全国企業倒産状況
2010年(平成22年)[1-12月] 全国企業倒産状況
| 倒産件数 | 1万3,321件 |
|---|---|
| 負債総額 | 7兆1,607億7,300万円 |
| 前年比(件数) | -13.9%(15,480件) |
| 前年比(負債) | +3.3%(6兆9,300億7,400万円) |
(負債総額1,000万円以上の倒産を集計、%は小数点2位以下切捨)
倒産件数が前年比13.9%減の1万3,321件 上場企業倒産が10件発生
2010年(平成22年)の全国企業倒産(負債総額1,000万円以上)は1万3,321件、負債総額が7兆1,607億7,300万円となった。
倒産件数は、前年比13.9%減(2,159件減)。2年連続で前年を下回り、4年ぶりに1万4,000件を割り込んだ。水準としては戦後28番目となった。減少要因としては、「景気対応緊急保証制度」や「中小企業金融円滑化法」などの金融支援策効果が挙げられる。月次ベースでは2010年12月まで17カ月連続で前年同月を下回って推移した。
ただし四半期別にみると、 2010年1-3月が前年同期比17.7%減、4-6月が同15.9%減、7-9月が同14.5%減、10-12月は同6.5%減と、後半にかけ減少率が1ケタ台に縮小し、政策効果の一巡がうかがえる。
これに対して負債総額は、前年比3.3%増(2,306億9,900万円増)で、戦後14番目の規模となった。これは(株)日本航空と同関連2社(3社負債2兆3,221億円)、日本振興銀行(株)(負債6,805億円)、(株)武富士(同4,336億円)など負債1000億円以上の大型倒産が7件(前年6件)発生したことによる。この7件(負債合計3兆7,693億円)だけで年間負債総額の5割(構成比52.6%)を占めた。

産業別
産業別倒産件数、10産業のうち9産業で前年比減少
減少率は、不動産業26.0%減(596→441件)、金融・保険業23.9%減(92→70件)、卸売業20.4%減(2,192→1,743件)、製造業20.0%減(2,619→2,095件)、運輸業16.1%減(575→482件)、建設業13.7%減(4,087→3,523件)、小売業10.5%減(1,693→1,515件)、サービス業他5.6%減(2,966→2,798件)、情報通信業3.7%減(583→561件)の順。これに対して増加したのは、農・林・漁・鉱業の20.7%増(77→93件)のみ。
| 産業別分類 | 件数(件) | 負債額(百万円) |
|---|---|---|
| 農・林・漁・鉱業 | 93 | 34,120 |
| 建設業 | 3,523 | 527,738 |
| 製造業 | 2,095 | 547,555 |
| 卸売業 | 1,743 | 493,670 |
| 小売業 | 1,515 | 201,097 |
| 金融・保険業 | 70 | 1,319,770 |
| 不動産業 | 441 | 586,649 |
| 運輸業 | 482 | 1,669,922 |
| 情報通信業 | 561 | 305,011 |
| サービス業他 | 2,798 | 1,475,241 |
| 合計 | 13,321 | 7,160,773 |
- ※業種分類のコード(日本標準産業分類に基づく)改訂に伴い、弊社データベースは2009年1月度より新業種分類に移行した。各数値は新業種コードに基づく。

地区別
地区別倒産件数、6年ぶりに9地区すべてで前年比減少
前年比減少率は、中国31.8%減(637→434件)、北陸25.2%減(444→332件)、四国23.8%減(411→313件)、九州23.1%減(1,115→857件)、北海道20.7%減(555→440件)、東北17.2%減(731→605件)、近畿11.4%減(4,186→3,706件)、中部11.3%減(1,706→1,513件)、関東10.0%減(5,695→5,121件)の順。このうち中部・北陸・近畿・中国・九州は、全県で前年比減少となり全国的に倒産減少が目立った。
- 北海道:件数が20年ぶりに500件を下回る。
- 東北:件数が19年ぶりに700件を下回る。県別件数では、宮城のみ前年比増加。
- 関東:全体の件数が、5年ぶりに前年を下回る。県別件数では、栃木のみ前年比増加。
- 中部北陸:全体の件数が、中部は4年ぶりに前年比減少。北陸は5年ぶりに前年を下回る。県別件数では、全県で前年比減少。
- 近畿:全体の件数が、6年ぶりに前年を下回る。県別件数では、全県で前年比減少。
- 中国:全体の件数が20年ぶりに500件を下回る。県別件数では全県で前年比減少。
- 四国:全体の件数が、5年ぶりに前年を下回る。県別件数では、愛媛のみ前年比増加。
- 九州:1973年(850件)以来、37年ぶりに1,000件を割り込む。県別では全県で前年比減少。
| 都道府県 | 件数(件) | 負債額(百万円) |
|---|---|---|
| 北海道 | 440 | 111,809 |
| 東北 | 605 | 154,998 |
| 青森 | 79 | 28,409 |
| 岩手 | 75 | 25,155 |
| 宮城 | 163 | 41,207 |
| 秋田 | 74 | 8,785 |
| 山形 | 95 | 9,767 |
| 福島 | 119 | 41,675 |
| 関東 | 5,121 | 5,210,930 |
| 茨城 | 195 | 112,640 |
| 栃木 | 171 | 51,170 |
| 群馬 | 163 | 44,688 |
| 埼玉 | 573 | 111,207 |
| 千葉 | 406 | 111,683 |
| 東京 | 2,686 | 4,583,972 |
| 神奈川 | 739 | 148,970 |
| 新潟 | 134 | 39,049 |
| 山梨 | 54 | 7,551 |
| 中部 | 1,513 | 318,380 |
| 長野 | 151 | 48,943 |
| 岐阜 | 184 | 43,668 |
| 静岡 | 288 | 69,346 |
| 愛知 | 756 | 125,691 |
| 三重 | 134 | 30,732 |
| 北陸 | 332 | 102,193 |
| 富山 | 101 | 19,703 |
| 石川 | 154 | 63,951 |
| 福井 | 77 | 18,539 |
| 近畿 | 3,706 | 923,776 |
| 滋賀 | 147 | 36,700 |
| 京都 | 478 | 71,942 |
| 大阪 | 2,073 | 629,222 |
| 兵庫 | 730 | 144,999 |
| 奈良 | 130 | 16,229 |
| 和歌山 | 148 | 24,684 |
| 中国 | 434 | 99,376 |
| 鳥取 | 32 | 8,365 |
| 島根 | 46 | 15,326 |
| 岡山 | 110 | 20,609 |
| 広島 | 161 | 36,315 |
| 山口 | 85 | 18,761 |
| 四国 | 313 | 67,343 |
| 徳島 | 56 | 9,582 |
| 香川 | 75 | 20,541 |
| 愛媛 | 132 | 29,977 |
| 高知 | 50 | 7,243 |
| 九州 | 857 | 171,968 |
| 福岡 | 375 | 75,681 |
| 佐賀 | 47 | 8,363 |
| 長崎 | 72 | 5,195 |
| 熊本 | 114 | 29,324 |
| 大分 | 71 | 9,312 |
| 宮崎 | 65 | 15,238 |
| 鹿児島 | 64 | 17,807 |
| 沖縄 | 49 | 11,048 |
| 合計 | 13,321 | 7,160,773 |
- ※地区の範囲は以下に定義している。
関東(茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、山梨)
中部(長野、岐阜、静岡、愛知、三重)
北陸(富山、石川、福井)
近畿(滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山)
- 原因別:販売不振を中心とする「不況型」倒産構成比が過去最高の82.9%
- 形態別:法的倒産件数の構成比が過去最高の78.5%
- 従業員数別:5人未満の構成比が平成最高の66.0%
- 資本金1千万円未満(個人企業他を含む)の構成比が14年ぶりに50%を上回る
- 上場企業倒産:前年比10件減の10件ながら、3年連続の2ケタ推移
- 中小企業倒産(中小企業基本法に基づく)は、前年比13.9%減の1万3,246件
当年の主な倒産
- (株)日本航空インターナショナル/東京都/旅客運送事業、貨物事業/1兆5,279億1,900万円/会社更生法
- 日本振興銀行(株)/東京都/銀行業/6,805億6,300万円/民事再生法
- (株)日本航空/東京都/持株会社/6,715億7,800万円/会社更生法
- (株)武富士/東京都/消費者金融業/4,336億800万円/会社更生法
- (株)ウィルコム/東京都/PHSデータ通信業/2,060億円/会社更生法
禁・転載・複写