全国企業倒産状況
2014年12月の全国企業倒産686件
倒産件数が686件 12月度としては25年ぶりの700件割れ
2014年(平成26年)12月度の全国企業倒産は、件数(負債額1,000万円以上)が686件、負債総額は1,783億1,400万円だった。
倒産件数は、前年同月比8.5%減(64件減)で3カ月連続で前年同月を下回った。12月度としては1989年(493件)以来、25年ぶりに700件を下回る低水準だった。
これは、金融機関が中小企業のリスケ要請に応じていることや、年末資金の円滑化が図られたこと。さらに景気対策として実施された公共事業の前倒し発注などが影響した。
一方、負債総額は同32.6%増(439億3,700万円増)で、11カ月ぶりに前年同月を上回った。負債100億円以上の大型倒産が4カ月ぶりに発生して負債を押し上げた。ただし、負債1億円未満の構成比は72.4%と全体の7割を占めた。また、従業員数別でも5人未満の構成比が72.5%を占めるなど、小規模企業の倒産が目立った。
- 上場企業倒産:16カ月連続発生なし(過去3番目の長さ)
- 従業員数別:5人未満の構成比が高率の72.5%を占める
- 従業員被害者数が3,616人、2カ月連続で4,000人を割り込む
- 形態別:民事再生法が16件、2014年では最少
- 原因別:「他社倒産の余波」が4カ月連続で前年同月を上回る
- 「円安」関連倒産が22件発生(前年同月13件)
- 金融円滑化法に基づく貸付条件変更後の倒産が16件、11カ月連続で前年同月を下回る
- 中小企業倒産(中小企業基本法に基づく)が685件、3カ月連続の減少
産業別 サービス業他、運輸業、不動産業などで前年同月比増加
2014年12月の産業別倒産件数は、10産業のうち6産業で前年同月を下回った。
こうしたなか、飲食業や広告業などを含むサービス業他が171件(前年同月比4.9%増)で2カ月連続の増加。また、運輸業が31件(同40.9%増)で8カ月ぶりに前年同月を上回り、前月に減少に転じた不動産業は27件(同8.0%増)で再び増加した。件数が少ないが農・林・漁・鉱業も10件(同11.1%増)で2カ月連続で前年同月を上回った。
一方、製造業は109件(前年同月比16.1%減)で17カ月連続で減少した。建設業は126件(同14.8%減)で6カ月連続の減少、業種別では公共工事の前倒し執行の影響で土木工事が22件(前年同月24件)と前年同月を下回っている。
また、消費税率引き上げの影響が懸念される小売業は、88件(前年同月比16.1%減)で8カ月連続で前年同月を下回った。
地区別 9地区のうち7地区で件数が前年同月を下回る
2014年12月の地区別倒産件数は、9地区のうち7地区で前年同月を下回った。
こうしたなか、北海道は23件(前年同月比27.7%増)で4カ月ぶりに前年同月を上回った。業種別では、水産加工などの製造業(2→5件)や小売業(ゼロ→3件)で増加した。また、九州は55件(前年同月比17.0%増)で2カ月ぶりに増加し、業種別では、飲食業を中心にサービス業他(11→13件)、小売業(5→10件)などで前年同月を上回った。
一方、北陸11件(前年同月比45.0%減)は、4カ月連続で前年同月を下回り、中部90件(同11.7%減)・関東270件(同7.2%減)・近畿183件(同7.5%減)は、そろって3カ月連続で前年同月を下回った。
また、四国が12件(同7.6%減)で5カ月ぶりに減少、東北18件(同45.4%減)と中国24件(同14.2%減)は、2カ月ぶりに減少に転じた。
※地区の範囲は以下に定義している。
- 東北(青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島)
- 関東(茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、山梨)
- 中部(長野、岐阜、静岡、愛知、三重)
- 北陸(富山、石川、福井)
- 近畿(滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山)
- 中国(広島、岡山、山口、鳥取、島根)
- 四国(香川、徳島、愛媛、高知)
- 九州(福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄)
当月の主な倒産
[負債額上位5社]
- (株)インターナショナルイーシー/東京都/不動産賃貸/485億5,300万円/破産
- 姫路土地(株)/大阪府/ボウリング場経営/98億円/特別清算
- (株)J-NEXT/東京都/情報処理サービス/77億7,400万円/特別清算
- (株)TN企画/長崎県/まき網漁業/70億円/破産
- (株)ASS/愛知県/建築工事、不動産賃貸ほか/40億円/民事再生法