全国企業倒産状況

2015年11月の全国企業倒産711件

2015年11月の倒産

倒産件数が711件 11月度としては1990年以来の低水準

 2015年(平成27年)11月度の全国企業倒産(負債額1,000万円以上)は、件数が711件、負債総額は1,416億5,000万円だった。
倒産件数は、前年同月比3.3%減(25件減)で、8カ月連続で前年同月を下回った。また11月度としては、1990年(633件)以来の低水準だった。
金融機関が中小企業のリスケ要請に柔軟に応じるなどの金融支援や、大手輸出企業を中心とした業績拡大に牽引される形で景気が底上げされていることも影響した。ただし、前年同月比での減少率は、今年最低にとどまり今後の推移が注目される。
一方、負債総額は前年同月比22.6%増(261億7,300万円増)で2カ月ぶりに前年同月を上回った。10億円以上の大型倒産が24件(前年同月18件)と、8カ月ぶりに前年同月を上回り、このうち負債100億円の大型倒産が2カ月ぶりに発生した。ただし、11月度としては過去20年間で3番目に少ない水準だった。

企業倒産月次推移


  • 負債別:負債10億円以上の大型倒産24件、8カ月ぶりに前年同月を上回る
  • 形態別:民事再生法が18件、9カ月ぶりに前年同月を上回る
  • 原因別件数:赤字累積などの「既往のシワ寄せ」が2カ月連続で増加
  • 従業員被害者数が3,681人(前年同月比1.5%増)、5カ月ぶりに前年同月を上回る
  • 「円安」関連倒産が13件、2カ月連続で2桁推移
  • 「東日本大震災」関連倒産が9件、8カ月連続で前年同月を下回る
  • 業種別:電機小売(3→10件)、化学品製造(8→12件)などで増加
  • 中小企業倒産(中小企業基本法に基づく)が、8カ月連続で前年同月を下回る

産業別 製造業や小売業などで倒産件数増加

 11月の産業別倒産件数は、10産業のうち6産業で前年同月を下回った。
こうしたなか、製造業は112件(前年同月比23.0%増)で3カ月ぶりに前年同月を上回った。内訳では、外衣・シャツ製造(6→12件)、惣菜製造などを含む、その他の食料品製造(2→8件)などで増加が目立った。また、小売業が97件(前年同月比42.6%増)で2カ月ぶりに前年同月を上回り、内訳では電気機械器具などの機械器具小売(3→12件)で増加した。不動産業は26件(同13.0%増)で6カ月ぶりに前年同月を上回った。
一方、建設業は138件(前年同月比3.4%減)で17カ月連続で前年同月を下回ったが、内訳では土木工事が2年4カ月ぶりに増加に転じた。また、卸売業は110件(同11.2%減)で2カ月ぶりに前年同月を下回った。サービス業他が163件(同22.7%減)で4カ月連続で前年同月を下回り、運輸業も26件(同18.7%減)で2カ月連続で減少した。金融保険業は今年最多の11件(同120.0%増)になった。

2015年11月の産業別倒産

産業別倒産月次推移

地区別 9地区のうち6地区で前年同月を下回る

 11月の地区別倒産件数は、9地区のうち6地区で前年同月を下回った。こうしたなか、関東は287件(前年同月比3.9%増)で2カ月連続で前年同月を上回った。また、九州59件(同7.2%増)と北海道15件(同7.1%増)がともに2カ月ぶりに前年同月を上回った。
産業別では関東が機械器具小売などの小売業(17→34件)や印刷・同関連業を含む製造業(33→45件)などで増加が目立った。九州は建設業(7→19件)や飲食料品などの小売業(5→14件)などで増加をみせた。一方、北陸が18件(前年同月比10.0%減)で15カ月連続、近畿は184件(同2.6%減)で3カ月連続の減少。中部82件(同12.7%減)と中国25件(同28.5%減)がそれぞれ5カ月連続の減少。東北28件(同26.3%減)と四国13件(同13.3%減)がともに2カ月ぶりに減少に転じた。このうち、北海道が今年最少にとどまった。

2015年11月の都道府県別倒産

地区の範囲は以下に定義している。

  • 東北(青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島)
  • 関東(茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、山梨)
  • 中部(長野、岐阜、静岡、愛知、三重)
  • 北陸(富山、石川、福井)
  • 近畿(滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山)
  • 中国(広島、岡山、山口、鳥取、島根)
  • 四国(香川、徳島、愛媛、高知)
  • 九州(福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄)

当月の主な倒産

[負債額上位5社]

  1. オプティ・メディックス・リミテッド/東京都/診療報酬債権等売買/129億3,100万円/破産
  2. (株)オプティファクター/東京都/診療報酬債権ファクタリング/69億6,900万円/破産
  3. (株)ニューグリーンステイくじゅう/大分県/ゴルフ場経営ほか/62億8,700万円/民事再生法
  4. ソマテック(株)/宮城県/コーティング製品製造販売/60億円/特別清算
  5. メディカル・トレンド・リミテッド/東京都/診療報酬債権等売買/56億6,700万円/破産

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

ハンバーガー店の倒産、最多更新 ~ 材料高騰、大手と高級店の狭間で模索 ~

年齢を問わず人気のハンバーガー店が苦境だ。2024年は1件だった倒産が、2025年は8月までに7件に達し、過去最多の2014年の年間6件を上回った。

2

  • TSRデータインサイト

2025年「全国のメインバンク」調査 ~GMOあおぞらネット銀行 メイン社数の増加率2年連続トップ~

「2025年全国企業のメインバンク調査」で、GMOあおぞらネット銀行が取引先のメインバンク社数の増加率(対象:500社以上)が2年連続でトップとなった。

3

  • TSRデータインサイト

タクシー業界 売上増でも3割が赤字 人件費・燃料費の高騰で二極化鮮明

コロナ禍を経て、タクシー業界が活況を取り戻している。全国の主なタクシー会社680社の2024年度業績は、売上高3,589億5,400万円(前期比10.6%増) 、利益83億3,700万円(同11.1%増)で、増収増益をたどっている。

4

  • TSRデータインサイト

「葬儀業」は老舗ブランドと新興勢力で二極化 家族葬など新たな潮流を契機に、群雄割拠

全国の主な葬儀会社505社は、ブランド力の高い老舗企業を中心に、売上高を堅調に伸ばしていることがわかった。 ただ、新たに設立された法人数が、休廃業・解散や倒産を上回り、市場は厳しい競争が繰り広げられている。

5

  • TSRデータインサイト

2025年 全国160万5,166社の“メインバンク“調査

全国160万5,166社の“メインバンク”は、三菱UFJ銀行(12万7,264社)が13年連続トップだった。2位は三井住友銀行(10万1,697社)、3位はみずほ銀行(8万840社)で、メガバンク3行が上位を占めた。

TOPへ