TSRデータインサイト

　2月10日は16時時点で「新型コロナ」関連の経営破たん（負債1,000万円以上）が10件（倒産9件、弁護士一任・準備中1件）判明し、2月からの累計は全国で1,003件（倒産930件、弁護士一任・準備中73件）となった。

　月別では2020年9月以降3カ月連続で100件を超えた。12月、1月は2カ月連続で100件を下回ったものの、90件台と引き続き高い水準で推移。2月は10日までに67件が判明し、これまで最多の発生ペースとなっている。

　なお、倒産集計の対象外となる負債1,000万円未満の小規模倒産は累計49件判明。この結果、負債1,000万円未満を含めた新型コロナウイルス関連破たんは累計1,052件となった。

　緊急事態宣言の再発令は10都府県で3月7日まで期限延長した。焦点となっていた一部地域の宣言解除は現状では見送りとなり、引き続き対象地域では飲食店の時短営業や、外出自粛要請による消費停滞などの影響が懸念される。

　新型コロナの影響が約1年と長期化し、中小企業の疲弊感は強まっている。売上回復の見通しが立たず、資金繰り支援策頼みで経営を維持している企業も多い。月別では最多ペースをたどるなか、息切れ企業の増加でコロナ関連破たんはさらに増勢ピッチをあげる可能性が高まっている。

【都道府県別】（負債1,000万円以上）～ 山梨県で2件目が判明、8都道府県で30件以上 ～

　都道府県別では、東京都が244件（倒産228件、準備中16件）に達し、全体の4分の1（構成比24.3％）を占め、突出している。以下、大阪府99件（倒産92件、準備中7件）、神奈川県54件（倒産51件、準備中3件）、愛知県48件（倒産47件、準備中1件）、兵庫県44件（倒産40件、準備中4件）、北海道38件（倒産37件、準備中1件）と続く。
　10日は、埼玉県で4件、東京都で3件、青森県、栃木県、山梨県でそれぞれ1件ずつ判明。これまで全国で唯一、1件の発生にとどまっていた山梨県で2件目が判明した。
　都道府県別では10～20件未満が16府県、20～30件未満が4県、30件以上は8都道府県に広がっている。

【業種別】（負債1,000万円以上） ～ 飲食業が176件、アパレル92件、建設83件、宿泊67件 ～

　業種別では、来店客の減少、休業要請などで打撃を受けた飲食業の176件が最多。緊急事態宣言の再発令で飲食業の新型コロナ破たんがさらに増加する可能性が強まっている。
　次いで、百貨店や小売店の休業が影響したアパレル関連（製造、販売）が92件。工事計画の見直しなどの影響を受けた建設業が83件、インバウンドの需要消失や旅行・出張の自粛が影響したホテル、旅館の宿泊業が67件と続く。
　また、飲食業などの不振に引きずられている飲食料品卸売業が47件、食品製造業も32件と目立ち、飲食業界の不振が関連業種に波及している。

【負債額別】（負債1,000万円以上）

　負債額が判明した983件の負債額別では、最多が1億円以上5億円未満で356件（構成比36.2％）。次に、1千万円以上5千万円未満330件（同33.5％）、5千万円以上1億円未満161件（同16.3％）、10億円以上が70件（同7.1％）、5億円以上10億円未満が66件（同6.7％）の順。
　負債1億円未満が491件（同49.9％）と半数を占める。一方、100億円以上の大型倒産も5件発生しており、小・零細企業から大企業まで経営破たんが広がっている。

【形態別】（負債1,000万円以上）

　「新型コロナ」関連破たんのうち、倒産した930件の形態別では、破産が816件（構成比87.7％）で最多。次いで民事再生法が55件（同5.9％）、取引停止処分が52件（同5.5％）、特別清算が6件（同0.6％）、会社更生法が1件（同0.1％）と続く。
　「新型コロナ」関連倒産の約9割を消滅型の破産が占め、再建型の会社更生法と民事再生法は1割未満にとどまる。業績不振が続いていたところに新型コロナのダメージがとどめを刺すかたちで脱落するケースが大半。
　先行きのめどが立たず、再建型の選択が難しいことが浮き彫りとなっている。

【従業員数別】（負債1,000万円以上）

　「新型コロナ」関連破たんのうち、従業員数（正社員）が判明した930件の従業員数の合計は1万3,874人にのぼった。
　930件の内訳では従業員5人未満が478件（構成比51.3％）と、半数を占めた。次いで、5人以上10人未満が177件（同19.0％）、10人以上20人未満が141件（同15.1％）と続き、従業員数が少ない小規模事業者に、新型コロナ破たんが集中している。
　従業員50名以上の破たんは8月以降、月間2件以下の発生にとどまり、小規模化が顕著となっている。