全国企業倒産状況
2011年度(平成23年度)[2011.4-2012.3] 全国企業倒産状況
倒産件数 | 12,707件 |
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負債総額 | 3兆9,906億4,000万円 |
対前年度比(件数) | -2.7%(前年度 13,065件) |
対前年度比(負債) | -15.5%(前年度 4兆7,245億8,400万円) |
(負債総額1,000万円以上の倒産を集計、%は小数点2位以下切捨)
倒産件数が前年度比2.7%減の1万2,707件 負債総額は21年ぶりの4兆円割れ
2011年度(2011年4月~2012年3月)全国企業倒産件数(負債額1,000万円以上)は、1万2,707件、負債総額は3兆9,906億4,000万円となった。
倒産件数は、前年度比2.7%減。年度としては3年連続の減少で1991年度(1万1, 557件)以来20年ぶりに1万3,000件を下回った。
減少要因としては、中小企業金融円滑化法やセーフティネット保証(5号)のほか、 「東日本大震災復興緊急保証」や「東日本大震災復興特別貸付」などの各種資金繰り支援効果が挙げられる。
負債総額は、前年度比15.5%減。1990年度(3兆2,753億1,400万円)以来、年度としては21年ぶりに4兆円を下回った。これは、10億円以上の大型倒産が同23.0%減の424件(前年度551件)となり、年度としては1990年度(332件)以来の低水準にとどまったことが影響した。負債1億円未満の倒産が約7割(構成比69.3%)を占め、小規模企業を中心に推移した。
産業別
倒産件数、10産業のうち8産業で前年度を下回る
前年度比減少率は、不動産業の13.5%減(443→383件)を筆頭にして、運輸業10.8%減(468→417件)、製造業9.8%減(2,045→1,844件)、金融・保険業9.2%減(65→59件)、小売業6.5%減(1,543→1,442件)、卸売業4.8%減(1,746→1,661件)、建設業1.8%減(3,439→3,376件)、情報通信業0.1%減(527→526件)の順。建設業が1993年度(3,321件)以来の低水準。製造業が年度としては5年ぶりに2,000件を下回り、卸売業と小売業は3年連続で前年度を下回った。
これに対して増加は、サービス業他7.3%増(2,695→2,893件)と農・林・漁・鉱業12.7%増(94→106件)の2産業。サービス業他は、飲食業や宿泊業、旅行業などで件数を押し上げた。
産業別分類 | 件数(件) | 負債額(百万円) |
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農・林・漁・鉱業 | 106 | 484,420 |
建設業 | 3,376 | 477,459 |
製造業 | 1,844 | 1,029,341 |
卸売業 | 1,661 | 326,256 |
小売業 | 1,442 | 159,498 |
金融・保険業 | 59 | 281,015 |
不動産業 | 383 | 256,694 |
運輸業 | 417 | 103,287 |
情報通信業 | 526 | 87,442 |
サービス業他 | 2,893 | 785,228 |
合計 | 12,707 | 3,990,640 |
※業種分類のコード(日本標準産業分類に基づく)改訂に伴い、弊社データベースは2009年1月度より新業種分類に移行した。各数値は新業種コードに基づく。
地区別
倒産件数9地区のうち5地区で前年度を下回る
減少率は、東北28.6%減(576→411件)、四国15.0%減(312→265件)、近畿6.3%減(3,618→3,387件)、関東2.1%減(4,927→4,820件)、中部0.5%減(1,579→1,571件)の順。
これに対し増加したのは、中国24.4%増(430→535件)、九州9.5%増(838→918件)、北陸2.1%増(329→336件)、北海道1.7%増(456→464件)の4地区だった。
- 北海道:全体の件数が、年度としては3年連続で500件を下回る。
- 東北:全体の件数が、年度としては過去20年間で最少。県別件数では、全県で前年度比減少。
- 関東:全体の件数が、年度としては2年連続で5,000件を割り込む。県別件数では、埼玉、新潟で前年度比増加。
- 中部北陸:全体の件数が、中部が年度としては2年連続で1,600件を割り込み、北陸は2年連続で400件を下回る。県別件数では、静岡、愛知、石川で前年度比増加。
- 近畿:全体の件数が、年度としては2年連続で4,000件を割り込む。県別件数では、奈良のみ前年度比増加。
- 中国:全体の件数が、年度としては3年ぶりに前年を上回る。県別件数では、全県で前年度比増加。
- 四国:全体の件数が、年度としては過去20年間で最少。県別件数では、香川のみ前年度比増加。
- 九州:全体の件数が、年度としては3年ぶりに前年を上回る。県別件数では、福岡、佐賀、長野、宮崎、鹿児島、沖縄で前年度比増加。
地区別分類 | 件数(件) | 負債額(百万円) |
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北海道 | 464 | 103,032 |
東北 | 411 | 137,112 |
青森 | 69 | 22,987 |
岩手 | 56 | 12,177 |
宮城 | 76 | 40,838 |
秋田 | 55 | 18,716 |
山形 | 71 | 11,524 |
福島 | 84 | 30,870 |
関東 | 4,820 | 2,420,713 |
茨城 | 178 | 70,837 |
栃木 | 120 | 463,687 |
群馬 | 154 | 93,881 |
埼玉 | 584 | 74,850 |
千葉 | 358 | 58,112 |
東京 | 2,544 | 1,306,815 |
神奈川 | 684 | 268,120 |
新潟 | 151 | 72,142 |
山梨 | 47 | 12,269 |
中部 | 1,571 | 387,060 |
長野 | 147 | 46,707 |
岐阜 | 188 | 32,200 |
静岡 | 306 | 98,363 |
愛知 | 820 | 144,188 |
三重 | 110 | 65,602 |
北陸 | 336 | 84,525 |
富山 | 93 | 25,932 |
石川 | 158 | 40,639 |
福井 | 85 | 17,954 |
近畿 | 3,387 | 449,621 |
滋賀 | 104 | 10,374 |
京都 | 370 | 49,144 |
大阪 | 1,986 | 264,171 |
兵庫 | 635 | 93,954 |
奈良 | 163 | 14,884 |
和歌山 | 129 | 17,094 |
中国 | 535 | 130,314 |
鳥取 | 46 | 11,280 |
島根 | 52 | 9,408 |
岡山 | 134 | 69,872 |
広島 | 221 | 26,673 |
山口 | 82 | 13,081 |
四国 | 265 | 66,945 |
徳島 | 51 | 10,822 |
香川 | 74 | 19,830 |
愛媛 | 93 | 27,545 |
高知 | 47 | 8,748 |
九州 | 918 | 211,318 |
福岡 | 405 | 103,989 |
佐賀 | 52 | 16,595 |
長崎 | 73 | 11,095 |
熊本 | 105 | 16,343 |
大分 | 68 | 13,832 |
宮崎 | 66 | 15,622 |
鹿児島 | 68 | 14,555 |
沖縄 | 81 | 19,287 |
合計 | 12,707 | 3,990,640 |
- ※地区の範囲は以下に定義している。
関東(茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、山梨)
中部(長野、岐阜、静岡、愛知、三重)
北陸(富山、石川、福井)
近畿(滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山)
- 倒産件数の減少要因には、「中小企業金融円滑化法」などの金融支援効果が挙げられる
- 形態別:法的倒産の構成比が年度過去最高の81.5%
- 従業員数別:5人未満の構成比が年度としては過去20年間で最高の67.7%
- 「東日本大震災」が影響した「震災関連」倒産が年度としては682件発生
- 原因別:赤字累積などの「既往のシワ寄せ」が年度としては3年ぶりに前年を上回る
- 負債額別:負債10億円以上が424件 年度としては1990年度以来の低水準
- 資本金別:資本金1億円以上が183件 年度としては14年ぶりに200件を下回る
- 従業員被害状況:7万8,237人、年度としては2年連続で10万人を下回る
- 上場企業倒産が前年度比6件減の4件
当年の主な倒産
- エルピーダメモリ(株)/東京/DRAM製品開発、製造/4,480億円/会社更生法
- (株)安愚楽牧場/栃木/和牛畜産、和牛オーナー制度運営/負債4330億円/民事再生法
- (株)SFコーポレーション/神奈川/消費者金融業/負債1897億円/破産
- (株)太平洋クラブ/東京/ゴルフ場経営/1,100億円/民事再生法
- 太陽殖産(株)/岡山県/不動産業他/負債417億円/会社更生法
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