フリージアグループ・佐々木ベジ会長 独占インタビュー(前編)ラピーヌの立て直し「打率を上げることを皆で考えよう」
家電販売からスタートし、数々の上場企業の買収などを仕掛け「秋葉原の風雲児」の異名で話題をさらったフリージア・マクロス(株)(TSR企業コード:291065422、東証2部)取締役会長の佐々木ベジ氏。
上場企業だけでなく、不振企業や倒産企業の再生に取り組む再生請負人としても知られ、フリージアグループは上場企業から中小企業まで30社以上に及ぶ。
9月には東証2部上場の老舗婦人アパレル(株)ラピーヌ(TSR企業コード:570221234、大阪市中央区)の取締役会長にも就任した。コロナ禍の直撃で不振が続く同社再建の陣頭指揮をとっている。
難しい経営環境にあるラピーヌの再建方針や今後の展望。また、企業再生に対する考え方など、東京商工リサーチ(TSR)が佐々木ベジ氏に独占インタビューした。
―ラピーヌがグループの一員に加わった。経緯や現状は?
ラピーヌは、コロナ以前からマーケットから梯子を外されたような状態だった。立て直しに協力するつもりで株を買った。これまで何社かの未上場アパレルの再生に取り組んだ経験があり、長年勉強もしてきたので上場会社でもその経験を生かそうと考えた。
当初は業務資本提携で成果を出したいと思ったが、コロナによる打撃で経営がさらに悪化した。関係者からは中途半端な関わりではなく全面的に表に立って再生に取り組んでくれと依頼された。それだけ経営が厳しかったということだ。
今期は赤字は避けられず、来期で何とか収支トントンまでもっていく計画だが、実際はなかなか厳しい状況だ。
-社員の反応は?
現場販売員のなかには当初、クビになるのではないか?と心配する声もあったようだ。ただ、販売員の方がいて初めて商品を換金できるわけで、真っ先に販売員のクビを切るということはないから心配しないでほしいと説いた。
もう一つは、販路のデパートも苦戦していて、客数がコロナ前に戻ることはもはや考えられない。購買意欲も萎える。少ない顧客をフロア全体で取り合うことになるから、どうすればいいのかを皆で考えよう。そのなかで打率(購入率)を上げようと言った。
これまで10人来店して2人しか買わないとして、来店客が7~8人に減っても打率を3割にすれば従来の打率2割よりは上がる、と。打率を上げることを皆で考えよう。
そのためには、他の店(ブランド)とも協力することも大切、他の店についても勉強してほしい。また、服飾関係の学校や学生と連携して、デパートと組んでフロア毎にファッションショーをやってみたい。
とにかく、従業員が楽しみながら他の店のものを知って、顧客が気持ち良く買い物できるようにすることが大事。例えば、自店とテイストが違うものを求められれば、別の店を紹介するくらい協力しながらやっていこう。気持ち良い売り場作り、フロア全体を一つにしようという話はした。
―価格や商品戦略は?
今まで以上に質を上げながらも、戦略商品についてはプロパー価格を下げてみる。理由なくすべてを下げると支障があるが、例えばアンケートに答えてもらう代わりに価格を多少下げてみるとか。来年の糧になるようにマーケットリサーチを目的に価格を下げ、情報を得るような取り組みを考えている。
-デパート以外への出店構想やECサイトについて
ラピーヌは、デパートから出ていくわけにはいかない。デパートの地盤沈下は進んでいるかも知れないが、そのなかでも生き残っていかなければならないと考えている。
デパートには浮上してもらいたいし、浮上に協力できるような会社にならなければならない。デパートにはまだまだ潜在能力があると思っている。接客の良さ、ブランド、信用、立地など多くのメリットがある。
ECサイトの運営については、リアル店舗との相乗効果をどう出すかにかかっている。リアル店舗では試着や買う楽しみを体感でき、接客の心地よさを付加価値として顧客にプレゼントできる点は大事にしたい。
-アパレル再生のポイントは?
アパレルだったら固定客がいる。顧客名簿もある。地域におけるその店のポテンシャルと人的ネットワークもある。
(アパレル企業の買収は)その店が持つソフトパワーを買うということだと考えている。現在は、店舗や設備などのハードの負担が重く、ソフトパワーを上回っている状態なので業界全体の景気が悪い。
ソフトパワーを高めつつ、ハードの方は10店を3店にするなどして集約化すればよい。もちろん店舗が減ることでソフトパワーも削がれていくという考え方もあるが、ハードの比率を低くしてソフトパワーを維持・高められれば、そこに付加価値が生まれ、利益も取れる環境になる。
-ラピーヌは変わりつつあるか?
真価が問われるのはこれから。社員の中にはだいぶ変わった人もいる。ただ、自分は変わったと自覚していても実際の行動は変わっていないこともある。
本当に変わるには、まだ時間はかかる。だが、遅くなればなるほど無駄な金が出ていくので、改革のスピードを早めたい。(続く)

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