全国企業倒産状況
2025年6月の全国企業倒産848件
6月の企業倒産 4カ月連続で800件台、物価高倒産が1.3倍に増加
2025年6月の全国企業倒産(負債額1,000万円以上)は、件数が848件(前年同月比3.4%増)、負債総額は1,057億300万円(同3.8%減)だった。
件数は2カ月ぶりに前年同月を上回り、6月としては2022年から4年連続で前年同月を上回った。また、3月から4カ月連続で800件台で推移している。
負債総額は4カ月連続で前年同月を下回った。6月では3年連続で1,000億円台となった。負債10億円以上が18件(前年同月16件)と前年同月を上回った一方、同50億円以上は1件(同3件)に減少。同1億円未満が657件(前年同月比4.4%増)と全体の77.4%(前年同月76.7%)を占め、小・零細規模を中心に推移している。
トランプ米大統領が7月8日、関税の猶予期間を8月1日まで延長するが、自動車、鉄鋼、アルミ製品を除くすべてのアメリカ国内への輸入に対して、関税を一律10%を含む25%に引き上げることを表明した。トランプ関税の影響は不透明感がさらに増している。
・形態別件数:破産の構成比は89.5%で、4カ月ぶりに80%台に低下
・都道府県別件数:前年同月を上回ったのが19都府県、減少22道府県、同数6県
・負債額別件数:負債1億円未満の構成比77.4%、100億円以上は4カ月連続で発生なし
・業種別件数:老人福祉・介護事業、機械器具小売業などが増加
・従業員数別件数:従業員10人未満の構成比は89.6%
・中小企業倒産(中小企業基本法に基づく)の構成比は、4カ月連続で100.0%
・「人手不足」関連倒産は、従業員退職11件(前年同月9件)、人件費高騰10件(同10件)、求人難9件(同8件)で、合計30件(同27件)
・「物価高」倒産は60件(前年同月45件)で、前年同月の1.3倍に増加
・「ゼロゼロ融資」利用後の倒産は38件(同48件)で、13カ月連続で前年同月を下回る
◇倒産データ分析:https://www.tsr-net.co.jp/news/data_analysis/index.html
産業別 10産業のうち、4産業で前年同月を上回る
2025年6月の産業別件数は、4産業で前年同月を上回った。
最多はサービス業他の286件(前年同月比±0.0%)で、月次倒産に占める構成比は33.7%(前年同月34.8%)だった。
このほか、不動産業22件(前年同月比46.6%増)が2カ月連続、建設業178件(同14.8%増)と小売業102件(同21.4%増)が2カ月ぶり、製造業101件(同24.6%増)が3カ月ぶりに、それぞれ前年同月を上回った。
建設業は1月の170件を超え、今年最多になった。資材価格の高止まりに加え、慢性的な人手不足などが、倒産件数を押し上げた。
一方、卸売業87件(同17.1%減)が4カ月連続、金融・保険業1件(同50.0%減)が3カ月連続、運輸業33件(同13.1%減)が2カ月連続、情報通信業32件(同30.4%減)が6カ月ぶりに、それぞれ前年同月を下回った。
地区別 倒産件数、5地区で前年同月を上回る
2025年6月の地区別件数は、9地区のうち、5地区で前年同月を上回った。
東北44件(前年同月比10.0%増)と北陸21件(同50.0%増)が、それぞれ3カ月連続で前年同月を上回った。
このほか、関東304件(同4.1%増)が4カ月ぶり、中部104件(同22.3%増)と近畿223件(同1.8%増)が2カ月ぶりに、それぞれ前年同月を上回った。
一方、北海道23件(同8.0%減)と中国37件(同15.9%減)、四国15件(同6.2%減)、九州77件(同9.4%減)が、それぞれ2カ月連続で前年同月を下回った。
※地区の範囲は以下に定義している。
東北(青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島)
関東(茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、山梨)
中部(長野、岐阜、静岡、愛知、三重)
北陸(富山、石川、福井)
近畿(滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山)
中国(広島、岡山、山口、鳥取、島根)
四国(香川、徳島、愛媛、高知)
九州(福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄)
当月の主な倒産
[負債額上位5社]
1.(株)君津ロックウール/千葉県/ロックウール製造販売/87億5,000万円/特別清算
2.タッパーウェアブランズ・ジャパン(株)/東京都/プラスチック保存容器販売/38億6,500万円/破産
3.コーワ(株)/埼玉県/建築資材販売ほか/29億4,400万円/民事再生法
4.(株)まきのとコーポレーション/大分県/観光ホテル経営/29億円/民事再生法
5.飛騨酪農農業(協)/岐阜県/牛乳・乳製品製造/24億8,500万円/破産