こうして倒産した

2009年(平成21年)4月度こうして倒産した・・・
(株)中央コーポレーション
  • 愛知
  • 不動産開発、賃貸、繊維事業ほか
負債総額
340億円
 

 (株)中央コーポレーション(名古屋市中区栄2−5−1、設立昭和17年4月30日、資本金33億6176万円、植野晃年社長、従業員84名)は、4月24日東京地裁に民事再生手続開始を申し立てた。監督委員には岡正晶弁護士(千代田区丸の内2−4−1、梶谷綜合法律事務所、電話03−3212−1451)が選任された。負債総額は340億円。

 同社は、戦前の戦時企業整備令にて(株)日商の毛糸紡績部門の稲沢工場及び高石工場と吉村紡績、富士瓦斯紡が合併して資本金50万円で東部紡毛糸工業(株)として法人化、昭和18年5月中央製絨(株)、同24年6月中央毛織(株)に商号変更した。同年10月東洋フエルト(株)を吸収合併し大阪証券取引所、同年11月名古屋証券取引所、同36年10月東京証券取引所に上場。同41年10月各証券取引所の市場第二部へ指定替、同58年7月中央開発(株)を吸収合併した。平成15年6月大阪証券取引所上場廃止、同17年11月(株)ゼクス(千代田区、東証1部上場)の連結対象子会社(同20年4月持分法適用関連会社)となり、同18年10月現商号に変更した。

 平成20年5月期には関東地区での分譲マンションが順調に拡大、不動産開発事業におけるオフィスビル流動化案件も増加し、売上高は390億円、当期利益9億8100万円と好決算を計上した。しかし、不動産市況の悪化から同21年5月期第1四半期連結決算(6-8月)は売上高60億3300万円に対して当期赤字12億9500万円、同21年5月期第2四半期決算(9-11月)は当期赤字39億4500万円と落ち込んだ。また、第三者の借入契約に際し事前に参加金融機関の承諾なしで保有資産の一部を担保提供したことが、シンジケートローン契約の確約条項に抵触し「継続企業の前提に関する重要な疑義」が存在する結果となった。

 参加金融機関に対してその承諾を得るべく協議を行ったが、不動産業界に対する融資姿勢の厳格化により資金調達が難しく、主力ゼネコンに対する工事代金の支払期日の猶予を依頼するとともに、一部のシンジケートローンの返済に関しても期日の延長を依頼した。しかし金融機関から期日延長の承諾を得られず同ローンについて期限の利益を喪失、確約条項に抵触した状態となっていた。平成21年2月には月間平均時価総額及び時価総額が6億円未満と上場廃止基準に抵触。さらに、同年5月期の第3四半期決算報告が報告期限の4月14日に遅延するなど、信用不安が高まっていた。

小木津産業(株)
  • 茨城
  • ゴルフ場経営
負債総額
238億円
 

 小木津産業(株)(日立市小木津町771−1、設立昭和63年9月30日、資本金5000万円、益子達男代表清算人)は、4月10日水戸地裁日立支部に特別清算手続開始を申し立てた。3月1日付けで朝日観光開発(株)(港区三田1−2−17MSビル5F、織田末雄社長、資本金1000万円)へゴルフ場事業を譲渡して、3月18日(株)ザ・オーシャンゴルフクラブから商号変更、3月31日株主総会の決議により解散していた。申立代理人は清水直弁護士(中央区八重洲2−2−12八重洲2・2ビル4・5・6F、清水直法律事務所、電話03−5202−0585)他3名。負債総額は238億円(会員740名に対する預託金返還債務約95億円を含む)。

 同社は、平成4年5月に18ホールの預託金会員制「ザ・オーシャンゴルフクラブ」を開場した。しかし、市況後退の影響を受けて、会員数や来場者数は伸び悩み厳しい経営が続いたことから、同11年12月に会員から預託金償還期限の10年延長の同意を得て、ゴルフ事業を継続してきた経緯があった。しかし、同20年3月期の売上高は約3億5489万円にとどまり、同21年4月の預託金償還期限においても償還請求の全てに対応することが困難な状況から、会員のプレー権の確保を第一に考え、朝日観光開発(株)にゴルフ場事業を譲渡し、今回の事態に至った。

(株)カナサシ重工
  • 静岡
  • 造船業
負債総額
218億円
 

(株)カナサシ重工(静岡市清水区三保491−1、設立平成11年2月19日、資本金3億円、片上久志社長)は、4月10日静岡地裁に会社更生手続開始を申し立てた。申立代理人は洞江秀弁護士(静岡市葵区八千代町24−9、洞江法律事務所、電話054−272−8660)。負債総額は218億円。

 同社の前身は、明治36年7月初代金指丈吉氏が大阪で創業した金指造船所に始まる。大正12年には我が国初の鋼製遠洋漁船を建造。昭和3年10月に清水市三保へ工場を移転、同11年9月には資本金30万円で(株)金指造船所として法人化。同38年には鋼製漁船65隻を建造し、業界日本一となる。遠洋漁業の不振に伴い、昭和63年9月に会社更生手続開始を申し立てたが再建を果たした。平成3年4月には(株)カナサシに商号変更、同11年3月には清水工場を分社化し資本金1億円をもって(株)カナサシ重工を設立、従前の(株)カナサシはその後(株)豊橋造船(愛媛県今治市)となる。

 遠洋漁業の不振や減船に伴い、漁船の建造受注数は年々減少を続けており、逐次貨物船建造へとシフト。平成20年3月期は、貨物船5隻、タンカー1隻を建造(79億円)、船舶(商船・漁船)の修理(13億円)、耐震貯水槽製造(10億円)で、年商102億円を計上したが、鋼材価格の高騰等もあって当期損失7942万円を余儀なくされた。同21年3月期は前期からのずれ込みもあり、新造船11隻(170億円)、船舶の修理(12億円)、耐震貯水槽(9億円)の年商191億円を目指してきた。

 しかし、鋼材価格高騰に加えて工期の遅延もあり、損失は23億円と赤字幅が拡大。このため、期末時点での決済資金が不足、取引金融機関に追加融資を要請するも不調に終わった。受注残は722億円と多くを抱え、3年間で100億円の黒字を見込めるとして、事業継続すべく善後策を検討したが困難となり、今回の措置を採った。

アシストテクノロジーズジャパン(株)
  • 東京
  • 半導体関連装置製造
負債総額
186億円
 

 アシストテクノロジーズジャパン(株)(港区港南1−6−31、設立平成14年10月、資本金4億9500万円、安藤光裕代表ほか、従業員446名)とアシストテクノロジーズジャパンホールディングス(株)(同所、設立昭和57年9月、資本金32億8370万円、山下哲夫代表ほか)の2社は、4月20日東京地裁に会社更生手続開始を申し立てた。申立代理人は阿部信一郎弁護士(千代田区永田町2−13−10、電話03−5157−2700)他。負債総額はアシストテクノロジーズジャパン(株)が186億5800万円、アシストテクノロジーズジャパンホールディングス(株)が133億9800万円。

 アシストテクノロジーズジャパン(株)は、平成14年10月に神鋼電機(株)(現:シンフォニアテクノロジー(株)、東証1部)のクリーンルーム内搬送システム事業部門が独立する形で、半導体装置の製造を手掛ける米国アシストテクノロジーズ社の日本法人と、神鋼電機の共同出資でアシストシンコー(株)の名称で設立し、同19年に現商号へ変更した。出資する両社の技術を融合させた半導体ウェハ及び液晶ガラス基板搬送システムの設計、開発、製造を展開し、国内外の有力半導体メーカーなどに納入実績を有していた。三重県伊勢市、愛知県一宮市に開発、製造拠点を設置するほか、アメリカ(3拠点)、アイルランド、台湾、韓国などに現地法人を設立するなどし、同17年3月期には年商392億1500万円を計上していた。

 しかし、半導体市況の急激な落ち込みで、同20年3月期には年商293億7600万円に対して2億500万円の最終赤字を計上。その後も半導体市況の下落に歯止めがかからないことから、今回の事態となった。

 アシストテクノロジーズジャパンホールディングス(株)は、昭和57年にアシストジャパン(株)として設立。米国アシストテクノロジーズ社の日本法人となり、平成20年3月期には年商57億200万円を計上。同20年3月には現商号に変更して持株会社となり、事業はアシストテクノロジーズジャパン(株)へ譲渡していた。

(株)中沢ヴィレッジ
  • 群馬
  • ホテル経営
負債総額
168億円
 

 (株)中沢ヴィレッジ(吾妻郡草津町草津618、設立昭和42年7月26日、資本金5350万円、中澤康治社長、従業員190名)は、4月6日東京地裁へ民事再生手続開始を申し立て、同日保全命令を受けた。申立代理人は加藤寛史、網野精一、三澤智各弁護士(東京都中央区八重洲2−8−7、阿部・井窪・片山法律事務所)、監督委員は加々美博久弁護士(東京都港区西新橋1−4−9、西内・加々美法律事務所)。負債総額は債権者1966名に対し168億円、うち金融債務は約110億円、預託金が約58億円とみられる。

 同社は、昭和42年に(株)大阪屋旅館(草津町)のホテル部門として設立。同43年にホテル経営を開始し、草津温泉を代表するリゾートホテルとして知名度は高い。同48年に地上9階建のホテルと、テニスコート・ボーリング場などのレジャー施設を整備したほか、バブル期にはプール・リラクゼーション施設「テルメ・テルメ」、平成7年には新ウィング棟を建設。開業当初からの投資総額は約210億円に上るとされ、金融機関からの借入のほか会員からの預託金をこれに充てることで、県内有数の大規模リゾートホテルを目指してきた。

 ピーク時の売上は平成4年9月期の39億6000万円。以後は消費低迷などにより緩やかな売上減少を辿ってきたが、償却負担が長らく経営を圧迫していた。こうしたなか、平成20年に入り投資ファンド運営の(株)ジェイ・ウィル・パートナーズ(東京都)が運営するファンドに大口債権が譲渡された。同20年9月期は大幅な赤字を計上し、遊休資産売却をはじめとする思い切ったリストラを行い、動向が注目されていた。

戦後歴代の大型倒産

日本の戦後歴代の大型倒産を
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