全国企業倒産状況

2011年(平成23年)10月度 全国企業倒産状況

倒産件数 976件
負債総額 1,558億8,300万円
前月比(件数) -2.4%(前月 1,001件)
前月比(負債) -26.5%(前月 2,123億1,200万円)
前年同月比(件数) -14.0%(前年同月 1,136件)
前年同月比(負債) -70.0%(前年同月 5,200億5,000万円)

(負債総額1,000万円以上の倒産を集計、%は小数点2位以下切捨)

倒産件数が前年同月比14.0%減の976件 「円高」関連倒産が今年最多の9件


2011(平成23)年10月度の全国企業倒産件数(負債額1,000万円以上)は976件、負債総額が1,558億8,300万円となった。

 

 倒産件数は、前年同月比14.0%減で、2月(987件)以来、8カ月ぶりに1,000件を割り込み、今年最少となった。10月としても、バブル崩壊後の1992年以降の過去20年間では、2004年(1,124件)を下回り最少件数を記録した。

 倒産が沈静化している背景には、中小企業金融円滑化法や景気対応緊急保証、セーフティネット貸付のほか、「東日本大震災復興緊急保証」などの政府の資金繰り支援策の下支え効果がある。こうしたなか、「円高」関連倒産が今年最多の9件発生した。

 

 負債総額は、同70.0%減と大幅に減少した。これは負債10億円以上の大型倒産が同33.3%減の30件(前年同月45件)と、6月(28件)に次いで今年2番目に少なかったほか、同100億円以上の大型倒産が2010年8月以来のゼロ件だったことによる。

企業倒産月次推移

 


産業別


産業別倒産件数 10産業のうち9産業で前年同月を下回る

  減少率は、金融・保険業83.3%減(6→1件)、不動産業37.5%減(40→25件)、農・林・漁・鉱業28.5%減(7→5件)、運輸業27.4%減(51→37件)、情報通信業23.2%減(43→33件)、サービス業他21.7%減(257→201件)、製造業18.2%減(175→143件)、建設業8.1%減(294→270件)、卸売業1.5%減(132→130件)の順。小売業は前年同月と同件数の131件だった。

 このうち製造業が9カ月連続、建設業が3カ月連続でそれぞれ前年同月を下回った。また、情報通信業は今年に入り最少件数となった。


産業別分類 件数(件) 負債額(百万円)
農・林・漁・鉱業 5 2,250
建設業 270 37,016
製造業 143 48,020
卸売業 130 25,194
小売業 131 10,135
金融・保険業 1 90
不動産業 25 8,891
運輸業 37 4,067
情報通信業 33 2,336
サービス業他 201 17,884
合計 976 155,883


※業種分類のコード(日本標準産業分類に基づく)改訂に伴い、弊社データベースは2009年1月度より新業種分類に移行した。各数値は新業種コードに基づく。

主要産業倒産件数推移


地区別

地区別倒産件数 9地区のうち6地区で前年同月を下回る

 減少率は、東北30.4%減(46→32件)、四国25.0%減(20→15件)、近畿17.9%減(351→288件)、北陸17.2%減(29→24件)、関東17.0%減(423→351件)、中部10.7%減(140→125件)の順。震災の直接被災地である東北は10カ月連続で減少した。

 これに対し増加は、九州14.0%増(64→73件)、中国12.1%増(33→37件)、北海道3.3%増(30→31件)の3地区だった。

・北海道:件数が2カ月ぶりに前年同月を上回った。

・東北:全体の件数が、10カ月連続で前年同月を下回る。県別件数では、青森、岩手で前年同月比増加。

・関東:全体の件数が、3カ月連続で前年同月を下回る。県別件数では、神奈川のみ前年同月比増加。

・中部北陸:全体の件数が、中部は2カ月ぶりに前年同月比減少、北陸は3カ月連続で前年同月を下回る。県別件数では、岐阜と福井で前年同月比増加。

・近畿:全体の件数が、4カ月連続で300件を下回る。県別件数では、奈良のみ前年同月比増加。

・中国:全体の件数が、6カ月連続で前年同月を上回る。県別件数では、鳥取、島根、岡山で前年同月比増加。

・四国:全体の件数が、2カ月連続で前年同月を下回る。県別件数では、高知のみ前年同月比増加。

・九州:全体の件数が、2カ月ぶりに前年同月を上回る。県別件数では、福岡、佐賀、長崎、大分、宮崎、鹿児島で前年同月比増加。

都道府県 件数(件) 負債額(百万円)
北海道 31 2,976
東北 32 7,299
青森 6 536
岩手 6 393
宮城 7 325
秋田 1 57
山形 6 292
福島 6 5,696
関東 351 73,141
茨城 17 1,169
栃木 9 2,833
群馬 10 2,459
埼玉 43 5,238
千葉 25 7,978
東京 166 37,537
神奈川 64 4,871
新潟 13 10,610
山梨 4 446
中部 125 22,550
長野 11 1,942
岐阜 16 1,944
静岡 26 7,157
愛知 64 9,499
三重 8 2,008
北陸 24 1,989
富山 5 341
石川 12 1,022
福井 7 626
都道府県 件数(件) 負債額(百万円)
近畿 288 29,928
滋賀 10 834
京都 37 7,052
大阪 164 14,864
兵庫 56 5,487
奈良 13 1,284
和歌山 8 407
中国 37 4,942
鳥取 4 372
島根 7 2,485
岡山 14 1,252
広島 9 445
山口 3 388
四国 15 3,255
徳島 3 1,230
香川 4 1,082
愛媛 4 313
高知 4 630
九州 73 9,803
福岡 33 2,726
佐賀 4 1,300
長崎 6 675
熊本 10 1,587
大分 6 1,497
宮崎 3 90
鹿児島 6 1,643
沖縄 5 285
合計 976 155,883


※地区の範囲は以下に定義している。

関東(茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、山梨)

中部(長野、岐阜、静岡、愛知、三重)

北陸(富山、石川、福井)

近畿(滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山)


 

◎法的倒産件数の構成比が過去最高の83.1%

◎中小企業金融円滑化法」に基づく返済猶予利用後の倒産が17件発生

◎「東日本大震災」が影響した「震災関連」倒産が45件(10月集計時点累計425件)、6カ月ぶりに50件を下回る

◎従業員被害者数が今年最少の5,356人、2カ月連続で6,000人を下回る

◎資本金別:1億円以上が今年最少の9件

◎従業員数5人未満の構成比が今年最高の69.1%

◎中小企業倒産(中小企業基本法に基く):前年同月比14.0%減の972件

当月の主な倒産


理建工業(株)/東京/防水・内装工事、飲食店経営/負債90億円/銀行取引停止

柏崎シルバー精工(株)/新潟/プラスチック成形品ほか製造/負債82億円/銀行取引停止

三洋ジーエスソフトエナジー(株)/京都/蓄電池製造/負債49億円/特別清算

小川テント(株)/東京/テント製品製造/負債48億円/破産

(株)アルファ・イチマルマル/静岡/不動産賃貸業/負債28億円/破産


禁・転載・複写

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