• TSRデータインサイト

Xアイコン
facebookアイコン

「負債1,000万円未満の倒産」調査 2020年(1-12月)

 2020年(1-12月)の負債1,000万円未満の企業倒産が630件(前年比23.0%増)と急増、2000年以降で年間最多だった2010年(537件)を上回り、初めて年間600件を突破した。
 産業別の最多は、新型コロナ感染拡大の影響が深刻だった飲食業、宿泊業を含むサービス業他の300件(前年比37.6%増)。負債1,000万円未満の倒産の47.6%と、ほぼ半数を占めた。
 業種別では、飲食業(63→102件)や宿泊業(3→4件)のほか、繊維工業(1→6件)、繊維・衣服等卸売業(6→12件)、織物・衣服・身の回り品小売業(12→16件)のアパレル関連など、個人消費関連が軒並み前年を上回った。
 原因別では、「販売不振」が450件(構成比71.4%)で最も多かった。業歴が浅く、事業基盤を確立できないまま、本業不振で躓いた「事業上の失敗」も38件(同6.0%)発生した。
 コロナ禍で国や自治体、金融機関による積極的な資金繰り支援が奏功し、2020年(1-12月)の企業倒産(負債1,000万円以上)は、バブル期並みの低水準にとどまった。一方、負債1,000万円未満の企業倒産は小・零細規模の企業、商店を中心に増加し、2020年は年間で初めて600件台に乗せ好対称となった。
 1月7日、政府は首都圏の1都3県に緊急事態宣言を再発令した。近畿、中部、関東、九州でも「緊急事態宣言」の発令を政府に要請(を検討)する府県も出てきて、新型コロナ感染拡大の第三波の影響が広がっている。もともと過小資本で、経営基盤が脆弱な小・零細規模の経営環境はより厳しさを増している。売上回復が進まず、新型コロナ支援だけでは資金繰り維持が限界に達しつつあり、負債1,000万円未満の倒産増加を招いている。

  • ※本調査は2020年(1-12月)に全国で発生した企業倒産(法的、私的)のうち、通常の「倒産集計」(負債1,000万円以上)に含まれない負債1,000万円未満の倒産を集計、分析した。

過去最多の630件、初めて600件を突破

 2020年(1-12月)の負債1,000万円未満の企業倒産は630件(前年比23.0%増)で、前年比1.2倍増となった。2000年以降、年間最多だった2010年の537件を10月までに上回り、年間で初めて600件台を突破した。
 四半期別では、1-3月は134件(前年同期比0.7%増)と微増にとどまったが、緊急事態宣言の発令で外出自粛、営業時短などが直撃した4-6月は168件(同51.3%増)に急増、7-9月も187件(同36.4%増)と大幅に増えた。その後、「GoToキャンペーン」などが始まった10-12月は141件(同7.6%増)と、増加幅は縮小した。ただ、新型コロナの第三波襲来で、書き入れ時のクリスマス商戦、年末年始商戦の売上が消失したほか、後継者不在で事業承継が進まない小・零細企業は多く、今後の動向が注視される。

1000万未満

産業別 10産業のうち、6産業で増加

 産業別では、建設業、小売業、金融・保険業、不動産業を除く6産業で、前年を上回った。  最多は、「サービス業他」の300件(前年比37.6%増、前年218件)で、2年ぶりに前年を上回り、初めて300件を超えた。倒産の構成比は47.6%(前年42.5%)とほぼ半数を占め、前年よりも5.1ポイント上昇した。
 このほか、「農・林・漁・鉱業」7件(前年比75.0%増)と「情報通信業」51件(同30.7%増)が3年連続、「製造業」34件(同25.9%増)と「卸売業」58件(同65.7%増)が3年ぶり、「運輸業」14件(同27.2%増)が4年ぶりに、それぞれ前年を上回った。
 一方、「小売業」は65件(同15.5%減)で、2年連続で減少した。
 「建設業」88件、「金融・保険業」1件、「不動産業」12件が、それぞれ前年と同件数だった。
 増加率が大きい「卸売業」では、飲食料品卸売業(前年比350.0%増、2→9件)、機械器具卸売業(同100.0%増、8→16件)、繊維・衣服等卸売業(同100.0%増、6→12件)などで前年を上回った。

形態別 破産の構成比が96.9%

 形態別では、最多が「破産」の611件(前年比22.4%増、前年499件)で、2年ぶりに前年を上回った。倒産に占める構成比は96.9%(前年97.4%)で、前年より0.5ポイント低下した。
 次いで、「民事再生法」の13件(前年比160.0%増、前年5件)で、すべてが個人企業の小規模個人再生手続きだった。
 このほか、「取引停止処分」(同40.0%減、同5件)、「特別清算」(前年比±0.0%)が各3件だった。
 負債1,000万円未満は体力が乏しい小・零細企業が多く、業況改善が遅れるなか、先行きが見通せずに事業継続を断念、破産を選択する企業が多いことを示している。また、代表者の個人破産に合わせた法人(企業)の処理、代表者の死亡や実質的に休眠状態の企業の清算も散見される。

原因別 販売不振が7割以上

 原因別では、「販売不振」が450件(前年比16.8%増、前年385件)で、5年連続で前年を上回った。倒産に占める構成比は71.4%(前年75.1%)で、前年より3.7ポイント低下した。
 「他社倒産の余波」は71件(前年比65.1%増、前年43件)で、2年連続で増加。グループの中核企業に連鎖し、倒産するケースが大半を占めた。
 また、「事業上の失敗」が38件(同26.6%増、同30件)で、2年ぶりに前年を上回った。業歴が浅く、事業を軌道に乗せることができないまま倒産に至る企業も多い。
 このほか、「運転資金の欠乏」が17件(同30.7%増、同13件)で3年ぶりに増加、「既往のシワ寄せ(赤字累積)」25件(同127.2%増、同11件)、代表者の死亡・病気などを含む「その他」22件(同10.0%増、同20件)が2年ぶりに、それぞれ増加した。

資本金別 1,000万円未満が9割以上

 資本金別では、「1,000万円未満」が581件(前年比20.5%増、前年482件)で、5年連続で前年を上回った。倒産に占める構成比は92.2%(前年94.1%)で、前年より1.9ポイント低下した。
 「個人企業他」が212件(前年比29.2%増、前年164件)、「100万円以上500万円未満」が216件(同5.8%増、同204件)、「100万円未満」が89件(同32.8%増、同67件)、「500万円以上1,000万円未満」が64件(同36.1%増、同47件)だった。
 このほか、「1,000万円以上5,000万円未満」が48件(同65.5%増、同29件)と、「5,000万円以上1億円未満」が1件(前年ゼロ)で、それぞれ3年ぶりに増加した。
 一方、「1億円以上」はゼロ(同1件)で、2年ぶりに発生しなかった。

都道府県別 増加23、減少20、同数4

 都道府県別では、2年連続で、「増加」が「減少」を上回った。
 倒産件数20件以上の増減率では、増加が栃木340.0%増(5→22件)、静岡250.0%増(6→21件)、福岡134.7%増(23→54件)、神奈川96.6%増(30→59件)、東京34.4%増(90→121件)、兵庫26.4%増(34→43件)、大阪3.4%増(29→30件)。一方、減少は北海道17.9%減(39→32件)、広島14.5%減(48→41件)、愛知13.0%減(23→20件)。

Xアイコン
facebookアイコン

人気記事ランキング

ランキング1位
  • TSRデータインサイト

「鳶工事業」が苦境、倒産が過去最多ペース ~ 16年ぶり100件超、職人不足とコスト対応がネック ~

「建設現場の花形」と言われる鳶職人の世界に逆風が吹く。足場から鉄骨、支柱工事など建設現場で欠かせないが、倒産が過去最多ペースだ。有効求人倍率は7.94倍と深刻な人材難の鳶業界にあって採用難と高い技能、経験が若者の育成に足かせになっている。鳶工事業の倒産を分析した

2

  • TSRデータインサイト

「渋谷区」が倒産最多、2年連続も視野 ~ 倒産企業の半数が業歴10年超、新設法人は伸び鈍化 ~

街の主役は若者から大人へ。再開発で変貌を遂げる「シブヤ」に異変が生じている。 渋谷区に本社を構える企業倒産(1-8月)は、全国の市区郡別で最多の123件に達した。昨年(2025年1-12月)は161件で2007年以来、18年ぶり全国ワーストだった

3

  • TSRデータインサイト

2025年度の書店の利益、前年度の4.6倍に拡大 黒字企業が7割も、「増収増益」は13.4%

「本離れ」が言われて久しいが、書店経営が回復に転じた。全国の主な書店304社の2025年度の売上高合計は、6,121億4,000万円(前年度比1.6%増)、利益合計は40億2,600万円(同365.4%増)で、売上高は微増だったが、利益は前年度の4.6倍に急回復した。

4

  • TSRデータインサイト

翻訳業が苦境、利益は3年で7割減 ~ AIと競合で破産したケースも ~

AIが翻訳業界にドラスティックな変化を迫っている。日進月歩で精度が向上するなか、言語間の壁が低くなっている。この余波が翻訳業界に広がり、業績は3期連続で減収減益に追い込まれた。

5

  • TSRデータインサイト

「畳製造業」 伝統産業に忍び寄る市場変化と後継問題 売上は3年連続で低迷、業歴100年超の老舗が2割超

9月24日は「畳の日」。全国畳産業振興会が4月29日と9月24日の年2回定めている。日本の住文化の伝統を引き継ぐ畳のすばらしさをアピールすることが目的だが、畳製造業が長期低迷に陥っている。 全国の主な「畳製造業」256社の2025年度の売上高合計は402億7,700万円(前年度比1.3%減)だった

TOPへ