全国企業倒産状況
2011年(平成23年)5月度 全国企業倒産状況
| 倒産件数 | 1,071件 |
|---|---|
| 負債総額 | 2,526億7,400万円 |
| 前月比(件数) | -0.4%(前月 1,076件) |
| 前月比(負債) | -9.6%(前月 2,795億6,700万円) |
| 前年同月比(件数) | +4.8%(前年同月 1,021件) |
| 前年同月比(負債) | -23.7%(前月 3,312億7,500万円) |
(負債総額1,000万円以上の倒産を集計、%は小数点2位以下切捨)
倒産件数が1年10カ月ぶりに前年同月を上回る 5月「震災関連」倒産は64件発生
2011(平成23)年5月度の全国企業倒産件数(負債額1,000万円以上)は1,071件、負債総額が2,526億7,400万円となった。
倒産件数は、前年同月比4.8%増となり、2009年7月以来1年10カ月(22カ月)ぶりに前年同月を上回った。これまでリーマン・ショック後の世界同時不況に対処するため講じられた「景気対応緊急保証制度」(今年3月で取扱終了) や「中小企業金融円滑化法」などで企業倒産は抑制されてきたが、連続減少期間は21カ月連続(過去4番目)でストップした。
倒産件数が増加に転じた背景には、「東日本大震災」関連の倒産が5月に64件発生するなど、震災が大きく影響している。震災関連の経営破綻は156件(6月7日現在)にのぼり、「阪神・淡路大震災」が発生した1995年の1年間の震災関連倒産144件を上回っている。
経営破綻を「倒産」と「実質破綻」に二分すると、「倒産」は5月末までに97件(3月8件、4月25件、5月64件)発生し、6月もすでに7件発生している。また「弁護士一任」や「破産準備中」など現時点で倒産として集計できない「実質破綻」は52件で、今後の推移が注目される。
負債総額は、同23.7%減(786億100万円減)で、5月度としてはこの20年間で最少金額だった。

産業別
産業別倒産件数 10産業のうち5産業で前年同月を上回る
増加率は、金融・保険業40.0%増(5→7件)、サービス業他36.5%増(197→269件)、農・林・漁・鉱業25.0%増(8→10件)、情報通信業19.4%増(36→43件)、建設業7.6%増(273→294件)の順。
これに対し、減少は小売業28.4%減(130→93件)、不動産業23.2%減(43→33件)、運輸業2.4%減(41→40件)、卸売業2.2%減(132→129件)、製造業1.9%減(156→153件)の5産業だった。
| 産業別分類 | 件数(件) | 負債額(百万円) |
|---|---|---|
| 農・林・漁・鉱業 | 10 | 5,961 |
| 建設業 | 294 | 35,652 |
| 製造業 | 153 | 30,054 |
| 卸売業 | 129 | 31,434 |
| 小売業 | 93 | 12,910 |
| 金融・保険業 | 7 | 16,453 |
| 不動産業 | 33 | 61,542 |
| 運輸業 | 40 | 5,139 |
| 情報通信業 | 43 | 2,820 |
| サービス業他 | 269 | 50,709 |
| 合計 | 1,071 | 252,674 |
※業種分類のコード(日本標準産業分類に基づく)改訂に伴い、弊社データベースは2009年1月度より新業種分類に移行した。各数値は新業種コードに基づく。

地区別
地区別倒産件数 9地区のうちで6地区で前年同月を上回る
増加率では、九州52.8%増(53→81件)、北陸39.1%増(23→32件)、中国21.6%増(37→45件)、中部21.4%増(121→147件)、北海道5.7%増(35→37件)、近畿2.9%増(271→279件)の順。
これに対して減少は、四国42.4%減(33→19件)、東北8.5%減(47→43件)、関東3.2%減(401→388件)の3地区だった。震災の直接被災地である東北は5カ月連続の減少となった。
・北海道:件数が5カ月連続前年同月を上回る
・東北:全体の件数が、5カ月連続前年同月を下回る。県別件数では、宮城、秋田、福島で前年同月比増加。
・関東:全体の件数が、5カ月連続前年同月を下回る。県別件数では、茨城、群馬、埼玉、神奈川、山梨で前年同月比増加。
・中部北陸:全体の件数が、中部は3カ月連続、北陸が2カ月連続で前年同月を上回る。県別件数では、三重を除き前年同月比増加
・近畿:全体の件数が、5カ月ぶりに前年同月を上回る。県別件数では、滋賀、大阪、奈良、和歌山で前年同月比増加
・中国:全体の件数が、今年2番目の多い件数。県別件数では、鳥取、岡山で前年同月比増加。
・四国:全体の件数が、2カ月連続前年同月を下回る。県別件数では、香川のみ前年同月比増加。
・九州:全体の件数が、8カ月ぶりに前年同月を上回る、県別件数では、大分、宮崎を除き前年同月比増加
| 都道府県 | 件数(件) | 負債額(百万円) |
|---|---|---|
| 北海道 | 37 | 12,805 |
| 東北 | 43 | 7,514 |
| 青森 | 3 | 330 |
| 岩手 | 4 | 386 |
| 宮城 | 10 | 2,744 |
| 秋田 | 9 | 1,103 |
| 山形 | 4 | 360 |
| 福島 | 13 | 2,591 |
| 関東 | 388 | 76,427 |
| 茨城 | 21 | 9,220 |
| 栃木 | 7 | 1,149 |
| 群馬 | 16 | 2,430 |
| 埼玉 | 51 | 6,868 |
| 千葉 | 31 | 3,941 |
| 東京 | 201 | 43,317 |
| 神奈川 | 49 | 7,830 |
| 新潟 | 7 | 881 |
| 山梨 | 5 | 791 |
| 中部 | 147 | 38,436 |
| 長野 | 18 | 7,762 |
| 岐阜 | 20 | 3,772 |
| 静岡 | 23 | 5,422 |
| 愛知 | 80 | 20,945 |
| 三重 | 6 | 535 |
| 北陸 | 32 | 9,462 |
| 富山 | 11 | 1,141 |
| 石川 | 13 | 6,868 |
| 福井 | 8 | 1,453 |
| 都道府県 | 件数(件) | 負債額(百万円) |
|---|---|---|
| 近畿 | 279 | 26,145 |
| 滋賀 | 10 | 496 |
| 京都 | 34 | 2,084 |
| 大阪 | 165 | 16,362 |
| 兵庫 | 45 | 6,291 |
| 奈良 | 9 | 611 |
| 和歌山 | 16 | 301 |
| 中国 | 45 | 55,978 |
| 鳥取 | 3 | 4,360 |
| 島根 | 3 | 332 |
| 岡山 | 16 | 49,532 |
| 広島 | 19 | 1,079 |
| 山口 | 4 | 675 |
| 四国 | 19 | 3,839 |
| 徳島 | 1 | 40 |
| 香川 | 9 | 821 |
| 愛媛 | 8 | 2,698 |
| 高知 | 1 | 280 |
| 九州 | 81 | 22,068 |
| 福岡 | 30 | 8,648 |
| 佐賀 | 7 | 2,228 |
| 長崎 | 7 | 3,499 |
| 熊本 | 5 | 1,563 |
| 大分 | 6 | 611 |
| 宮崎 | 5 | 2,554 |
| 鹿児島 | 8 | 1,705 |
| 沖縄 | 13 | 1,260 |
| 合計 | 1,071 | 252,674 |
※地区の範囲は以下に定義している。
関東(茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、山梨)
中部(長野、岐阜、静岡、愛知、三重)
北陸(富山、石川、福井)
近畿(滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山)
◎産業別件数:建設業が2年3カ月ぶりに前年同月を上回る
◎都道府県別件数:29道府県で前年同月を上回り、8カ月ぶりに「増加」が「減少」を上回った。
◎原因別:「不況型」倒産が前年同月比4.0%増
◎従業員被害者数:前年同月比0.3%増の7,054人、8カ月ぶりに前年同月を上回る
◎業種別件数:宿泊業(8→29件)、広告関連業(8→18件)、飲食業(60→68件)などサービス業での増加が目立つ
◎上場企業の倒産:ジャスダック上場で不動産業の(株)セイクレストが破産を申し立て、4カ月ぶりに発生
◎中小企業倒産(中小企業基本法に基づく)は、前年同月比5.2%増の1,069件
当月の主な倒産
太陽殖産(株)/岡山県/不動産業他/負債417億円/会社更生法
特定目的会社芦屋シニアレジデンス/愛知県/不動産運用/負債99億4,400万円/破産
岩見沢都市開発(株)/北海道/不動産賃貸/負債65億円/特別清算
長野工業(株)/長野県/建設機械製造/負債58億円/民事再生法
御堂筋共同ビル開発特定目的会社/東京都/フィットネスクラブ運営、医療サービス/負債50億円/破産
禁・転載・複写