(株)SFCG(中央区日本橋室町3−2−15、設立昭和53年12月、資本金791億4915万円、小笠原充社長、従業員92名)は、2月23日東京地裁に民事再生手続開始を申し立てた。申立代理人は阿部信一郎弁護士(千代田区永田町2−13−10、東京青山・青木・狛法律事務所ベーカー&マッケンジー外国法事務弁護士事務所、電話03−5157−2700)ほか16名。負債総額は3380億4000万円。
同社は、昭和53年に大島健伸氏が商業手形の割引を目的に(株)商工ファンドとして設立。その後、商業手形担保貸付、保証人貸付、不動産担保貸付など貸金事業全般に事業を拡大した。中小企業向け融資ではトップクラスの実績を誇り平成10年1月には全国に200店舗体制を構えた。平成9年10月に東証2部上場、同11年7月に東証1部上場に指定替えとなった。一方、同11年には過度な回収、取り立てなどのいわゆる商工ローン問題が社会問題化し、大島社長が国会に証人喚問されるなどの事態を招いた。同12年7月期の年商は875億6200万円(単体ベース)を計上、その後の同14年11月には現商号へと変更していた。
最近は多角化を推進し、企業への出資など金融・投資事業へも事業を拡大。子会社67社、関連会社4社(同20年7月末現在)を抱え平成20年7月期は連結売上高は1364億100万円、単体では839億8900万円を計上していた。
しかし、平成18年12月の貸金業法改正などにより過払金返還請求の増加に伴う多額の資金流出および引当金の計上など、商工ローン業務を取り巻く環境が悪化。さらに同19年8月以降、サブプライムローン問題を発端とした金融危機により国内外の金融機関からの資金調達やエクイティなど市場からの資金調達もうまくいかなかった。新規の資金調達が困難となる中、既存債務の返済に充てる資金が逼迫、貸付債権の回収に注力していたものの、強引な回収方法が社会問題化していた。なお、2月20日創業者の大島健伸社長兼会長が代表権の無い会長に退き、小笠原充執行役員副社長が社長に就任していた。
日本綜合地所(株)(港区高輪2−21−46、設立昭和53年7月、資本金141億1975万円、西丸誠社長、従業員362名)は、2月5日東京地裁に会社更生手続開始を申し立てた。監督委員には多比羅誠弁護士(中央区銀座8−9−11、ひいらぎ総合法律事務所、電話03−3573−1578)が選任された。負債総額は1975億4900万円。
同社は、マンション分譲・販売代理を目的として設立。平成6年に第1号の自社分譲物件を発売、以降は首都圏を中心に自社ブランドのマンション分譲を加速させた。同11年に株式を店頭公開し、同13年12月東証2部、同15年3月に東証1部上場を果たした。株式上場以降は子会社を通じて戸建住宅・宅地販売事業などにも参入したほか、同17年9月には日立造船不動産(株)(現:日綜不動産(株))の全株式を取得して子会社化するなどのM&Aを行い業容を拡大。近年はヨーロッパ風の分譲マンション「グランシティ」「VERENA(ヴェレーナ)」シリーズをテレビCMなどで積極的に展開し知名度を得ていた。奥行き4mのバルコニー「オープンエアリビングバルコニー」を設置した物件などで好評を博し、同19年の事業者別マンション供給戸数は3411戸に上り首都圏で2位、全国6位の実績(不動産経済研究所発表)を誇り、同20年3月期の売上高は過去最高となる約1189億3300万円(連結ベース)に対し約46億4600万円の当期利益を確保していた。同20年5月には年間4000戸のマンション販売体制の確立を骨子とした拡大路線の第4次中期経営計画を発表。
しかし同19年後半以降、建築基準法改正に伴う建築確認の長期化や資材価格の高騰、顧客の買い控えなどからマンション市況が悪化の一途を辿っていたうえ、サブプライムローン問題に端を発する世界的な信用収縮から国内不動産市況も停滞し、経営環境が急激に悪化した。
平成20年11月には同21年3月期の業績と同中期経営計画の下方修正を行い、これと同時期に同21年4月新卒入社予定の採用内定者53名の内定取消しを決定したことからマスコミ報道などで大きく取り上げられ、急遽内定者に補償金100万円の支払いを決定するなどの対応に追われ、対外信用が低下していた。こうしたなか同21年2月3日には同年3月期の業績予想を再度下方修正し、棚卸資産の評価損221億600万円(連結)をはじめとした損失を計上。通期で305億円の大幅な当期純損失となる見込みとなり、同社が借入人となっているシンジケートローンの財務制限条項に抵触する恐れがあると発表。2月上旬に期限が到来する建築代金の支払いが困難となり今回の措置となった。
Spansion Japan(株)(川崎市川崎区日進町1−14、設立平成5年4月16日、資本金487億8765万円、田口眞男社長、従業員1300名)は、2月10日東京地裁に会社更生手続開始を申し立てた。申立代理人は渡邉光誠弁護士(千代田区丸の内2−2−1岸本ビルディング2F、弁護士法人大江橋法律事務所東京事務所、電話03−5224−5566)。負債総額は741億円。
同社は平成5年4月にフラッシュメモリの共同開発・製造を目的として設立。その後同15年7月にはアメリカNASDAQ上場のSpansion Inc.に株式譲渡され、同社子会社として再スタートを切った。Spansion Inc.についてはフラッシュメモリの開発製造を主業とし、世界各国に事業を展開する大手業者。NOR型フラッシュメモリに特化した販売展開を確立、携帯電話やデジタル家電、自動車用電子機器に用途され業績を伸ばし、同18年12月期には年商1797億3700万円を計上していた。
しかし、福島県会津若松市にある高久工場の設備投資に多額の資金投下を行った事で負担が生じ採算は悪化。グループ全体でリストラ策を講じるものの改善に至らず一部取引先に対して支払延長の要請を行っていた。更に、平成20年秋口以降の世界同時不況により受注が急速に冷え込んだ事で資金繰りは限界に達し、今回の措置となった。なお、法的手続を申し立てたのは当社のみで、親会社及びグループ会社は通常通りの営業を行っている。
ニチモ(株)(千代田区神田美土代町7、登記上:大阪市北区堂島浜1−4−4、設立昭和21年11月、資本金40億6397万円、辻征二社長、従業員183名)は、2月13日東京地裁に民事再生手続開始を申し立てた。監督委員には土岐敦司弁護士(港区虎ノ門4−3−1、成和明哲法律事務所、電話03−5408−6160)が選任された。負債総額は540億7900万円。
同社は昭和30年9月に大阪市内で南海ブロック(株)として設立、同31年に大阪モデル住宅(株)に商号変更し分譲住宅の施工販売を開始した。その後、同35年には商号を日本モデル住宅(株)へと変更した。同40年に東京市場に進出、中高層の自社マンション分譲業務を中心とし、同46年に大証2部、同48年に東証2部に上場、同53年には各1部に指定替えとなった(その後、東証は2部に指定替え)。
マンション分譲業者としては老舗で、首都圏、近畿圏を中心にファミリー向けマンション「ルイシャトレ」、都市型コンパクトマンション「ヴォアール」、シングル層向け「ジョイシティ」など自社分譲を展開。マンションブームを追い風に業績を伸ばし平成平成19年9月期の年商は連結ベースで665億1100万円を計上、当期利益26億9800万円を確保し、同19年7月には総供給実績60000戸を達成していた。
しかし、平成19年後半以降、サブプライムローン問題に端を発した世界的な金融危機などから国内不動産市況が急激に悪化。分譲マンション戸数の大幅減少、価格下落、共同事業社倒産による工期の遅れが発生した。同20年9月期は連結売上高が前期比46.8%減となる353億8700万円(連結)にまで減少、棚卸資産の評価損の計上などで当期純損失は102億5600万円にのぼった。純資産は前年度119億4700万円から12億4300万円にまで大幅に毀損し、これらの状況から監査法人より「継続企業の前提に関する重要な疑義」(ゴーイングコンサーン注記)が付記されていた。
今期は販売力強化や営業・エリア戦略を進めるとともに販売経費や人件費などコスト削減に取り組んでいたものの、事業の見直しを行った結果、第1四半期決算で棚卸資産の評価損121億円を追加計上したことなどから167億円の債務超過に転落。このため、さらなる経営合理化としてマンション管理子会社の売却や在庫の早期売却など資金繰り改善策を進めていたが、今後の決済資金の目処が立たず今回の措置となった。
あおみ建設(株)(港区海岸3−18−21、設立大正14年7月、資本金50億円、掛橋隆晴社長、従業員667名)は、2月19日東京地裁に会社更生手続開始を申し立てた。監督委員兼調査委員には渡邊顯弁護士(港区虎ノ門4−3−1、成和明哲法律事務所、電話03−5405−4080)が選任された。負債総額は396億円。
同社の前身である佐伯建設工業(株)は大正6年4月創業で、浚渫埋立工事、港湾修築、干拓客土、河川改修など海洋土木関連工事を主体に事業展開して昭和45年8月には東証・大証1部へ上場した。最近では関西空港護岸工事や東京湾横断道工事に参画するなど大型工事も手がけ、ピーク時の平成8年3月期には年商約864億2700万円を計上していた。その後、公共工事削減の影響から売上は低迷、同19年3月期は年商約383億7900万円まで低下したことで同20年4月、国土総合建設(株)を合併した。
国土総合建設(株)は昭和52年10月に設立し、平成15年12月にジャスダックに株式を上場。臨海コンビナートの造成など海洋土木工事を主体に事業展開して、スエズ運河拡幅工事や本州四国連絡橋工事、横浜「MM21」工事、羽田沖合展開工事に参画するなど海外・大型工事の受注を獲得。ピーク時の同9年3月期には年商約809億6400万円を計上するまで伸ばしたが、公共工事削減の影響から同19年3月期の年商は約271億300万円に留まっていた。
平成20年4月、両社は合併して佐伯国総建設(株)となり、同年7月あおみ建設(株)に商号変更した。合併効果により当初同21年3月期の年商650億円(単体)、当期純利益5億2000万円(同)を見込んでいたが、受注の減少や海外建設事業を中心とした工事損益の悪化などから2度にわたり業績予想を下方修正した。
このため、1月23日には海上土木・陸上土木・地盤改良事業への特化、マンション建設・海外事業からの撤退、有利子負債の削減等を柱とした「中期経営計画」を策定し、経営の立て直しに努めていた。こうしたなか、2月13日に取引先のニチモ(株)が民事再生手続開始を申し立てたため、工事債権約33億2400万円の大口不良債権が発生して急速に資金繰りが悪化。緊急の資金調達に対応できず、自力での再建を断念。今回の措置となった。
関連サービス
人気記事ランキング
ラーメン店と好対照、中華料理店の倒産が低水準の謎
ラーメン店の倒産が過去最多ペースを辿るなか、中華料理店は対照的な動きをみせている。2024年1-8月の倒産はラーメン店が44件、中華料理店は7件と好対照だった。なぜ中華料理店の倒産は少ないのか。
2
全国の三セク鉄道 売上高トップは 「つくばエクスプレス」 三セク鉄道の約9割が輸送人員増も、6割が経常赤字
全国の第三セクター鉄道運営会社は、コロナ禍を経て9割が売上を伸ばした一方で6割が経常赤字から抜け出せず、地域によって明暗を大きく分けたことがわかった。 61社の2023年度の業績は、55社(構成比90.1%)が前年度から増収だった。ただ、経常赤字は37社で6割(同60.6%)と半数を超えた。
3
三井住友銀行をメインとする企業が10万社突破、東京・大阪・兵庫で強く
三井住友銀行をメインバンクする企業数が初めて10万社(10万442社)を超えた(8月21日号掲載、2024年全国メインバンク調査)。調査対象158万5,849社の6.3%がメインバンクに三井住友銀を選んでいる。
4
「想定為替レート」 平均は1ドル=143.5円 3期連続で最安値を更新
株式上場する主要メーカー109社の2024年度決算(2025年3月期)の期首の対ドル想定為替レートは、1ドル=145円が54社(構成比49.5%)と約半数にのぼることがわかった。 平均値は1ドル=143.5円で、前期から14.5円の円安設定だった。期首レートでは2023年3月期決算から3期連続で最安値を更新した。
5
企業が選ぶ次の自民党総裁は高市早苗氏 立憲民主党は野田佳彦氏
野党第一党の立憲民主党の代表選は9月7日に告示され、4人が立候補し、23日に開票される。また、与党第一党の自民党総裁選は9月12日に告示され、過去最多の9人が立候補し、27日に開票される。 世代交代も注目されるなか、企業に景気や自社ビジネスの発展に寄与すると思う候補者を聞いた。