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上場企業「新型コロナウイルス影響」調査

 全国各地で感染者が拡大する「新型コロナウイルス」の影響は企業にも広がり、「決算短信」や「業績予想の修正」などで、新型コロナウイルス関連で業績への影響や対応策などを情報開示する上場企業が相次いでいる。
 3月6日14時までに情報開示した上場企業は436社に達した。また、自主的な開示はないが、東京商工リサーチの独自調査で工場や事業所、店舗の稼働休止など何らかの影響が判明した上場企業は25社あった。合計461社の上場企業が、新型コロナウイルスの対応を明らかにした。
 このうち、新型コロナウイルスで売上、利益面にマイナスの影響を受けたのは87社を数えた。
 判明した修正額合計は、前回予想に比べ売上高が4,584億円、最終利益は1,057億円のマイナスだった。


87社が業績へのマイナス影響を開示 感染者の公表は21社

 情報開示した436社のうち、決算短信や業績予想の修正などで新型コロナウイルスの影響に言及したのは290社にのぼった。このうち、87社(構成比30.0%)が、売上高や利益の減少など業績などへのマイナス要因、業績予想の修正要因として新型コロナウイルスの影響を挙げた。
 業績予想の修正分のマイナスは合算すると売上高で4,584億円、最終利益で1,057億円にのぼった。修正額の最大は売上、利益ともに(株)エイチ・アイ・エス(TSR企業コード:292203993、売上高マイナス1,250億円、当期利益▲121億円)。貸会議室大手の(株)ティーケーピー(TSR企業コード:296456853)は、イベントキャンセルによる売上減が相次ぎ、2020年2月期の業績予想を下方修正した。次期以降もイベント自粛による会議室・宴会場の利用減少を見込み、各業績予想数値を下方修正した。
 また、(株)髙島屋(TSR企業コード:570108730)、 J.フロントリテイリング(株)(TSR企業コード:297152963) 、(株)三越伊勢丹ホールディングス(TSR企業コード:297339362)など、大手百貨店の2月度売上は、免税店売上の減少と消費マインドの減退がダブルパンチとなり、業績ダウンが鮮明となった。
 このほか、203社(同70.0%)が「影響の懸念がある」、もしくは「影響を確定することは困難で業績予想に織り込んでいない」とした。終息が依然として見通せず、企業業績への影響を確定させるにはさらに時間がかかりそうだ。
 また、「その他」が158社と、全体では2番目に多かった。「その他」のうち、従業員などに感染者が出たことを公表した企業が21社。感染防止のために在宅勤務などのテレワークや時差出勤の実施など、従業員の働き方の変更を公表した企業が35社あった。実際に感染者が発生した際の企業としての対応策や、BCP(事業継続計画)の整備も問われている。
 一方、IT関連業者などを中心に、テレワーク支援のためにサービスツールなどの提供を案内するもの(24社)や、休校中の子供たちに向けた教育支援コンテンツの無償提供やサービス案内(10社)など、この機をビジネスチャンスと捉え、積極的にアピールする動きもみられた。

新型コロナウイルスによる上場企業への影響・対応

製造業が5割 イベント中止や施設休業、消費低迷による内需型産業への影響も懸念

 461社の業種別では、製造業が最も多く217社(構成比47.0%)で約5割を占めた。中国国内の工場や事業所は再開したが、サプライチェーンの乱れや人手確保の問題などから正常稼働までには時間を要するケースも多い。次いで、サービス業68社(同14.7%)、小売業54社(同11.7%)、情報通信業48社(同10.4%)、卸売業26社(同5.6%)、運輸業17社(同3.6%)、その他業種31社(同6.7%)と続く。
 感染拡大防止策として、各種イベント等の自主的な延期・中止や運営施設の休業が相次いでいる。(株)オリエンタルランド(TSR企業コード:320063402)や(株)サンリオ(TSR企業コード:290639557)は運営するテーマパークの臨時休園を発表し、大きな話題となった。
 また、集団感染が発生したスポーツジム業界でも当面の休業が相次ぎ、フィットネスクラブ「カーブス」を運営する(株)カーブスホールディングス(TSR企業コード:274922541、港区)は3月3日、3月8日から3月15日までの期間、国内の全店舗(約2,000店舗)を一斉休業する。
 感染拡大の進行で、インバウンド需要の停滞に加え、消費低迷やイベント自粛などが企業業績に悪影響を及ぼしている。今後も、会合や宴会、旅行のキャンセルなど個人消費の減退が進むなか、内需型産業も含めてあらゆる業種への波及が懸念される。

新型コロナウイルスによる上場企業への影響・対応 業種別

 東京商工リサーチが実施した第2回「新型コロナウイルスに関するアンケート」調査(3月2日~4日中間集計速報値、有効回答1万408社)では、94.8%(9,872社)の企業が「すでに影響が出ている」、または「今後影響が出る可能性がある」と回答した。第1回アンケート(2月7日~16日実施)では何らかの「影響がある」企業は合計66.4%にとどまっていたが、わずか2週間で28.4ポイントアップした。規模、地域、業種を問わず、新型コロナウイルスの影響を受けることが避けられない状況になりつつある。
 一方、東日本大震災では2011年3月末時点で1,908社が影響等について開示した。これと比較すると、現時点で新型コロナウイルスの影響を情報開示した上場企業は約4分の1にとどまる。感染拡大による直接間接の影響が、いまだに見通せないことが背景にあると思われる。
 インバウンドに依存していた温泉旅館の経営破たん(2月25日発生)を皮切りに、川下の産業を中心に新型コロナウイルス関連倒産が各地で発生している。今後、上場企業への悪影響が取引先や下請企業に波及すると、さらに経営体力の乏しい中小企業の経営破たんを誘発する可能性も否めない。
 新型コロナウイルスの国内感染者数の増加とともに、企業経営に及ぼす影響も深刻の度合いを増していく。多くの上場企業が本決算を迎える年度末にかけ、新型コロナウイルスによる影響がさらに表面化する可能性が高まっている。

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