(株)ロプロ(大阪市淀川区宮原1-6-1、設立昭和45年3月、資本金351億9596万円、家田孝社長、従業員122名)は、11月2日東京地裁へ会社更生手続開始を申し立てた。申立代理人は小原正敏弁護士(大阪市北区堂島浜1-4-16アクア堂島西館2階、きっかわ法律事務所、電話06-6346-2970)。負債総額は2500億3400万円。
同社は、中小零細企業事業者に対する手形貸付、証書貸付、商業手形割引などを手がけ、平成5年12月京都証券取引所及び大阪証券取引所第二部へ上場。同7年3月には東京証券取引所第二部へも上場し、同8年9月には東証・大証第一部銘柄に指定され年々業容を拡大、ピーク時の同11年3月期には年商1044億3000万円を計上していた。
しかし、平成12年頃には債権取立にかかる不祥事件などの影響で、融資残高が大幅に減少した。加えて、最近は過払金返還請求などの増加、貸金業法改正などから対外信用が低下、新たな資金調達も困難になっていた。この間も中小企業に対する貸倒増加も重なり、業況がさらに悪化した。
このため店舗の統廃合、希望退職募集などのリストラを進める一方、創業者一族の退陣による経営体制刷新などに取り組んでいたが、年商は45億5300万円に留まり、297億3200万の赤字を計上していた。平成21年7月には京都市内から現在地に移転し、また一方で、同年2月には公的資金注入による資本増強を検討していたことも報道されていた。しかし、以降も融資額の減少・貸出金利低下に伴う利息収入減少は免れず、新たな資金調達も困難な中、過払金返還請求による資金流出は止まらず資金繰りはさらに悪化することとなった。
(株)穴吹工務店(高松市藤塚町1-11-22、設立昭和36年1月、資本金57億5400万円、朝倉泰雄代表、従業員774名)、(株)エイシィカンパニーグループ(有価証券の取得保有、経営コンサルティング業務、同所、設立平成13年8月、資本金1億円、朝倉泰雄及び池内孝信代表、従業員1名)、(株)穴吹ハートレイ(リゾート事業・飲食業、木田郡見三木町大字下高岡972-30、設立昭和40年12月、資本金1億円、榎範雄社長、従業員195名)は、11月24日東京地裁に会社更生手続開始を申し立てた。同日付で穴吹英隆社長は解任された。申立代理人は松嶋英機弁護士、宮崎信太郎弁護士(東京都港区赤坂1-12-32、西村あさひ法律事務所、電話03-5562-8500)他14名。保全管理人は長谷川宅司弁護士(東京都千代田区有楽町1-7-1、電話03-5288-1021)が選任された。
負債総額は(株)穴吹工務店が1388億1100万円、(株)エイシィカンパニーグループが65億4900万円、(株)穴吹ハートレイが40億2600億円。四国地区では過去最大の倒産となった。
同社は、明治38年1月創業のマンション業者。昭和53年に自社ブランドの分譲マンション「サーパス」シリーズを展開、ATD(穴吹トータルディベロップメント)と呼ばれる用地取得からアフターサービスまで手掛ける数少ない製販一体型のマンションメーカーとして人気を博し、主に地方都市で実績を重ね、平成18年3月期には過去最高となる売上1553億4000万円を計上、同19年には5037戸を供給し、初のマンション供給戸数全国1位を獲得した。
ところが、以後は以前からの在庫過多による借入依存の高い資金繰りになっていた上、建築基準法改正の影響等もあり業績は低迷するようになった。平成20年後半にはリーマンショック等世界的金融危機の影響を受けて、消費者の購買意欲減退、競合他社の相次ぐ破綻、撤退によるダンピング販売等で業界環境は一段と悪化、同21年3月期は売上戸数が4450戸まで落ち込み、売上高は1306億5000万円にまで低下した。収益面においては用地取得費、建築費等の原価上昇、売上原価に棚卸資産の評価損を計上する等、大幅な欠損を計上していた。
このため最近は合理化策を進め、従来の4500戸から3000戸ベースに段階的に縮小する方針を打ち出し、一層の固定費の削減を図るとともに、企画面でも「エコロジー」、「エコノミー」、「選べる」の3つをコンセプトに低価格マンション「NEWサーパス」を投入する等、平成22年期の単独売上を1160億円、経常利益21億円、売上戸数3900戸に設定していた。また、営業体制を2支社16支店17営業部体制に移行し、営業部を関連企業に統合したほか、10%程度の人員削減を行うなど財務面、収益向上に取り組んだ。さらに第三者割当による総額30億円の増資を進め、取引先大手住設販売メーカーを中心に20億8250万円まで完了、地元地銀を中心とした金融機関の支援もあって対外的信用はやや改善し、業況は一服感も窺われていた。
しかし10月26日、取締役11名全員を解雇する方針を決め、11月3日解任を決議する臨時株主総会の招集通知を発送、これがマスコミに報道されたことにより銀行、取引先、従業員等に一気に動揺が広がった。主力銀行数行の説得により11月2日、翌日の臨時株主総会開催を撤回し急遽役員の解任は取り下げたものの、この解任騒動による信用不安の拡大は予想以上に大きく、上記の連結子会社も資金繰りが悪化、自力による事業継続は困難と判断し、会社の事業を再建させる法的手段である会社更生手続開始を申し立てた。
大西商事(木津川市山城町平尾北払戸20、創業昭和47年5月、大西通夫代表)は、11月6日京都地裁より破産手続開始決定を受けた。破産管財人は小槻浩史弁護士(小槻法律事務所、京都市中京区堺町通丸太町下ル 北川ビル、電話075-213-4774)。負債総額は423億8900万円。
同社は、昭和47年5月創業の不動産売買業者。バブル期に大手不動産業者の買付業務を積極的に行い事業を拡大、ピークと見られる同63年12月期には売上高24億1837万円を計上していた。
しかし、バブル崩壊後は業績悪化とともに金融債務の返済も困難となり、本社不動産に差押(平成15年4月16日京都地裁競売開始決定、申立人:金融機関)がなされるなど、資金難を露呈していた。その後も資金的な制約から前向きな事業展開には転じきれず、同17年12月14日には担保不動産競売による売却を余儀なくされ、以後実質事業停止状態を経て今回の措置となった。
日本ライツ(株)(多摩市永山6-22-6、設立昭和42年12月、資本金3億2000万円、遠藤司社長)は、11月20日東京地裁に民事再生手続開始を申し立てた。監督委員は涌井庄太郎弁護士(千代田区内神田1-15-11千代田西井ビル4階、あけぼの総合法律事務所、電話03-3294-7222)。負債総額は112億8700万円。
同社は、照光式多連スイッチをコア技術として持ち、LEDランプと高輝度CFL(冷陰極蛍光管)光源バックライトの開発・製造を展開。先行する技術開発や量産体制の完備で国内外の大手得意先を確保し、CFLの代替としてLEDを採用する技術でも先行していた。生産拠点に関しては、国内では平成19年8月に鳥取工場を独立させ、ライツライン(株)を設立し同20年4月から稼動。海外ではWays Asia(中国広東州東莞市)に生産委託するほか、華邦光美電子有限公司(中国:蘇州)、華邦光美電子有限公司が増産体制を含め能力が向上していることで、グループとして高い生産能力を保有していた。
しかし業績面では携帯電話向けが大きく減少し、パソコン関係及びパチンコなどアミューズメント関係向けも伸び悩み、近年、売上高は減収傾向が続いていた。平成17年9月期は中国生産拠点の増強などから売上高は311億円を確保したが、同18年9月期の売上高は低価格化の進展で294億円、同19年9月期は一部製品の海外シフトなどもあり売上高は285億円となり、同20年9月期の売上高は一部会計処理上の変更などもあり235億円まで減少していた。損益面においては同18年9月期では3億2300万円の当期純利益を確保したが、減収影響から同20年9月期の当期純利益は2000万円まで落ち込んでいた。また、資金状況では、鳥取工場〔現:ライツライン(株)〕の増強投資(累計50億円強を投下)への充当分や、中国での生産拠点に対する投融資に充当し、同20年9月期末では長期借入金11億5000万円、短期借入金28億円、社債40億円と増加傾向にあった。
平成21年9月期に入り、世界的な景況悪化の影響から需要は減退し、売上高は200億円前後まで減少していたようだ。収益性の面でも回復には至らず、借入負担が重くなり資金面が逼迫し遂に今回の措置となった。
なお、同社の生産子会社であるライツライン(株)(鳥取県鳥取市北村95-13、設立平成19年8月、資本金5000万円、遠藤司社長)も同日東京地裁に民事再生手続開始を申し立てた。
大旺管財(株)(高知県高知市駅前町5-5、登記上:東京都品川区東大井5-26-8、設立昭和27年9月、資本金8000万円、尾﨑憲祐代表清算人)は、10月31日株主総会の決議により解散、11月27日東京地裁に特別清算手続開始を申し立てた。申立代理人は、森・濱田松本法律事務所(東京都千代田区丸の内2-6-1、電話03-5220-1800)。負債総額は78億2600万円。
同社は、昭和27年9月5日司建設(株)の商号で設立創業。同48年12月大旺建設(株)に商号を変更し、平成19年7月現商号となった。大旺建設当時は官公庁工事のウエイトが高く、県外にも支店及び営業所を配して全国展開し、県内トップの建設業者として基盤を確立していた。最盛期の平成13年6月期には年商575億2900万円を計上していた。しかし系列会社への貸付金等から金融債務は膨張し、財務内容は悪化していた。会社更生手続開始を申し立てた多田建設(株)のスポンサーとなって経営再建を終了させており、同社を吸収合併することで財務内容の健全化を図る予定だったが、これに反対する同社の社員グループが、同17年7月再度会社更生手続開始を申し立てたため吸収合併を断念。同18年8月RCC(整理回収機構)の企業再生スキームを活用した私的再生計画に着手することとなった。
再生計画に従って平成19年7月1日会社分割を行い、22億円の金融債務と事業継続に必要な資産及び負債を、大旺新洋(株)に継承させた。その後、企業再生スキームにより策定された再生計画書に基づき保有資産の換価処分を行い、22年3月を目処に特別清算手続開始を申し立てる予定だったが、保有資産の売却が進展したため、予定を前倒しして今回申し立てた。
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