、60日に短縮する方向で下請法の指導基準が見直される。約60年続く商慣習の変更は、中小企業の資金繰りに大きな転換を迫る。 4月1~8日に企業アンケートを実施し、手形・電子記録債権(でんさい)のサイト短縮の影響を調査した。

2

  • TSRデータインサイト

「早期・希望退職者」募集は年間1万人超ペース 空前の賃上げの裏側で加速する構造改革

4月23日現在、「早期・希望退職者」の募集が判明した国内の上場企業は21社で、前年同期の16社を5社上回った。対象人数(国内)は3,724人(前年同期1,236人)で、前年同期の3倍に達した。すでに2023年(3,161人)の年間実績を563人上回り、構造改革の促進で年間1万人超のペースで推移している。

3

  • TSRデータインサイト

今年の“大型連休” 6割の企業が5連休 大企業の2%が10連休超、中小企業は2割が4連休以下

2023年春のゴールデンウィーク(GW)は何連休? 東京商工リサーチ(TSR)が4月3日から11日に実施したアンケート調査で、最多はカレンダー通りの5連休で全体の6割を占めた。

4

  • TSRデータインサイト

2024年の「中堅企業」は9,229社 企業支援の枠組み新設で、成長を促進し未来志向へ

東京商工リサーチの企業データベースでは、2024年3月時点で「中堅企業」は9,229社(前年比1.2%増、構成比0.7%)あることがわかった。うち2023年の中小企業が、2024年に「中堅企業」に規模を拡大した企業は399社だった。一方、「中堅企業」から「中小企業」へ規模が縮小した企業も311社みられた。

5

  • TSRデータインサイト

【破綻の構図】テックコーポレーションと不自然な割引手形

環境関連機器を開発していた(株)テックコーポレーションが3月18日、広島地裁から破産開始決定を受けた。 直近の決算書(2023年7月期)では負債総額は32億8,741万円だが、破産申立書では約6倍の191億円に膨らむ。 突然の破産の真相を東京商工リサーチが追った。

記事カテゴリを表示
記事カテゴリを閉じる

プリントアウト

RSS

CLOSE
TOPへ