全国企業倒産状況

2017年6月の全国企業倒産706件

2017年6月の倒産

倒産件数が706件 製造業としては戦後最大の倒産が発生

 2017年(平成29年)6月度の全国企業倒産(負債額1,000万円以上)は、件数が706件、負債総額は1兆5,883億3,900万円だった。
倒産件数は、前年同月比7.4%減(57件減)で2カ月ぶりに前年同月を下回り、6月としては1990年(516件)以来27年ぶりの低水準になった。金融機関が中小企業のリスケ要請に柔軟に応じていることに加えて、国内景気の緩やかな拡大も影響しているとみられる。
一方、負債総額は前年同月比1369.7%増(1兆4,802億7,400万円増)と大幅に増加した。これは、製造業としては戦後最大の倒産となった自動車部品製造のタカタ(株)(負債1兆5,024億円)の民事再生法の申請が影響した。月次負債の1兆円超えは、日本振興銀行(株)(負債6,805億円)と(株)武富士(同4,336億円)の倒産で負債が膨らんだ2010年9月(1兆4,180億2,500万円)以来、6年9カ月ぶり。
ただし、タカタ(株)分を除いた月次の負債総額は今年最少の859億3,900万円にとどまり、全体では負債1億円未満が548件(構成比77.6%)になり、小規模倒産が中心であることに変わりがない。

企業倒産月次推移


  • 大型倒産:製造業としては戦後最大となるタカタ(株)(負債1兆5,024億円)が民事再生法を申請
  • 従業員被害状況:従業員被害者数が5,254人、2年3カ月ぶりに5,000人を上回る
  • 形態別:法的倒産の構成比が過去最高の92.3%
  • 原因別件数:「他社倒産の余波」が5カ月連続で前年同月を上回る
  • 従業員数別:5人未満の構成比が75.7%、15カ月連続で70%を上回る
  • 上場企業倒産:1年9カ月ぶりに東証1部上場のタカタ(株)が1件発生
  • 「人手不足」関連倒産24件で、このうち「求人難」型が1件発生
  • 業種別:情報関連サービス業(13→20件)、宿泊業(7→10件)、飲食業(62→64件)などで倒産増加
  • 中小企業倒産(中小企業基本法に基づく)、件数が2カ月ぶりに前年同月を下回る

産業別 サービス業他が4カ月連続の増加、情報通信業が2カ月連続で前年同月を上回る

 2017年6月の産業別倒産件数は、10産業のうち6産業で前年同月を下回った。
こうしたなか、サービス業他が221件(前年同月比4.2%増)で4カ月連続で増加した。内訳では旅館,ホテル(7→9件)、居酒屋を含む酒場,ビアホール(8→11件)などで増加をみせた。また、ソフトウェア業(14→18件)を中心に情報通信業が31件(前年同月比24.0%増)と2カ月連続で前年同月を上回った。金融・保険業は4件(前年同月1件)で4カ月ぶりに増加した。
一方、卸売業103件(前年同月比4.6%減)と運輸業18件(同18.1%減)が3カ月連続、建設業は120件(同17.8%減)で2カ月連続で前年同月を下回った。また、製造業92件(同5.1%減)と小売業88件(同24.7%減)および不動産業25件(前年同月比19.3%減)が2カ月ぶりに前年同月を下回った。農・林・漁・鉱業は前年同月同数の4件だった。

2017年6月の産業別倒産

産業別倒産月次推移

地区別 9地区のうち6地区で前年同月を下回る

 2017年6月の地区別件数は、9地区のうち6地区で前年同月を下回った。
このうち、北海道23件(前年同月比4.5%増)と四国11件(同22.2%増)がともに2カ月連続の増加した。北海道の産業別では、飲食業などのサービス業他(3→8件)などで増加をみせ、四国は製造業(ゼロ→4件)などで件数を押し上げた。
一方、減少では北陸が13件(前年同月比40.9%減)で3カ月連続で減少した。また、中部107件(同7.7%減)と中国33件(同5.7%減)がともに2カ月連続で前年同月を下回った。関東は258件(同3.3%減)で5カ月ぶりに前年同月を下回り、近畿188件(同8.7%減)と九州41件(同24.0%減)がともに2カ月ぶりに前年同月を下回った。
このほか、東北が前年同月同数の32件だった。今年最多で連続減少が4カ月でストップした。東北の産業別では建設業(5→7件)で増加が目立った。

2017年6月の都道府県別倒産

地区の範囲は以下に定義している。

  • 東北(青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島)
  • 関東(茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、山梨)
  • 中部(長野、岐阜、静岡、愛知、三重)
  • 北陸(富山、石川、福井)
  • 近畿(滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山)
  • 中国(広島、岡山、山口、鳥取、島根)
  • 四国(香川、徳島、愛媛、高知)
  • 九州(福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄)

当月の主な倒産

[負債額上位5社]

  1. タカタ(株)/東京都/自動車部品製造/1兆5,024億円/民事再生法
  2. (医)社団誠広会/岐阜県/総合病院・介護福祉施設経営ほか/87億円/民事再生法
  3. 野田興産(株)/大阪府/分譲マンション企画販売/45億円/破産
  4. ダイナテック(株)/長野県/金属表面処理加工/35億7,900万円/取引停止処分
  5. タカタ九州(株)/佐賀県/自動車部品製造/34億9,400万円/民事再生法

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