こうして倒産した

2022年(令和4年)1月度こうして倒産した・・・
タストン・リサイクル(株)
  • 東京
  • 建材、砂利製造販売
負債総額
51億1786万円
 

 タストン・リサイクル(株)(TSR企業コード:290620694 法人番号:6010901007236、世田谷区経堂4-17-20、設立1968(昭和43)年12月、資本金7000万円、立石巌社長)は1月24日、東京地裁より破産開始決定を受けた。負債総額は51億1786万円。
 立石建設(株)(TSR企業コード:290199727、法人番号:7010901007235、同所、建設事業)の建材部が独立するかたちで設立され、砂利、石、砕石の採取販売を手掛けていた。立石建設を中心とする立石建設グループは、当社やタストン・エアポート(株)(TSR企業コード:942045602、法人番号:6010901027936、世田谷区)などで形成され、タストン・エアポートは、在日米軍施設候補地となった鹿児島県西之表市の「馬毛島」を所有し、開発を手掛けていたことでも知られている。
 当社は京浜島工場(大田区)や葛西工場(江戸川区)などの生産拠点を有し、グループ向けに建材や砂利を供給し、2021年8月期は売上高8億4803万円をあげていた。しかし、従来より工場への設備投資に対する資金負担のほか、グループ会社からの借入金などで過剰債務に陥っていたうえ、近年は赤字を散発し業績が低迷していた。一方で、2018年にはタストン・エアポートが債権者から破産を申し立てられる事態が発生。その後、申し立ては取り下げられたものの、一連の騒動で信用がさらに低下していた。
 2019年末にはタストン・エアポートが保有する「馬毛島」を在日米軍施設候補地として160億円で防衛省へ売却。このうち、半額程度は同社へ入金されたものの、立石建設側の親族間のトラブルもあり、動向が注目されるなか今回の措置となった。

(株)まつえ環境の森
  • 島根
  • 産業廃棄物処理業
負債総額
45億円
 

 (株)まつえ環境の森(TSR企業コード:762070897、法人番号:3280001006148、松江市学園南2-5-13、設立2012(平成24)年1月、資本金7000万円、秋山光夫社長)は1月28日、大阪地裁へ民事再生法の適用を申請し同日、監督命令を受けた。申請代理人は上田裕康弁護士(弁護士法人アンダーソン・毛利・友常法律事務所、東京都千代田区大手町1-1-1、電話03-6864-3030)ほか5名。監督委員には待場豊弁護士(アイマン総合法律事務所、大阪市中央区備後町2-4-6、電話06-6201-0500)が選任された。負債総額は45億円。
 経営破たんした企業が保有していた産業廃棄物処理施設を買収し、2013年9月に営業を開始した。埋め立て容量40万立方メートルの規模でスタートし、その後の拡張で2014年6月には82万立方メートルにまで拡大。県外からも広く廃棄物を受け入れ、2015年7月期には約15億3600万円の売上高を計上していた。
 しかし、設備投資負担などにより採算性に乏しく、余裕のない資金繰りが続いていた。こうしたなか、処分場の処理能力が限界に達したため、新たな処分場の整備を進め2020年11月に拡張工事が完了したものの、設備投資に伴う借入負担が大きく借入返済が困難な状況に陥り、先行き資金繰り改善のめどが立たないことから、今回の措置となった。

(株)トラベルレンタカー
  • 沖縄
  • レンタカー業ほか
負債総額
23億3700万円
 

 (株)トラベルレンタカー(TSR企業コード:952108658、法人番号:2360001006306、豊見城市字瀬長3-2、設立1995(平成7)年7月、資本金1000万円、大竹幸博社長)は1月11日、東京地裁へ民事再生法の適用を申請し同日、監督命令を受けた。申請代理人は鈴木規央弁護士ほか5名(渥美坂井法律事務所・外国法共同事業、東京都千代田区内幸町2-2-2、電話03-5501-1096)。監督委員には内藤滋弁護士(内藤滋法律事務所、東京都中央区築地2-3-4、電話03-6228-4375)が選任された。負債総額は23億3700万円。
 沖縄県の那覇空港と宮古島空港、新石垣空港などに営業拠点を設け、観光客を対象にレンタカー事業を展開していた。2017年には観光客の乗降も多い北海道・新千歳空港にも営業拠点を設置。順調に利用数を伸ばし、2019年7月期には売上高31億3138万円をあげていた。
 しかし、2020年以降の「新型コロナウイルス」感染拡大に伴う観光客の減少により、2020年9月期(決算期変更)には売上高が約20億円まで落ち込んだ。その後はGo To トラベルキャンペーンにより一時的に利用客が回復したものの、再度の緊急事態宣言で資金繰りが悪化。私的整理手続きによる事業再生を図ったが頓挫し、今回の措置となった。

富士管材(株)
  • 山梨
  • 管材機器・住宅設備機器卸
負債総額
20億円
 

 富士管材(株)(TSR企業コード:340009934、法人番号:1090001009997、富士吉田市中曽根2-4-70、設立1964(昭和39)年9月、資本金1000万円、山本修次社長)は1月7日、甲府地裁都留支部より破産開始決定を受けた。破産管財人には岡村光男弁護士(岡村法律事務所、同市緑ヶ丘2-4-27、電話0555-25-6622)が選任された。負債総額は20億円。
 一族が経営していた(株)芝弘(TSR企業コード:340010274、富士吉田市、空調・配管設備工事)の管材仕入部門を独立させる形で設立。1992年2月期にはピークとなる売上高14億7768万円を計上し、県内の管材卸会社としては上位に位置していた。
 しかし、建設業界の不況により業績は低迷を続け2003年2月期は売上高が7億1714万円まで減少した。さらには2003年6月、地元の設備工事会社や芝弘が経営破たん。伴って当社も2003年7月、民事再生法の適用を申請した。
 その後は規模を縮小して事業を継続し、約6000万円の年間売上高で推移していたが2012年2月、再生債権の弁済延滞から本社不動産を差し押さえられ、営業が困難な状態となり、同年中には事業を停止していた。

(株)大番
  • 愛知
  • パチンコ店経営
負債総額
18億8000万円
 

 (株)大番(TSR企業コード:510063527、法人番号:7180301005277、豊川市千歳通3-27-1、設立1971(昭和46)年2月、資本金1000万円、金本武相社長)は1月18日、名古屋地裁豊橋支部より破産開始決定を受けた。破産管財人には伊藤隆穂弁護士(伊藤隆穂法律事務所、豊橋市前田南町1-1-1、電話0532-57-3552)が選任された。負債総額は18億8000万円。
 1969年にパチンコ店「大番」として創業。業歴を重ねるなかで事業を拡張し、パチンコ店のほかゲームセンターや飲食店等、15店舗の運営を手掛けていた時期もあり、ピーク時の2006年5月期には90億円台後半の売上高をあげていた。
 しかし、業界の競争激化や娯楽の多様化による事業の不採算化から撤退・集約を進めた結果、年間売上高は10億円台にまで縮小。近年はパチンコ店「ゴールドラッシュ」と「ゴールドアイ」の2店舗の運営にとどまっていた。
 低迷が続くなか、「新型コロナウイルス」の影響を受け業績改善の見通しが立たないことから2021年1月16日、事業を停止し今回の措置となった。

戦後歴代の大型倒産

日本の戦後歴代の大型倒産を
負債額順にまとめた記事はこちら

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

ラーメン店と好対照、中華料理店の倒産が低水準の謎

ラーメン店の倒産が過去最多ペースを辿るなか、中華料理店は対照的な動きをみせている。2024年1-8月の倒産はラーメン店が44件、中華料理店は7件と好対照だった。なぜ中華料理店の倒産は少ないのか。

2

  • TSRデータインサイト

全国の三セク鉄道 売上高トップは 「つくばエクスプレス」 三セク鉄道の約9割が輸送人員増も、6割が経常赤字

全国の第三セクター鉄道運営会社は、コロナ禍を経て9割が売上を伸ばした一方で6割が経常赤字から抜け出せず、地域によって明暗を大きく分けたことがわかった。 61社の2023年度の業績は、55社(構成比90.1%)が前年度から増収だった。ただ、経常赤字は37社で6割(同60.6%)と半数を超えた。

3

  • TSRデータインサイト

三井住友銀行をメインとする企業が10万社突破、東京・大阪・兵庫で強く

三井住友銀行をメインバンクする企業数が初めて10万社(10万442社)を超えた(8月21日号掲載、2024年全国メインバンク調査)。調査対象158万5,849社の6.3%がメインバンクに三井住友銀を選んでいる。

4

  • TSRデータインサイト

「想定為替レート」 平均は1ドル=143.5円 3期連続で最安値を更新

株式上場する主要メーカー109社の2024年度決算(2025年3月期)の期首の対ドル想定為替レートは、1ドル=145円が54社(構成比49.5%)と約半数にのぼることがわかった。 平均値は1ドル=143.5円で、前期から14.5円の円安設定だった。期首レートでは2023年3月期決算から3期連続で最安値を更新した。

5

  • TSRデータインサイト

企業が選ぶ次の自民党総裁は高市早苗氏 立憲民主党は野田佳彦氏

野党第一党の立憲民主党の代表選は9月7日に告示され、4人が立候補し、23日に開票される。また、与党第一党の自民党総裁選は9月12日に告示され、過去最多の9人が立候補し、27日に開票される。 世代交代も注目されるなか、企業に景気や自社ビジネスの発展に寄与すると思う候補者を聞いた。

TOPへ