全国企業倒産状況

2009年度(平成21年度)上半期(4-9月) 全国企業倒産状況

倒産件数 7,736件
負債総額 2兆5,029億3,400万円
前年同期比(件数) -1.6% (前年同期 7,863件)
前年同期比(負債) -71.0%(前年同期 8,656,089百万円)

(負債総額1,000万円以上の倒産を集計、%は小数点2位以下切捨)

倒産件数が前年同期比1.6%減の7,736件、年度上半期では4年ぶりに前年を下回る

 2009年度上半期(4月~9月)の全国企業倒産件数(負債額1,000万円以上)は7,736件、負債総額は2兆5,029億3,400万円となった。

 倒産件数は、前年同期比127件減、1.6%減。年度上半期としては4年ぶりに前年を下回り、水準としては年度上半期戦後19番目となった。

産業別件数では、建設業(前年同期比11.6%減)が年度上半期としては4年ぶりに減少に転じた一方で、製造業(同13.0%増)の増勢ぶりが目を引いた

 負債総額は負債総額は、前年同期比6兆1,531億5,500万円減、71.0%減となった。年度上半期としては3年ぶりに前年を下回り、戦後20番目の規模。

この大幅減は、前年同期が、歴代2番目の大型倒産であるリーマン・ブラザーズ証券(株)と関連3社の倒産(4社負債合計4兆6,957億円)により、年度上半期では戦後2番目の負債規模に膨らみ、その反動が大きく表われたことによる。

産業別

倒産件数、10産業のうち7産業で前年同期比減少

 減少率は、農・林・漁・鉱業21.4%減(42→33件)、建設業11.6%減(2,353→2,079件)、小売業6.5%減(890→832件) 、金融・保険業6.3%減(47→44件)、卸売業4.3%減(1,091→1,044件)、運輸業1.9%減(302→296件)、不動産業1.3%減(297→293件)の順

これに対して増加は、製造業13.0%増(1,140→1,289件)、サービス業他7.4%増(1,424→1,530件) 、情報通信業6.8%増(277→296件)の3産業だった

産業別分類 件数(件) 負債額(百万円)
農・林・漁・鉱業 33 11,812
建設業 2,079 419,706
製造業 1,289 500,453
卸売業 1,044 278,801
小売業 832 96,303
金融・保険業 44 69,769
不動産業 293 460,245
運輸業 296 100,428
情報通信業 296 56,773
サービス業他 1,530 508,644
合計 7,736 2,502,934

※業種分類のコード(日本標準産業分類に基づく)改訂に伴い、弊社データベースは2009年1月度より新業種分類に移行した。各数値は新業種コードに基づく。

地区別

倒産件数、9地区のうち5地区で前年同期比減少

 減少率は北海道29.9%減(377→264件)、東北22.9%減(475→366件)、中国21.9%減(388→303件) 、九州25.9%減(760→563件)、 四国17.4%減(224→185件)の順。

これに対して増加は、近畿13.6%増(1,904→2,164件)、北陸4.4%増(201→210件)、 関東4.3%増(2,776→2,898件)、中部3.2%増(758→783件)の4地区だった。

また都道府県別倒産件数では、前年同期を上回ったのが17都府県、減少が30道県となった。

  • 北海道:件数が前年同期比29.9%減、負債は同1.8%減。
  • 東北:件数が前年同期比22.9%減、負債は同49.0%減。県別件数では、全県で前年同期比減少。
  • 関東:件数が前年同期比4.3%増、これに対して負債は同81.3%減の大幅減。県別件数では、茨城、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川で前年同期比増加。
  • 中部北陸:中部の件数は前年同期比3.2%増、北陸は件数が同4.4%増。県別件数では、長野、愛知、三重、富山、石川で前年同期比増加。
  • 近畿:件数が前年同期比13.6%増。これに対して負債は同26.7%減。県別件数では、奈良を除き前年同期比増加。
  • 中国:件数が前年同期比21.9%減、負債が同72.9%減。県別件数では、全県で前年同期比減少。
  • 四国:件数が前年同期比17.4%減、負債が同22.5%減。県別件数では、香川のみ前年同期比増加。
  • 九州:件数が前年同期比25.9%減、負債が同59.0%減。県別件数では、全県で前年同期比減少。
都道府県 件数(件) 負債額(百万円)
北海道 264 112,372
東北 336 92,705
青森 59 11,606
岩手 60 34,191
宮城 70 17,301
秋田 52 4,361
山形 51 8,109
福島 74 17,137
関東 2,898 1,234,563
茨城 118 62,579
栃木 71 25,106
群馬 94 62,818
埼玉 337 85,394
千葉 250 75,001
東京 1,502 786,312
神奈川 423 98,965
新潟 67 13,643
山梨 36 24,745
中部 783 276,044
長野 94 49,648
岐阜 100 20,883
静岡 131 53,466
愛知 383 136,061
三重 75 15,986
北陸 210 62,929
富山 80 29,936
石川 77 17,989
福井 53 15,004
近畿 2,164 400,283
滋賀 118 12,941
京都 272 25,097
大阪 1,219 247,558
兵庫 367 93,568
奈良 89 14,177
和歌山 99 6,942
中国 303 106,943
鳥取 27 3,723
島根 32 4,042
岡山 72 41,321
広島 122 46,637
山口 50 11,220
四国 185 55,710
徳島 24 5,513
香川 63 36,634
愛媛 60 7,858
高知 38 5,705
九州 563 161,385
福岡 248 77,274
佐賀 30 7,020
長崎 61 17,094
熊本 57 14,924
大分 48 8,231
宮崎 44 5,861
鹿児島 37 19,975
沖縄 38 11,006
合計 7,736 2,502,934

※地区の範囲は以下に定義している。関東(茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、山梨)中部(長野、岐阜、静岡、愛知、三重)北陸(富山、石川、福井)近畿(滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山)

  • 形態別:破産が年度上半期過去最多の5,116件
  • 原因別:販売不振が前年同期比4.5%増の5,374件、年度上半期では2年連続5,000件を上回る
  • 従業員被害者数が前年同期比18.7%減の6万3,038人、産業別では製造業が同22.9%増の1万7,802人
  • 資本金別:1千万円未満が前年同期比5.4%増
  • 負債額別:100億円以上の大型倒産が前年同期比38.3%減の37件(前年同期60件)
  • 従業員数別:5人未満の件数が年度上半期では最近7年間で最多
  • 上場企業倒産が前年同期比12件減の5件
  • 中小企業倒産(中小企業基本法に基づく)は、前年同期比1.3%減の7,693件

当期の主な倒産

  • (株)ジョイント・コーポレーション/東京都/不動産分譲、流動化事業/147,600百万円/会社更生法
  • (株)中央コーポレーション/愛知県/不動産開発、賃貸、繊維事業ほか/34,000百万円/民事再生法
  • (有)折口総研/東京都/資産管理、経営コンサルタント/30,200百万円/破産
  • 小木津産業(株)/茨城県/ゴルフ場経営/23,800百万円/特別清算
  • 白沢高原開発(株)/群馬県/ゴルフ場経営/23,419百万円/民事再生法

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