全国企業倒産状況
2016年10月の全国企業倒産683件
倒産件数が683件 10月としては26年ぶりに700件を下回る
2016年(平成28年)10月度の全国企業倒産(負債額1,000万円以上)は、件数が683件、負債総額は1,112億3,500万円だった。
倒産件数は、前年同月比7.9%減(59件減)で、2カ月連続で前年同月を下回った。10月としては1990年(646件)以来、26年ぶりに700件を下回る低水準。依然として、金融機関が中小企業のリスケ要請に対応しているほか、財務内容に改善の兆しがみえる企業への貸出増も影響しているとみられる。
負債総額は、前年同月比4.7%増(49億9,400万円増)で2カ月ぶりに前年同月を上回った。ただし、10月としては過去20年間で2015年(1,062億4,100万円)に次いで、2番目に少なかった。負債100億円以上の大型倒産は2件(前年同月ゼロ)発生したが、全体としては、負債1億円未満が481件(構成比70.4%)と7割を占め、依然として小規模倒産が過半であることに変化がない。
- 形態別:法的倒産の構成比が過去2番目に高率の90.9%
- 従業員数別:5人未満の構成比が74.3%、7カ月連続で70%を上回る
- 原因別件数:赤字累積などの「既往のシワ寄せ」が3カ月連続で前年同月を上回る
- 負債別:負債100億円以上の大型倒産が2件発生
- 「チャイナリスク」関連倒産が7件、5カ月連続の1桁台
- 「熊本地震」関連倒産が発生なし、累計8件
- 業種別:ソフトウェア業(5→19件)、老人福祉・介護事業(5→11件)、飲食業(36→52件)などで増加
- 中小企業倒産(中小企業基本法に基づく)が、3カ月連続ですべて(構成比100%)を占める
産業別 10産業のうち5産業で倒産増加
2016年10月の産業別倒産件数は、10産業のうち5産業で前年同月を上回った。
このうち、不動産業が31件(前年同月比82.3%増)で5カ月連続、飲食業や老人福祉・介護事業などを含むサービス業他が183件(同12.2%増)で3カ月連続で前年同月を上回った。また、情報通信業は、2月と並び今年最多の36件(同89.4%増)になり、5カ月ぶりに増加に転じた。主にソフトウェア業(5→19件)の急増が影響した。
一方、建設業は114件(前年同月比29.1%減)で2カ月連続で前年同月を下回り、製造業が86件(同14.0%減)で3カ月ぶりに減少し、ともに今年最少にとどまった。運輸業も8月と並び今年最少の14件(同54.8%減)で3カ月連続で前年同月を下回った。また、卸売業107件(同17.6%減)と小売業101件(同12.1%減)は、ともに2カ月連続で前年同月を下回った。
地区別 東北の倒産件数が4カ月連続で前年同月を上回る
2016年10月の地区別件数は、9地区のうち6地区で前年同月を下回った。
こうしたなか、増加したのは2地区。東北が35件(前年同月比9.3%増)で4カ月連続、九州が56件(同1.8%増)で3カ月ぶりに増加に転じた。
東北の産業別では、東北が建設業(7→9件)や小売業(6→8件)などで増加をみせた。また、九州では、サービス業他(7→17件)と増加が目立ち、特に飲食業(ゼロ→5件)、宿泊業(ゼロ→3件)が件数を押し上げた。
一方、関東280件(前年同月比5.4%減)と中部87件(同2.2%減)が2カ月連続の減少。中国が21件(同32.2%減)で6カ月ぶりの減少。近畿163件(同9.4%減)と北陸11件(同31.2%減)および四国が8件(同61.9%減)で3カ月ぶりに前年同月を下回った。このほか、北海道が前年同月同数の22件だった。
※地区の範囲は以下に定義している。
- 東北(青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島)
- 関東(茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、山梨)
- 中部(長野、岐阜、静岡、愛知、三重)
- 北陸(富山、石川、福井)
- 近畿(滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山)
- 中国(広島、岡山、山口、鳥取、島根)
- 四国(香川、徳島、愛媛、高知)
- 九州(福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄)
当月の主な倒産
[負債額上位5社]
- リペアハウス(株)/東京都/投資業/114億4,600万円/破産
- (株)シンワゴルフリゾート/大阪府/リゾート会員権売買ほか/100億円/特別清算
- (株)ニシアセッツ/三重県/不動産賃貸/29億円/破産
- (株)シービ商事/大阪府/婦人服卸/25億8,400万円/特別清算
- (株)ハートウエル/愛媛県/タオル製品製造、染晒・タオル後処理加工/23億2,200万円/民事再生法