• TSRデータインサイト

Xアイコン
facebookアイコン

「不動産業」 上位4%の大手がシェア約8割 地価上昇と活発な実需・投資が追い風に

~ 2025年「不動産業」動向調査 ~


 売買を主力とする主な不動産業6,090社の最新期決算(2024年7月期-2025年6月期)は、売上高が17兆3,430億円(前期比7.9%増)と好調だったことがわかった。純利益も1兆3,063億円(同6.8%増)で、純利益率7.5%と高収益を持続。7年間では売上高、利益とも最高を記録した。
 地価が4年連続で上昇する一方、実需や投資が活発だったことが背景にある。ただ、2025年の不動産業の休廃業・解散は2,000件(前年比3.3%増)、倒産は136件(同32.0%増)で合計2,136件(前年2,039件)に増えており、活況をみせるマーケットの中で二極化が加速しているようだ。

 東京商工リサーチ(TSR)の企業データベースで、全国の主な不動産業6,090社の最新期の業績を調査した。大手の寡占が強まり、売上高100億円以上は244社(構成比4.0%)で、244社の売上高合計は13兆4,198億円と全体の約8割(同77.3%)を占めた。
 一方、売上高5億円未満は4,397社で社数は7割超(同72.2%)を占めるが、売上高合計は4億8,781万円(同2.8%)にとどまった。豊富な資金力と情報網を張り巡らせる大手が、優良物件を取得し、再開発などと併せた有効活用で業界をけん引している構図が浮かび上がる。

 純利益は、8割を超す5,173社(同84.9%)が黒字だったが、約4割の2,398社(同39.3%)は減益で、人件費やコスト上昇で収益格差が広がっている。
 なお、2025年の「休廃業・解散」は2,000社(前年比3.3%増)、倒産は136社(同32.0%増)で、合計2,136社(同4.7%増)が市場から退出し、過去10年間で最多を更新した。
 不動産業界は、投資過熱による価格高騰と金利上昇で転換期を迎えている。大手が優良な物件を囲い込むなか、営業スタイルは従来の駅前店舗からSNSなどのAIツールを駆使した手法に変化しており、マーケットの変化への対応が、生き残りの分岐点になりつつある。

※本調査は、東京商工リサーチの企業データベース(約440万社)から、日本産業分類の建物売買業・土地売買業を対象に、2024年7月期-2025年6月期を最新期とする7期連続で業績が判明した6,090社を抽出、分析した。


不動産業の業績はコロナ禍以降で最高

 全国の不動産業6,090社の最新期の売上高合計は、17兆3,430億円(前期比7.9%増)だった。過去7年間をみると、売上高はコロナ禍に減少したが、最新期を含めて4年連続で前期を上回った。地価上昇や、資材等のコストアップ分の価格転嫁が寄与しているようだ。
 利益合計は、1兆3,063億円(同6.8%増)と7年間で最大となった。3期前は前期比19.4%増と高い伸び率をみせたが、最新期は同6.8%増と増加率は一桁台に減速した。

不動産売買業の業績推移

売上高増減別 増収企業は4割超

 最新期の売上高は、増収が2,748社(構成比45.1%)、減収は2,293社(同37.6%)、横ばいが1,049社(同17.2%)だった。
 売上高伸長率は、10%未満の減収が1,578社(構成比25.9%)で最多。増収では、10~100%未満の増収が1,532社(同25.1%)で最も多く、0~5%未満の増収が1,494社(同24.5%)と続く。100%以上の増収も388社(同6.3%)あったが、業績は二極化が続いている。


左:不動産売買業 対前年増減収別 右:不動産売買業 売上高伸長率別

損益別 黒字企業が8割超

 最終損益をみると、黒字が5,173社(構成比84.9%)で、8割を超えた。
 ただ、2期前の5,229社(同85.8%)、1期前の5,198社(同85.3%)と、緩やかに減少をたどる。  
 一方、赤字は917社(同15.0%)であり、1期前の892社(同14.6%)に比べ0.4ポイント悪化した。
 黒字が徐々に減り続けている。

不動産売買業 損益別

倒産と休廃業・解散の合計が過去10年間で最多

 2025年の不動産業の「休廃業・解散」は2,000社(前年比3.3%増)、倒産は136社(同32.0%増)だった。合計2,136社(同4.7%増)が市場から撤退し、過去10年間で最多を更新した。
 2022年以前の倒産は、年間90件を下回ったが、2023年に100件を超えて以降、高水準で推移している。また、2025年の「休廃業・解散」も、過去10年間で最多を更新した。
 不動産業界を取り巻く環境は大きく変化しており、従来の営業スタイルから抜け出せず、コスト上昇を価格転嫁できない業者の淘汰は、今後も進むとみられる。

不動産売買業の休廃業解散、倒産(年次推移)

Xアイコン
facebookアイコン

人気記事ランキング

ランキング1位
  • TSRデータインサイト

「最低賃金」改定で、51.3%の企業が「給与変更」 2020年代の1,500円 「対応不可能」が4割切る

厚生労働省は9月3日、2026年度の全国の最低賃金額(平均)を1,177円(56円増)に引き上げた。 1978年度に目安制度が始まって以降、平均引き上げ額56円は前年度に続き2番目の高さで、これを受けて給与改定を迫られる企業が半数に達することがわかった。

2

  • TSRデータインサイト

1-9月「医療機関」倒産 過去最多の59件 身近なクリニック、歯科医院で苦境が鮮明

医療機関の倒産が再び勢いを増している。2026年1月-9月に倒産した病院・クリニック(診療所)・歯科医院などの「医療機関」は59件(前年同期比28.2%増)と、過去最多を更新した。

3

  • TSRデータインサイト

「税金滞納」倒産が168件、前年同期の2倍に大幅増 2026年度上半期の「税金滞納」倒産 破産が97.6%

2026年度上半期(4-9月)の「税金滞納(社会保険を含む)」倒産は、168件(前年同期比100.0%増)と、前年同期の2倍に達し、この10年で最多を記録した。物価や人件費などのコストアップが企業収益を圧迫し、納税原資を確保できない小・零細企業の行き詰まりに拍車を掛けている。

4

  • TSRデータインサイト

「社会保険の適用拡大」 中小・零細企業ほど負担増 企業の44.9%が「働き控え」懸念、「未対応」も半数

2026年10月から非正規従業員にも社会保険の適用が拡大された。「月収8万8,000円以上」の賃金要件が撤廃され給与額に関わらず条件を満たす社員は、新たに厚生年金や健康保険の加入対象となる。10月1~8日企業を対象に「社会保険適用の基準変更」に関するアンケート調査を実施した。

5

  • TSRデータインサイト

2026年1-9月「デイサービス」倒産47件 同期間で過去最多、介護業界の苦境鮮明

デイサービスなど「通所・短期入所介護事業」の倒産が増加している。2026年は9月までに47件(前年同期比34.2%増)と大幅に増加し、1-9月で過去最多を更新した。多様化するサービスなど、他社との競争が激化するほか、物価高に人手不足も重なり、苦境が深まっている。

TOPへ