東日本大震災から12年、震災関連倒産は累計2,019件に
~「東日本大震災」関連倒産(2月28日現在)~
2011年3月11日、未曽有の被害をもたらした東日本大震災から12年を迎える。被災地の東北だけでなく、関東にも甚大な被害をもたらした東日本大震災は、多くの人命が失われただけでなく、経済活動にも影響が広がった。発生から2023年2月までの震災関連倒産は累計2,019件にのぼる。
震災関連倒産を年別にみると、震災発生の2011年の544件をピークに、2021年まで10年連続で減少推移をたどった。2022年は前年と同数の21件で下げ止まったようにみえる。
だが、東北の倒産は、2022年1月以降、コロナ禍の影響もあって増勢局面に入っている。
2020年のコロナ禍で資金繰り支援が広がり、震災の影響を受けた企業の倒産抑制にもつながる面もうかがえた。だが、倒産抑制に大きな効果を見せた「実質無利子・無担保融資(ゼロ・ゼロ融資)」の返済は春以降、ピークを迎える。このため、震災の影響から抜け出し、抜本的な事業再建が進んでいない企業は、再び資金繰りに窮する事態に直面する可能性もある。
被災地のインフラ整備や復興事業は、終了に向けて動き出している。だが、原発事故ではまだ立入制限の続く地域もあり、震災前の生活や企業活動を取り戻すのは容易でない。
特に、コロナ禍や物価高、人手不足など、経営環境には次々と難題が押し寄せている。それでも復興に向けて自立を目指す地元企業は、地域経済や雇用の担い手だ。長期的な視点で、被災地の復興を目指す企業に寄り添った支援が求められる。
東日本大震災の関連倒産 累計2,019件
都道府県別では、最多は東京都の587件。次いで、宮城県213件、福島県92件、岩手県88件、北海道85件、神奈川県と茨城県が各82件、千葉県77件、福岡県71件、栃木県63件、群馬県61件など、全国46都道府県に広がる。東北6県は合計499件(構成比24.7%)と4分の1にとどまる。
産業別では、最多はサービス業他の533件(同26.3%)で、宿泊業124件、飲食店96件など。次いで、製造業469件(同23.2%)、卸売業372件(同18.4%)、建設業233件(同11.5%)、小売業189件(同9.3%)、運輸業86件、情報通信業66件と続く。
形態別では、最多が破産の1,491件で、7割(同73.8%)を超える。再建型の民事再生法と会社更生法は計153件(同7.5%)にとどまり、多くの企業が再建を諦めた実態が浮き彫りとなった。