• TSRデータインサイト

Xアイコン
facebookアイコン

地方再生ファンドのMTM 盛岡の商業施設「ななっく」を閉店へ

 マイルストーンターンアラウンドマネジメント(株)(TSR企業コード:296291099、早瀨恵三社長、東京都、以下MTM)が支援中の商業施設「ななっく」(盛岡市)が閉店することがわかった。2月28日、MTMの早瀨社長が会見で明らかにした。
運営会社の「ななっく(株)」(TSR企業コード:172604915、岩手県)の代表でもある早瀨社長は、「大型商業施設として抜群のアクセスがある。地元業者とのコラボレーションで、地元産の優れた商品を広く取り扱い、これまでの百貨店業態とは違う新たな来店客を呼び込むことができると考えていた」と話した。
しかし、MTMの経営悪化や「ななっく」の慢性的な赤字から維持が困難と判断、6月2日付けで「ななっく」を閉店すると説明した。

ななっく(2018年12月撮影)

ななっく(2018年12月撮影)

MTMが再建主導も計画通りに進まず

 MTMが発表した「ななっく閉店のお知らせ」によると、開業以来、赤字経営が続いた。また、MTMの財務内容の悪化から取引先に対する未払い等も発生。老朽化した建物設備の維持管理コストが高く、大幅な設備更新や耐震補強工事の実施など抜本的な工事を避けることができない状況などを明らかにした。
早瀨社長は会見で、「(2019年)6月2日でいったん『ななっく』を閉店し、大規模な再開発事業を進める」と発表。近隣にある盛岡バスセンター跡地が盛岡市主導で再開発のスケジュールが示されたことも背景にあるようだ。
早瀨社長は、「地元商店会や住民との話し合いを通じ、どのような開発が望ましいか検討したい」と語った。また、閉店から再オープンまでの期間について「最低3年」(早瀨社長)との認識を示し、「商業施設のみならず、自走式駐車場、ホテル、住宅等の複合施設を視野に入れた」と構想を明らかにした。
早瀨社長は「ななっく」の従業員について、「再雇用先のあっせんを進めるが、いったん全員が解雇となる。(投資計画の実現に向けた財務内容等は)投資ファンドという業態上、MTMの財務状況や決算内容は非公開」とした。

MTMは同時進行しているいくつかのプロジェクトのうち、盛岡を重視する姿勢は会見で示したと言えるだろう。だが、早瀨氏は新たな計画の具体的な展望や投資家を説得できるだけの経済合理性、閉店に伴うテナント店との交渉など山積する課題については多くを語らなかった。
MTMが再建を手掛ける山形県の百貨店「大沼」も再建が暗礁に乗り上げている。MTMもまた、財務基盤の強化と同時に、事業再生ファンドとしての「信用」を問われている。


(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2019年3月5日号掲載予定「Weekly Topics」を再編集)

 TSR情報とは

Xアイコン
facebookアイコン

人気記事ランキング

ランキング1位
  • TSRデータインサイト

「最低賃金」改定で、51.3%の企業が「給与変更」 2020年代の1,500円 「対応不可能」が4割切る

厚生労働省は9月3日、2026年度の全国の最低賃金額(平均)を1,177円(56円増)に引き上げた。 1978年度に目安制度が始まって以降、平均引き上げ額56円は前年度に続き2番目の高さで、これを受けて給与改定を迫られる企業が半数に達することがわかった。

2

  • TSRデータインサイト

1-9月「医療機関」倒産 過去最多の59件 身近なクリニック、歯科医院で苦境が鮮明

医療機関の倒産が再び勢いを増している。2026年1月-9月に倒産した病院・クリニック(診療所)・歯科医院などの「医療機関」は59件(前年同期比28.2%増)と、過去最多を更新した。

3

  • TSRデータインサイト

「税金滞納」倒産が168件、前年同期の2倍に大幅増 2026年度上半期の「税金滞納」倒産 破産が97.6%

2026年度上半期(4-9月)の「税金滞納(社会保険を含む)」倒産は、168件(前年同期比100.0%増)と、前年同期の2倍に達し、この10年で最多を記録した。物価や人件費などのコストアップが企業収益を圧迫し、納税原資を確保できない小・零細企業の行き詰まりに拍車を掛けている。

4

  • TSRデータインサイト

「社会保険の適用拡大」 中小・零細企業ほど負担増 企業の44.9%が「働き控え」懸念、「未対応」も半数

2026年10月から非正規従業員にも社会保険の適用が拡大された。「月収8万8,000円以上」の賃金要件が撤廃され給与額に関わらず条件を満たす社員は、新たに厚生年金や健康保険の加入対象となる。10月1~8日企業を対象に「社会保険適用の基準変更」に関するアンケート調査を実施した。

5

  • TSRデータインサイト

2026年1-9月「デイサービス」倒産47件 同期間で過去最多、介護業界の苦境鮮明

デイサービスなど「通所・短期入所介護事業」の倒産が増加している。2026年は9月までに47件(前年同期比34.2%増)と大幅に増加し、1-9月で過去最多を更新した。多様化するサービスなど、他社との競争が激化するほか、物価高に人手不足も重なり、苦境が深まっている。

TOPへ