• TSRデータインサイト

「チャイナリスク」関連倒産(2017年)

 2017年(1-12月)の「チャイナリスク」関連倒産は、件数が54件(前年比50.9%減)、負債が389億4,700万円(同45.7%減)と、件数・負債ともに前年から半減した。件数が前年を下回るのは、2014年に調査を開始以来、初めて。
 また、12月単月の同倒産は3件(前年同月比57.1%減)、負債総額は25億7,100万円(同26.7%増)だった。「チャイナリスク」関連倒産は急速に落ち着き、件数は2016年12月から13カ月連続で2ケタ割れが続き、小康状態を維持している。
 なお、倒産に集計されない事業停止や破産準備中などの「実質破綻」は、12月はなかった(前年同月もゼロ)。


  • 「チャイナリスク」関連の集計基準
    「チャイナリスク」関連の経営破綻は、破綻の原因が次の8項目のどれかに該当するものを集計している。
    1. コスト高(人件費、製造コストの上昇、為替変動など)
    2. 品質問題(不良品、歩留まりが悪い、模倣品、中国生産に対する不信など)
    3. 労使問題(ストライキ、工場閉鎖、設備毀損・破棄など)
    4. 売掛金回収難(サイト延長含む)
    5. 中国景気減速(株価低迷、中国国内の消費鈍化、インバウンドの落ち込みなど)
    6. 反日問題(不買、取引の縮小、暴動など)
    7. 価格競争(中国の在庫調整に伴う相場下落、安価製品との競合など)
    8. その他

チャイナリスク関連倒産月次推移

 2017年の「チャイナリスク」関連倒産は、前年から半減した。単月では4月を除いて、前年同月以下の水準が続き、年間でみても2016年をピークに沈静化した。
 2017年の倒産を要因別でみると、最多は人件費や製造コスト上昇による「コスト高」の18件(構成比33.3%)。ただ、前年の68件からは73.5%減と大幅に減少した。「品質問題」は9件(同16.6%)発生した。前年は4件に留まっており、要因の中では唯一増加した。
 金網製造のヘキサフォ(株)(TSR企業コード:294516085、東京都、負債9億9,100万円)は、中国で製造した製品クレームなどで業績が悪化し、9月6日に東京地裁から破産開始決定を受けた。中国に製造拠点を構えたり、資材調達を依存している企業は、高騰する調達コストと品質のかじ取りでリスクが大きく異なり、業績の明暗を分ける状況が続いている。

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

【破綻の構図】マツオインターナショナル~膨らんだ債務と抜本再生への移行~

婦人服ブランド「ヴィヴィアン タム」「慈雨(じう)」「t.b2」などを展開し、ピーク時には国内外で約400店を構えていたマツオインターナショナル(株)(TSRコード:292635265、以下マツオ)が12月11日、大阪地裁に会社更生法の適用を申請した。

2

  • TSRデータインサイト

交響楽団の収益悪化、来場者戻らずコスト上昇 ~ 綱渡りの自助経営、草の根のムーブメントへの期待 ~

交響楽団が存立の危機に立たされている。多くの交響楽団で収入が落ち込んでおり、赤字が目立つ。会場費や団員などの人件費、楽器の輸送コストなどが上昇のうえ、寄附金や補助金による収入は頭打ちで綱渡りの運営だ。東京商工リサーチは、3期連続で業績が比較できる20団体を調査した。

3

  • TSRデータインサイト

地場スーパー倒産 前年同期の1.5倍に大幅増 地域密着型も値上げやコスト上昇に勝てず

2025年1-11月の「地場スーパー」の倒産が22件(前年同期比46.6%増)と、前年同期の約1.5倍で、すでに前年の年間件数(18件)を超えた。

4

  • TSRデータインサイト

長渕剛さん側、イベント会社の破産申立に続き代表を刑事告訴 ~長渕さん「徹底追求」、イベント会社代表「横領でない」と反論~

歌手の長渕剛さんが代表を務める個人事務所の(株)オフィスレン(渋谷区)が、イベント運営を委託していたダイヤモンドグループ(株)(東京都中央区)の代表を業務上横領罪で刑事告訴したことがわかった。東京商工リサーチの取材で長渕さん側が明らかにした。

5

  • TSRデータインサイト

「ペット・ペット用品小売業」倒産が過去2番目の14件 実質賃金の低迷と物価高がペットの世界にも影響

2025年11月の「ペット・ペット用品小売」の倒産は、1件(前年同月ゼロ)にとどまったが、1-11月累計は14件(前年同期比27.2%増)に達した。

TOPへ