全国企業倒産状況

2022年1月の全国企業倒産452件

2022年1月の倒産

1月の倒産は49年ぶりの低水準、コロナ関連倒産は13カ月連続で100件超

 2022年1月度の全国企業倒産(負債額1,000万円以上)は、件数が452件(前年同月比4.6%減)、負債総額は669億4,000万円(同17.7%減)だった。
件数は、2021年6月以降、8カ月連続で前年同月を下回った。1月としては2年連続で500件を下回り、1973年(449件)以来、49年ぶりの低水準となった。
負債総額は、3カ月連続で前年同月を下回った。1月最大の倒産は、砕石・建材製造販売のタストン・リサイクル(株)(東京、破産、負債51億1,700万円)で、負債100億円以上の大型倒産はゼロ(前年同月1件)だった。同10億円以上も12件(同13件)にとどまった。
また、同5億円以上10億円未満は13件(同16件)、同1億円以上5億円未満も83件(同94件)と、それぞれ前年同月を下回った。同1億円未満は344件(同351件)で、全体の8割近く(構成比76.1%)を占め、依然として小規模倒産を主体とした状況が続く。
1月の「新型コロナウイルス」関連倒産は120件(前年同月比16.5%増、構成比26.5%)で、2021年1月から13カ月連続で100件超で推移。2020年2月からの累計は2,589件に達した。

企業倒産月次推移


  • 「人手不足」関連倒産のうち、「後継者難」が32件(前年同月23件)
  • 形態別件数:破産が403件。法的倒産の構成比が、20カ月連続で90%台
  • 都道府県別件数:前年同月を上回ったのが16都道県、減少27府県、同数4県
  • 負債別件数:負債1億円未満の構成比が76.1%、5カ月ぶりに100億円以上が発生しなかった
  • 業種別件数:繊維・衣服等卸売業、道路貨物運送業、医療,福祉事業などが増加
  • 従業員数別件数:10人未満の構成比が90.7%、300人以上は13カ月連続でゼロ
  • 中小企業倒産件数(中小企業基本法に基づく)は452件で、6カ月連続で100.0%

産業別 10産業のうち5産業で前年同月を上回る

 2022年1月の産業別は、最多がサービス業他の141件(前年同月比18.9%減)で、8カ月連続で前年同月を下回った。また、2021年2月(129件)以来、11カ月ぶりに、150件を下回った。
このほか、小売業54件(前年同月比3.5%減)、情報通信業17件(同19.0%減)は8カ月連続、農・林・漁・鉱業3件(前年同月5件)、金融・保険業2件(同5件)は2カ月連続で、それぞれ前年同月を下回った。
一方、運輸業25件(前年同月比25.0%増)は3カ月連続、建設業85件(同3.6%増)は2カ月連続、卸売業61件(同10.9%増)、不動産業22件(同15.7%増)は2カ月ぶりに、それぞれ前年同月を上回った。
また、製造業は42件(同13.5%増)で、2020年4月以来、1年9カ月ぶりに増加した。ただ、2021年8月(45件)以来の40件台にとどまった。

2022年1月の産業別倒産

産業別倒産月次推移

地区別 倒産件数が東日本で増加、西日本で減少

 2022年1月の地区別件数は、北海道、東北、関東を除く6地区で前年同月を下回った。
北海道8件(前年同月比14.2%増)、東北30件(同76.4%増)は、それぞれ2カ月ぶりに前年同月を上回った。関東197件(同12.5%増)は、8カ月ぶりに増加した。
一方、近畿113件(同13.0%減)は、8カ月連続で前年同月を下回った。また、九州39件(同7.1%減)は3カ月連続、中部40件(同35.4%減)、中国14件(同39.1%減)は2カ月ぶり、北陸7件(同22.2%減)、四国4件(同55.5%減)は3カ月ぶりに、それぞれ前年同月を下回った。

2022年1月の都道府県別倒産

地区の範囲は以下に定義している。

  • 東北(青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島)
  • 関東(茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、山梨)
  • 中部(長野、岐阜、静岡、愛知、三重)
  • 北陸(富山、石川、福井)
  • 近畿(滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山)
  • 中国(広島、岡山、山口、鳥取、島根)
  • 四国(香川、徳島、愛媛、高知)
  • 九州(福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄)

当月の主な倒産

[負債額上位5社]

  1. タストン・リサイクル(株)/東京都/砕石・建材製造販売/51億1,700万円/破産
  2. (株)まつえ環境の森/島根県/産業廃棄物処理業/45億円/民事再生法
  3. 福田商事(株)/東京都/不動産賃貸/42億円/破産
  4. (株)ミレニアム/東京都/持株会社/27億9,900万円/民事再生法
  5. (株)トラベルレンタカー/沖縄県/レンタカー事業/23億3,700万円/民事再生法

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

ハンバーガー店の倒産、最多更新 ~ 材料高騰、大手と高級店の狭間で模索 ~

年齢を問わず人気のハンバーガー店が苦境だ。2024年は1件だった倒産が、2025年は8月までに7件に達し、過去最多の2014年の年間6件を上回った。

2

  • TSRデータインサイト

2025年「全国のメインバンク」調査 ~GMOあおぞらネット銀行 メイン社数の増加率2年連続トップ~

「2025年全国企業のメインバンク調査」で、GMOあおぞらネット銀行が取引先のメインバンク社数の増加率(対象:500社以上)が2年連続でトップとなった。

3

  • TSRデータインサイト

タクシー業界 売上増でも3割が赤字 人件費・燃料費の高騰で二極化鮮明

コロナ禍を経て、タクシー業界が活況を取り戻している。全国の主なタクシー会社680社の2024年度業績は、売上高3,589億5,400万円(前期比10.6%増) 、利益83億3,700万円(同11.1%増)で、増収増益をたどっている。

4

  • TSRデータインサイト

「葬儀業」は老舗ブランドと新興勢力で二極化 家族葬など新たな潮流を契機に、群雄割拠

全国の主な葬儀会社505社は、ブランド力の高い老舗企業を中心に、売上高を堅調に伸ばしていることがわかった。 ただ、新たに設立された法人数が、休廃業・解散や倒産を上回り、市場は厳しい競争が繰り広げられている。

5

  • TSRデータインサイト

2025年 全国160万5,166社の“メインバンク“調査

全国160万5,166社の“メインバンク”は、三菱UFJ銀行(12万7,264社)が13年連続トップだった。2位は三井住友銀行(10万1,697社)、3位はみずほ銀行(8万840社)で、メガバンク3行が上位を占めた。

TOPへ