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仮想通貨取引所「Zaif」運営のテックビューロ、「減資と本店変更」

 仮想通貨取引所「Zaif(ザイフ)」を運営する仮想通貨登録業者のテックビューロ(株)(TSR企業コード:576983667、大阪市西区)は3月20日、資本金を13億8,308万2,000円から1億円に減資した。また、4月20日に登記上の本店を変更していたことがわかった。
テックビューロは2月16日、システム不具合により「ゼロ円」で仮想通貨が売買できる状態が発生。金融庁が3月8日、テックビューロに業務改善命令を出していた。
5月2日午後1時までにテックビューロや「ザイフ」のホームページ上に、登記上の本店変更や減資の情報は確認できない。4月27日午前9時15分、東京商工リサーチ(TSR)は、テックビューロの取材窓口に本店変更などの質問を送ったが、5月2日午後1時までに返答はなかった。

システムリスク管理態勢の構築など行政処分

金融庁は3月8日、テックビューロに対し、「経営陣は根本原因分析が不十分で適切な再発防止策を講じておらず、顧客への情報開示についても不適切な状況となっている」などとして業務改善命令を出している。3月22日、テックビューロは近畿財務局へ業務改善計画書を提出。毎月、計画の進捗・実施状況を報告している。

減資と本店変更の真意は・・・

5月2日午後1時現在、テックビューロのホームページの会社概要の資本金欄は、「27億5,513万円(2018年2月1日時点、資本準備金含む)」と記載。仮想通貨取引所「ザイフ」ホームページの資本金欄には、「8億3,013万円(資本準備金含む)」と掲載されている。また、日本仮想通貨事業者協会(JCBA)の会員紹介のページでは、「資本金8億3,013万円」となっている。なぜ、資本金に資本準備金を組み込んでいるのだろうか。
テックビューロは、2月19日の官報に資本金の額の減少公告を出しており、5月2日現在のテックビューロの商業登記簿を取得すると、3月20日付で13億8,308万2,000円から1億円に減資したことが記載されている。
商業登記簿によれば4月20日に、本店登記地を大阪市西区西本町1-4-1から靱本町1-5-18へ変更している。4月27日、TSRが新本店登記地(靱本町)を訪問するとポストに「テックビューロ」との記載が確認できた。
5月2日午後1時現在、テックビューロや「ザイフ」のホームページの「本社」は大阪市西区西本町1-4-1となっており、本店登記地が変更された旨のアナウンスは確認できない。同所はレンタルオフィスで当社の看板などはない。

コインチェック(株)(TSR企業コード:294733060、渋谷区)の例を見るまでもなく、仮想通貨業界への風当たりはまだ強い。4月23日、新団体の「日本仮想通貨交換業協会」が発足したばかりだ。
Zaif(テックビューロ)は業界全体の信頼を得るためにも、財務内容や減資、本店変更などの情報は積極的に開示すべきだろう。

SAY企画が入居するビル(5月1日午前撮影)

新登記上本社地(靱本町、4月27日撮影)

(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2018年5月7日号掲載予定「Weekly Topics情報」を再編集)


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