全国企業倒産状況

2007年度(平成19年度)上半期(4月〜9月) 全国企業倒産状況

倒産件数 7,081件
負債総額 2兆9,809億7,400万円
前年同期比(件数) +8.4%(前年同期 6,531件)
前年同期比(負債) +17.8%(前年同期 2,530,490百万円)

(負債総額1,000万円以上の倒産を集計、%は小数点2位以下切捨)

倒産件数、前年同期比8.4%増の7,081件、年度上半期としては4年ぶりの7,000件台

 2007年度(平成19年度)上半期(4月〜9月)の全国企業倒産(負債総額1,000万円以上)は7,081件、負債総額は2兆9,809億7,400万円となった。※ 当社の倒産集計は、法的倒産のほかに銀行取引停止処分等の私的倒産を含む。

 倒産件数は、前年同期比550件増、8.4%増で年度上半期としては2年連続前年同期比増加となり、4年ぶりに7,000件を上回った。ただし件数自体は、年度上半期としては最近10年間で4番目に少なかった。このように景気拡大を反映して倒産件数は、過去データからみて依然低い水準で推移しているが、月次ベースでは2007年4月以降6カ月連続で前年同月比増加となるなど、その動きは横ばいから緩やかに増加に転じていることから今後の動向には注意が必要である。

負債総額は、前年同期比4,504億8,400万円増、17.8%増となり、年度上半期としては7年ぶりに前年同期を上回った。増加要因としては、麻布建物(株)(東京都・負債5,648億円・8月)の大型倒産が影響した。この1件だけで負債総額の約2割(構成比18.9%)を占めた。全体では、負債1億円未満が同4.0%増の4,500件(構成比63.5%)で、年度上半期倒産の6割を占めるなど小規模倒産が目立った

産業別

倒産件数、10産業のうち8産業で前年同期比増加

 前年同期比増加率は、金融・保険業22.5%増(31→38件)、情報通信業18.8%増(159→189件)、製造業15.6%増(903→1,044件)、サービス業他15.3%増(1,183→1,364件)、運輸業12.0%増(207→232件)、卸売業9.6%増(929→1,019件)、小売業8.6%増(834→906件)、建設業0.3%増(2,028→2,035件)の順。

これに対して減少は、不動産業1.3%減(222→219件)のみ。このほか農・林・漁・鉱業が前年同期同数(35→35件)だった。

産業別分類 件数(件) 負債額(百万円)
農・林・漁・鉱業 35 16,538
建設業 2,035 444,109
製造業 1,044 343,386
卸売業 1,019 279,872
小売業 906 120,331
金融・保険業 38 133,865
不動産業 219 753,639
運輸業 232 58,575
情報通信業 189 33,887
サービス業他 1,364 796,772
合計 7,081 2,980,974

※業種分類のコード改訂(日本標準産業分類に基づく)に伴い、弊社データベースは2004年1月度より新業種分類に移行。このため、産業別分類は従来の9産業から10産業に変更している。各数値は新業種コードに基づく。

地区別

 倒産件数、9地区のうち6地区で前年同期比増加。増加率は、北海道21.5%増(255→310件)、中部14.8%増(659→757件)、関東14.2%増(2,098→2,397件)、九州13.3%増(605→686件)、四国4.4%増(200→209件)、近畿4.1%増(1,803→1,878件)の順。これに対して減少率は、中国10.0%減(320→288件)、東北7.5%減(413→382件)、北陸2.2%減(178→174件)の3地区だった。

また都道府県別倒産件数では、前年同期を上回ったのが31都道府県、減少が16府県となった

  • 北海道:件数は年度上半期としては4年ぶりに300件台に上昇
  • 東北:全体の件数は年度上半期としては2年連続減少、県別件数では秋田、福島で前年同期比増加
  • 関東:全体の件数は年度上半期としては5年ぶりの前年同期比増加、県別件数は千葉を除く1都7県で前年同期比増加、負債総額では東京が年度上半期としては3年ぶりの1兆円超え
  • 中部北陸:中部の件数は年度上半期としては2年ぶりに前年同期比増加、北陸の件数は2年ぶりに前年同期比減少。県別件数では長野、岐阜、愛知、三重、富山、福井で前年同期比増加
  • 近畿:全体の件数が年度上半期としては3年連続増加、県別件数では滋賀、大阪、兵庫、奈良、和歌山で前年同期比増加
  • 中国:全体の件数は年度上半期としては2年ぶりに前年同期比減少、県別件数では島根のみ前年同期比増加
  • 四国:全体の件数は年度上半期としては2年連続前年同期比増加、県別件数では香川、愛媛で前年同期比増加
  • 九州:全体の件数は、年度上半期としては2年ぶりに前年同期比増加、県別件数では福岡、佐賀、長崎、大分、宮崎、鹿児島で前年同期比増加
都道府県 件数(件) 負債額(百万円)
北海道 310 89,531
東北 382 151,077
青森 49 8,521
岩手 49 13,917
宮城 87 19,392
秋田 59 8,730
山形 67 9,591
福島 71 90,926
関東 2,397 1,588,727
茨城 99 52,499
栃木 63 28,169
群馬 98 28,171
埼玉 242 63,387
千葉 142 65,800
東京 1,277 1,197,535
神奈川 336 75,391
新潟 86 51,131
山梨 54 26,644
中部 757 330,448
長野 101 55,683
岐阜 106 44,275
静岡 131 129,109
愛知 342 88,670
三重 77 12,711
北陸 174 49,233
富山 45 9,420
石川 57 23,322
福井 72 16,491
近畿 1,878 364,891
滋賀 88 10,981
京都 220 51,865
大阪 1,080 155,836
兵庫 351 88,544
奈良 93 32,515
和歌山 46 25,150
中国 288 135,075
鳥取 19 6,755
島根 39 14,904
岡山 85 61,900
広島 104 43,987
山口 41 7,529
四国 209 75,884
徳島 32 10,802
香川 57 19,666
愛媛 75 26,997
高知 45 18,419
九州 686 196,108
福岡 264 62,329
佐賀 41 14,231
長崎 81 31,739
熊本 64 10,596
大分 63 17,491
宮崎 57 28,551
鹿児島 77 25,256
沖縄 39 5,915
合計 7,081 2,980,974
  • ※地区の範囲は以下に定義している。
    関東(茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、山梨)
    中部(長野、岐阜、静岡、愛知、三重)
    北陸(富山、石川、福井)
    近畿(滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山)
  • 形態別:破産件数が前年同期比13.0%増の4,074件、年度上半期として過去最多
  • 負債額別:負債1億円未満の構成比が63.5%を占める
  • 従業員数別:従業員数5人未満が前年同期比5.6%増の4,248件、構成比が59.9%を占める
  • 原因別:販売不振の構成比が64.7%を占める
  • 企業倒産に伴う従業員被害者数が前年同期比18.5%増の6万1,598人、4年ぶりに6万人を上回る
  • 第三セクターの倒産が10件発生した
  • 上場企業倒産が3件発生した

当期の主な倒産

  • 麻布建物(株)/東京都/不動産業/564,800百万円/会社更生法
  • シーコム(株)/東京都/ホテル、海運業/109,700百万円/破産
  • (株)クレディア/静岡県/金融業/75,708百万円/民事再生法
  • (株)ダイエー/福島県/パチンコ店経営/63,600百万円/民事再生法
  • みらい建設工業(株)/東京都/土木・建築工事/42,200百万円/民事再生法

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