全国企業倒産状況

2021年度(令和3年度)の全国企業倒産5,980件

2021年度の倒産

年度の倒産 件数は57年ぶりに6,000件割れ、「新型コロナ」関連倒産は1,770件

 2021年度の全国企業倒産(負債額1,000万円以上)は、件数が5,980件(前年度比16.5%減)、負債総額が1兆1,679億7,400万円(同3.3%減)だった。
件数は、2年連続で前年度を下回った。コロナ関連の金融支援策に支えられ、1964年度(4,931件)以来、57年ぶりの低水準にとどまった。
負債総額は、4年連続で前年度を下回り、1973年度(9,055億7,000万円)に次ぐ、48年ぶりの低水準だった。2021年度の最大の倒産はホテル経営の(株)東京商事(東京、特別清算)の負債1,004億8,300万円。負債1,000億円超の大型倒産は2018年度のMT映像ディスプレイ(株)(大阪・負債1,033億2,600万円)以来、3年ぶり。負債50億円以上100億円未満は23件(前年度12件)で、中堅規模の倒産が増加した。
ただ、同1億円未満が4,466件(前年度5,478件)と全体の74.6%を占め、小規模倒産を中心とした推移に大きな変化はない。
2021年度の「新型コロナウイルス」関連倒産は1,770件(前年度比53.2%増、構成比29.5%)で、前年度(1,155件)の1.5倍増と大幅に増加した。

企業倒産年度推移


  • 上場企業倒産:2019年度以来、2年ぶりに発生なし
  • 「人手不足」関連倒産のうち、「後継者難」が404件
  • 形態別:法的倒産が5,805件で構成比は過去最高の97.0%
  • 都道府県別件数:前年度より増加が9県、減少が35都道府県、同数が3県
  • 負債別:1億円未満の構成比が74.6%
  • 従業員数別:10人未満の構成比が89.6%、過去30年間で最高
  • 原因別件数:『不況型』倒産の構成比が83.9%、13年連続で80%台
  • 業種別:パチンコホール、歯科医院、旅行業、道路貨物運送業などが増加
  • 中小企業倒産(中小企業基本法に基づく)の構成比は99.9%

産業別 10産業のうち、9産業で前年度を下回る

 2021年度の産業別件数は、10産業のうち、運輸業を除く9産業で減少。農・林・漁・鉱業、建設業、製造業、卸売業、小売業、金融・保険業、不動産業の7産業は、1992年度以降の30年間で最少となった。
最多はサービス業他の1,972件(前年度比18.9%減)で、2年連続で前年度を下回った。
このほか、農・林・漁・鉱業60件(同36.1%減)、建設業1,105件(同1.0%減)、製造業646件(同21.6%減)、卸売業803件(同15.2%減)、小売業708件(同26.6%減)が2年連続で、それぞれ前年度を下回った。また、金融・保険業18件(同43.7%減)が2年ぶり、不動産業211件(同19.7%減)が3年ぶり、情報通信業213件(同18.0%減)が3年連続で、減少した。
一方、運輸業が244件(同7.4%増)で、2年ぶりに前年度を上回ったが、2年連続で250件を下回る低水準で推移。

2021年度の産業別倒産

主要産業倒産年度推移

地区別 2年連続で全9地区で前年度を下回る

 2021年度の地区別件数は、2年連続で全9地区で前年度を下回った。
また、全9地区が、1992年度以降の30年間で最少になった。
北海道144件(前年度比13.2%減)が5年連続で前年度を下回った。そのほか、中部730件(同24.1%減)が4年連続、東北287件(同3.6%減)と関東2,261件(同13.6%減)、北陸156件(同8.7%減)、近畿1,558件(同19.0%減)、中国234件(同28.4%減)、四国127件(同6.6%減)、九州483件(同13.9%減)が、それぞれ2年連続で前年度を下回った。
北海道が2年連続で100件台、東北が2年連続で200件台にとどまった。関東が2年連続で2,000件台、中部が2年連続で1,000件割れ、北陸が2年連続で200件割れ、近畿が2年連続で2,000件を下回った。中国が1992年度以降の30年間で、初めて200件台に減少。四国が2015年度以降、7年連続で100件台にとどまり、九州が1992年度以降の30年間で、初めて500件を下回った。

2021年度の都道府県別倒産

地区の範囲は以下に定義している。

  • 東北(青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島)
  • 関東(茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、山梨)
  • 中部(長野、岐阜、静岡、愛知、三重)
  • 北陸(富山、石川、福井)
  • 近畿(滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山)
  • 中国(広島、岡山、山口、鳥取、島根)
  • 四国(香川、徳島、愛媛、高知)
  • 九州(福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄)

当年度の主な倒産

[負債額上位5社]

  1. (株)東京商事/東京都/ホテル経営ほか/1,004億8,300万円/特別清算
  2. (株)ホープエナジー/福岡県/電力小売/300億円/破産
  3. イセ食品(株)/東京都/鶏卵販売ほか/278億4,700万円/会社更生法
  4. D-LIGHT(株)/東京都/蓄電池販売ほか/213億円/破産
  5. D-PROX(株)/東京都/蓄電池販売ほか/177億円/破産

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

「美容室」倒産が急増 1‐4月は最多の46件 人件費や美容資材の価格上昇が経営を直撃

コロナ禍を抜けたが、美容室の倒産が急増している。2024年1-4月「美容室」倒産は、累計46件(前年同期比48.3%増)に達した。同期間の比較では、2015年以降の10年間で、2018年と2019年の32件を抜いて最多を更新した。

2

  • TSRデータインサイト

約束手形の決済期限を60日以内に短縮へ 支払いはマイナス影響 約4割、回収では 5割超がプラス影響

これまで120日だった約束手形の決済期限を、60日に短縮する方向で下請法の指導基準が見直される。約60年続く商慣習の変更は、中小企業の資金繰りに大きな転換を迫る。 4月1~8日に企業アンケートを実施し、手形・電子記録債権(でんさい)のサイト短縮の影響を調査した。

3

  • TSRデータインサイト

「人手不足」企業、69.3%で前年よりも悪化 建設業は8割超が「正社員不足」で対策急務

コロナ禍からの経済活動の再活性化で人手不足が深刻さを増し、「正社員不足」を訴える企業が増加している。特に、2024年問題や少子高齢化による生産年齢人口の減少などが、人手不足に拍車をかけている。

4

  • TSRデータインサイト

コロナ破たん累計が1万件目前 累計9,489件に

4月は「新型コロナ」関連の経営破たん(負債1,000万円以上)が244件(前年同月比9.9%減)判明した。3月の月間件数は2023年3月の328件に次ぐ過去2番目の高水準だったが、4月は一転して減少。これまでの累計は9,052件(倒産8,827件、弁護士一任・準備中225件)となった。

5

  • TSRデータインサイト

【破綻の構図】テックコーポレーションと不自然な割引手形

環境関連機器を開発していた(株)テックコーポレーションが3月18日、広島地裁から破産開始決定を受けた。 直近の決算書(2023年7月期)では負債総額は32億8,741万円だが、破産申立書では約6倍の191億円に膨らむ。 突然の破産の真相を東京商工リサーチが追った。

記事カテゴリを表示
記事カテゴリを閉じる

プリントアウト

RSS

CLOSE
TOPへ