全国企業倒産状況

2012年(平成24年)の全国企業倒産1万2,124件

倒産件数 1万2,124件
負債総額 3兆8,345億6,300万円
前年比(件数) -4.7% (1万2,734件)
前年比(負債) +6.7% (3兆5,929億2,000万円)

(負債総額1,000万円以上の倒産を集計、%は小数点2位以下切捨)

件数が過去20年間で最少の1万2,124件 円滑化法などの金融支援で抑制続く

2012年(平成24年)の全国企業倒産(負債総額1,000万円以上)は1万2,124件、負債総額が3兆8,345億6,300万円となった。
倒産件数は、前年比4.7%減。4年連続で前年を下回り、1993年以降の過去20年間で最少件数となり、水準としては戦後34番目だった。減少要因としては、「中小企業金融円滑化法」や「セーフティネット保証(5号)」、「東日本大震災復興緊急保証」などの資金繰り支援効果が挙げられる。ただし、都道府県別の件数では、前年を下回ったのが23都府県、増加が22道県と拮抗し、全国的な倒産減少の底打ちを窺わせた。
負債総額は、前年比6.7%増で、2年ぶりに前年を上回った。しかし、水準としては1993年以降の過去20年間で2011年に次いで2番目に少なく、戦後22番目の規模だった。負債1億円未満の倒産が約7割(構成比69.3%)を占め、小規模企業を中心に推移した。

企業倒産年次推移

産業別

産業別倒産件数 卸売業・運輸業・金融保険業で4年ぶりに増加

2012年の産業別は、倒産件数が10産業のうち6産業で前年を下回った。
建設業は3,002件(前年比11.4%減)で4年連続の減少となった。地区別では北陸と中国を除く7地区で前年同月を下回り、復興工事が進む東北は前年比37.8%減(132→82件)だった。小売業も1,431件で4年連続の減少。また製造業(1,790件)・情報通信業(507件)・不動産業(367件)は、そろって3年連続で減少した。またサービス業他(2,608件)は2年ぶりに減少した。
これに対し、卸売業が1,790件(前年比9.0%増)、運輸業が473件(同14.2%増)、金融・保険業が58件(同7.4%増)となり、それぞれ4年ぶりに増加に転じた。このうち、運輸業は燃料価格の高止まりや輸出停滞による物流量低迷が響いた。構成比では、建設業の24.7%を筆頭に、サービス業他が21.5%、卸売業14.7%、製造業14.7%、小売業が11.8%と続く。

産業別分類 件数(件) 負債額(百万円)
農・林・漁・鉱業 98 63,501
建設業 3,002 403,047
製造業 1,790 1,137,362
卸売業 1,790 308,872
小売業 1,431 157,573
金融・保険業 58 442,428
不動産業 367 221,424
運輸業 473 245,872
情報通信業 507 66,083
サービス業他 2,608 788,401
合計 12,124 3,834,563
  • 業種分類のコード(日本標準産業分類に基づく)改訂に伴い、弊社データベースは2009年1月度より新業種分類に移行した。各数値は新業種コードに基づく。

主要産業倒産件数推移

地区別

地区別倒産件数 東北が45年ぶりに400件を下回る

2012年の地区別倒産件数は、9地区のうち6地区で前年を下回った。
このうち、東北は343件(前年比24.1%減)となり、1967年(311件)以来、45年ぶりに400件を下回った。また、関東4,659件(同1.4%減)、近畿3,075件(同11.0%減)、中部1,563件(同4.8減)、中国514件(同0.9%減)、九州890件(同0.2%減)とそれぞれ前年を下回った。一方、北海道が457件(前年比0.6%増)、北陸が350件(同7.0%増)、四国が273件(同3.0%増)と前年を上回った。

  • 北海道:件数が2年連続で前年を上回る。
  • 東北:全体の件数が、45年ぶりの400件割れ。県別件数では、山形のみ前年比増加。
  • 関東:全体の件数が、3年連続で前年を下回る。県別件数では、栃木、群馬、千葉、神奈川、山梨で前年比増加。
  • 中部北陸:全体の件数が、中部は2年ぶりに前年を下回る。北陸は3年ぶりに前年を上回る。県別件数では、静岡、三重、石川、福井で前年比増加。
  • 近畿:全体の件数が、3年連続で前年を下回る。県別件数では、奈良のみ前年比増加。
  • 中国:全体の件数が、2年ぶりに前年を下回る。県別件数では、鳥取、島根、広島、山口で前年比増加。
  • 四国:全体の件数が4年ぶりに前年を下回る。県別件数では、徳島、愛媛で前年比増加。
  • 九州:全体の件数が、2年ぶりに前年を下回る。県別件数では、佐賀、大分、宮崎、鹿児島で前年比増加。
都道府県 件数(件) 負債額(百万円)
北海道 457 86,551
東北 343 133,803
青森 57 52,781
岩手 41 9,552
宮城 69 13,126
秋田 68 26,345
山形 61 10,173
福島 47 21,826
関東 4,659 1,956,461
茨城 133 22,645
栃木 129 36,236
群馬 158 39,773
埼玉 543 69,848
千葉 355 61,698
東京 2,470 1,578,835
神奈川 671 95,805
新潟 142 36,548
山梨 58 15,073
中部 1,563 289,534
長野 138 31,886
岐阜 168 29,255
静岡 339 65,383
愛知 789 103,246
三重 129 59,764
北陸 350 186,857
富山 92 48,631
石川 155 48,670
福井 103 89,556
近畿 3,075 839,974
滋賀 107 55,530
京都 366 44,242
大阪 1,711 539,937
兵庫 623 164,030
奈良 156 16,518
和歌山 112 19,717
中国 514 86,876
鳥取 48 9,838
島根 53 5,727
岡山 110 26,941
広島 223 30,446
山口 80 13,924
四国 273 63,044
徳島 61 11,648
香川 70 16,481
愛媛 92 28,578
高知 50 6,337
九州 890 191,463
福岡 381 82,950
佐賀 57 11,726
長崎 76 22,656
熊本 98 13,316
大分 67 16,178
宮崎 68 19,698
鹿児島 72 14,194
沖縄 71 10,745
合計 12,124 3,834,563
  • ※地区の範囲は以下に定義している。
    東北(青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島)
    関東(茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、山梨)
    中部(長野、岐阜、静岡、愛知、三重)
    北陸(富山、石川、福井)
    近畿(滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山)
    中国(広島、岡山、山口、鳥取、島根)
    四国(香川、徳島、愛媛、高知)
    九州(福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄)

  • 法的倒産の構成比が過去最高の82.7%を占める
  • 従業員数別:5人未満の構成比が過去20年間で最高の68.3%を占める
  • 金融円滑化法に基づく貸付条件変更後の倒産が前年より1.6倍の249件
  • 「東日本大震災」が影響した「震災関連」倒産が487件発生
  • 原因別:赤字累積などの「既往のシワ寄せ」が前年比2割増
  • 上場企業倒産:6件発生で4年ぶりに前年を上回る
  • 負債額別:負債10億円以上の大型倒産が409件、過去20年間で最少
  • 中小企業倒産(中小企業基本法に基づく)が前年比4.8%減、4年連続で前年を下回る

当年の主な倒産

  1. エルピーダメモリ(株)/東京/DRAM製品開発、製造/4,480億3,300万円/会社更生法
  2. (株)クラヴィス/大阪/消費者向け貸金業/3,268億8,700万円/破産
  3. 三光汽船(株)/東京/海運業/1,558億7,400万円/会社更生法
  4. (株)太平洋クラブ/東京/ゴルフ場経営/1,100億円/民事再生法
  5. NISグループ(株)/東京/総合金融サービス事業/512億4200万円/民事再生法

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

2025年1-9月の「人手不足」倒産が過去最多 「従業員退職」が前年の1.6倍増、初の年間300件超へ

2025年9月に「人手不足」が一因となった倒産は、調査を開始した2013年以降では月間最多の46件(前年同月比109.0%増)を記録した。また、2025年1-9月累計も、過去最多の285件(前年同期比31.3%増)に達し、人手不足はより深刻さを増していることがわかった。

2

  • TSRデータインサイト

ケーキや和菓子は「高値の花」に、スイーツ店が苦境 倒産は過去20年で最多ペース、競合商品も台頭

街のスイーツ店が苦境に陥っている。材料コストの上昇、酷暑、人手不足が重なり、商品値上げによる高級化も購入機会の減少につながったようだ。2025年1-9月の菓子製造小売の倒産は、過去20年で最多の37件に達した。

3

  • TSRデータインサイト

2025年1-9月「後継者難」倒産が過去2番目 332件 高齢化が加速、事業承継の支援が急務

代表の高齢化が進み、後継者が不在のため事業に行き詰まる企業が高止まりしている。2025年1-9月の「後継者難」倒産(負債1,000万円以上)は332件(前年同期比4.5%減)で、2年ぶりに前年同期を下回った。だが、2025年は過去最多だった前年同期の348件に次ぐ、過去2番目の高水準だった。

4

  • TSRデータインサイト

2025年 全国160万5,166社の“メインバンク“調査

全国160万5,166社の“メインバンク”は、三菱UFJ銀行(12万7,264社)が13年連続トップだった。2位は三井住友銀行(10万1,697社)、3位はみずほ銀行(8万840社)で、メガバンク3行が上位を占めた。

5

  • TSRデータインサイト

2025年度上半期の「円安」倒産30件 仕入コスト上昇が卸売業を直撃

2025年度上半期(4-9月)の「円安」関連倒産は、30件(前年同期比31.8%減)だった。上半期では、2022年度以降の円安では前年度の44件に次いで、2番目の高水準になった。

TOPへ