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国内112銀行「リスク管理債権状況」調査

 国内112銀行の2014年9月中間期の決算が出揃った。金融機関の不良債権を表す「リスク管理債権合計」は8兆9,659億円で、前年同期より13.7%減少し、2年連続で前年同期を下回った。また、9月中間期では08年9月中間期以降では最少の金額となり、10兆円を下回った。業態別では、大手行(前年同期比21.0%減)、地方銀行(同8.1%減)、第二地銀(同11.7%減)の全業態で減少した。大手行は大企業への貸出が多く、業績改善や大型倒産の減少により、破綻先債権が前年同期比51.7%減と大幅に減少した。
112行の「貸倒引当金合計」は3兆5,422億円(同16.1%減)と、5年連続で減少した。一方、2014年9月中間期で貸倒引当金を積み増した銀行は25行(構成比22.3%)で、前年同期より7行増加した。   112行の「貸出金合計」は466兆5,419億円(前年同期比4.3%増)と4年連続で増加し、08年9月中間期以降の7年間で貸出金は最高となった。貸出金を伸ばしたのは107行(前年同期95行)だった。「貸出金利息合計」は3兆1,821億円(前年同期比1.6%増)で、08年9月中間期以降、初めて増加に転じた。ただ増加率は、貸出金合計の増加率に比べて低く、銀行間での金利競争の激しさがうかがわれる。
2013年3月末に中小企業金融円滑化法は終了したが、その後も各銀行は同法に準じて中小企業等のリスケ要請に応じている。各銀行の中小企業向け貸出は、前向き資金である設備向け資金で積極的に伸ばした。しかし、全般的な伸びは製造業、不動産業など一部の業種に偏っていて、中小企業にとって新たな資金調達のハードルは依然として高い状況となっている。

  • ※本調査は国内112銀行の2014年9月中間期決算の単独決算ベースで、リスク管理債権(破綻先債権、延滞債権、3カ月延滞債権、貸出条件緩和債権)を集計し、分析した。
  • ※銀行業態は、1.埼玉りそなを含む大手行7行、2.地方銀行は全国地銀協加盟行、3.第二地銀は第二地銀協加盟行。

貸出金・リスク管理債権推移

リスク管理債権 2008年以降、初めて10兆円を下回る

 112行の2014年9月中間期のリスク管理債権合計は8兆9,659億円で、前年同期(10兆3,973億円)より1兆4,313億円(13.7%)減少した。貸出金に占めるリスク管理債権比率は1.9%で、前年同期(2.1%)より0.2ポイント改善し、初めて2.0%を下回った。リスク管理債権の内訳をみると、「破綻先債権」が2,901億円(前年同期比29.6%減)、「延滞債権」が6兆6,001億円(同12.6%減)、「3カ月以上延滞債権」が1,024億円(同10.2%減)、「貸出条件緩和債権」が1兆9,729億円(同14.7%減)と全区分で減少。特に「破綻先債権」はリーマン・ショック後の09年3月期(1兆4,760億円)の19.6%に縮小した。融資先の業績改善や再生ファンドの支援で再建計画を策定したことで、債務者区分が引き上げられたようだ。

業態別 全業態で減少

 業態別のリスク管理債権合計では、大手行が3兆2,258億円(前年同期比21.0%減)、地方銀行が4兆3,154億円(同8.1%減)、第二地銀が1兆4,247億円(同11.7%減)だった。
112行のうち、リスク管理債権が増加した銀行は15行(構成比13.3%)で、地方銀行が64行のうち9行(同14.0%)、第二地銀が41行のうち6行(同14.6%)だった。

地区別 全10地区で前年同期を下回る

 リスク管理債権を銀行の本店所在地でみると、全10地区で前年同期を下回った。東京が前年同期より21.8%減(前年同期比8,548億円減)と減少率が最も大きかった。次いで、近畿が同13.8%減(同1,503億円減)、四国が同10.64%減(同463億円減)、中部が同10.63%減(同1,090億円減)、東北が同10.62%減(同601億円減)、中国が同9.0%減(同429億円減)の順。東京と近畿の2地区が全体の減少率(13.7%減)を上回った。
減少率が最も大きかった東京は、9行全行が前年同期を下回った。一方で、減少率が最も小さかった九州(同2.7%減)は、21行中6行(構成比28.5%)が前年同期を上回った。

リスク管理債権 荘内銀行が増加率47.3%と突出

 銀行別でのリスク管理債権の増加率では、荘内銀行が前年同期より47.3%増と、他行に比べ突出していた。同行は2013年3月期に、震災以降、貸出先の返済が進んだことでリスク管理債権が大幅に減少したが、2014年3月期において法人の貸出先において経営改善計画の進捗状況に応じ債務者区分を引き下げた。このため、貸付条件緩和債権が大幅に増加(前年同期比188.5%増)し、リスク管理債権額を押し上げた。次いで、豊和銀行(同24.5%増)、宮崎銀行(同19.8%増)、西京銀行(同18.3%増)、鹿児島銀行(同10.4%増)の順。リスク管理債権が増加したのは15行で、地方銀行が9行、第二地銀が6行。このうち、九州の銀行が6行を占めた。

貸出金は4年連続増加 貸出金利息の伸びは僅少

 112行の2014年9月中間期の貸出金は466兆5,419億円(前年同期比4.3%増)で、4年連続で増加した。貸出金利息は3兆1,821億円(同1.6%増)と、貸出金の増加に比べわずかにとどまった。業態別では、大手行(同5.1%増)、地方銀行(同3.5%増)、第二地銀(同3.0%増)と全業態で前年同期を上回った。しかし、貸出金利息は大手行1兆5,949億円(同6.9%増)に対し地方銀行1兆2,107億円(同3.0%減)、第二地銀3,763億円(同3.4%減)と、業態による格差が鮮明となった。
112行の2014年9月中間期の貸倒引当金(貸借対照表計上額)は3兆5,422億円(同16.1%減)。9月中間期としては2010年以降、5年連続で減少した。貸倒引当金が増加した銀行は25行(構成比22.3%)と、前年同期(36行)より11行減少した。企業倒産の減少が大きく寄与した。

 2013年3月末の中小企業金融円滑化法終了後も、政策支援により企業倒産が抑制され、2014年(1-12月)の全国企業倒産件数は6年連続で前年件数を下回る公算が高まった。
国内112行の2014年9月中間期決算では、全112行の最終利益が黒字(前期は全行が黒字、前々期は2行が赤字)だった。これは、株価上昇に伴う有価証券の評価益計上や評価損の圧縮、また倒産減少による与信関連費用の減少によるところが大きい。
大手企業は円安を背景に業績が好転している。しかし、円安は内需型の中小企業にとって原材料の上昇などで収益を圧迫している。さらに、業績改善が遅れている企業も多く、引き続きリスク管理債権の推移が注目される。

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