収集した情報の整理・評価

収集した情報項目を評価してゆくにあたり、その属性をきちんと見極めておく必要があります。データに一貫性を持たせ、時間が経過してもその評価価値が変動しないようにするためです。(1)定性データと定量データを分ける(2)絶対評価と相対評価を知る(3)経営評価の目的を策定する(4)取引先数に応じた与信方法を決める、と具体的に落とし込む方法を例として挙げたいと思います。

評価の具体例

(1)定性データと定量データ

■定量データ

定量データ(定量情報)とは、数値で表されたデータのことであり、決算書上の情報や評点、リスクスコアなどがあてはまります。企業が公表している数値の多くが、定量データにあたり、数値自体が直接、企業の状態を表します。

■定性データ

定性データとは数値では表せない情報のことであり、概況や事業見通し、経営者の人物像、資金繰り見通しなどがあてはまります。定性データはそのままでは、比較や分析が難しいため、一定のルールを以って数値に置き換えることで、定量データと同様の扱いができます。

定量データと定性データの2つのデータを組み合わせることで、正確な評価を行うことができます。

(2)絶対評価と相対評価

評価方法には絶対評価と相対評価の2種類があります。
絶対評価は地域や業種・規模・年代に左右されない1つの基準によって評価するもので、地域差・業種差・規模による差・年代による変化が評価できる長所を持ちます。
相対評価は集合内における優劣・順位付けを目的とした評価方法であり、そのランキングには説得力があります。しかし、違う集合とは比較できないという難点があります。

(3)経営評価の目的

経営評価はさまざまな業種の企業で数多く実施されています。使用するデータ・評価方法・手段には共通性が多々あります。しかし評価の目的はそれぞれ異なることから評価対象項目・採点基準・評価基準はそれぞれ異なっています。例えば、格付け会社は債権の償還力を評価し、金融機関は融資の可否・返済能力を評価しています。一般企業は取引の可否・支払い能力を判断するために評価し、信用調査会社はさまざまな利用目的を持つユーザーに対応して経営内容の全般を評価・格付けしています。

(4)自動与信評価と手動与信評価

自動与信評価とはコンピューターを駆使して大量のデータを一括して分析・評価するもので、定量データや概略の情報による一次評価に適しており、小口取引先の与信管理向きの手法と云えます。
手動与信評価は詳細データを使用しての手作業・人的判断による手法で、大口・重要取引先の評価や2次・最終判断での利用に適しています。
評価結果は1つの点数や格付けでどちらも同じに見えますが、作成工程は全く異なるため評価対象と目的によって使い分ける必要があります。

Point

年度毎の優良取引先をベースとして、他社の評価項目を決めるなど、業種や状況によって重きを置くポイントは違います。しかしベンチマークするものがなければ作れないというわけではなく、まずは独自の裁量で各入手項目に配点をし、継続的に見直していくことが必要です。

「最新記事」一覧を見る

TSR-PLUSカテゴリー別最新記事

リーダーズ・インタビュー
>>>一覧へ
企業をけん引するリーダーが持つ豊富な経験や、企業の展望などに深く切り込んでインタビューした記事です。リーダー達の「生の声」をご紹介し、ビジネスのプラスになるヒントをお届けします。
東北経済産業局・佐竹佳典局長インタビュー ~半導体産業が起爆剤 雇用とにぎわい創出へ~ 2024/12/18
失敗しない与信管理
>>>一覧へ
適切な与信管理体制を構築していただけるよう、与信管理について正しい知識と企業情報の入手先などを紹介します。
与信管理入門編 ~ゼロから始める与信管理~
与信管理とは?企業間取引の判断において欠かせない与信管理の目的や方法をわかりやすく説明いたします。
by TSR-PLUS編集部
海外取引のノウハウ
>>>一覧へ
慎重な判断が求められる海外取引における与信管理やマーケティングのノウハウをご紹介いたします。
海外取引におけるTSRのソリューション事例のご紹介
TSRがご提供しているサービスをご活用いただくことで海外取引の成果向上や効率化を実現した事例をご紹介いたします
by TSR-PLUS編集部
企業データの有効活用
>>>一覧へ
営業・マーケティングにおけるTSRの企業データを活用したソリューションをご紹介します。
TSRデータベース指標 ~自由に条件を設定し、経済全体の状況や推移を迅速に把握できる統計ツール~
企業調査を通じてTSRが日々収集・蓄積している企業情報および決算情報のデータベースを活用し、企業単位の活動を捉え、我が国の経済全体の状況や推移を迅速に把握できる、日本で唯一の統計ツールです。
コンプライアンスチェック
>>>一覧へ
取引先に犯罪行為や倫理的リスクなどが無いか、非財務面から取引リスクを見極める「コンプライアンスチェック」をご紹介します。
新たな企業評価軸として注目されるESG
アンチ・マネー・ローンダリング(AML)とテロ資金供与対策(CFT)は、各企業において更なる対策が求められています。本ページでは、日本におけるAML/CFTの歴史と今後について触れていきたいと思います。
by TSR-PLUS編集部
用語辞典
>>>一覧へ
与信管理に欠かせない用語を中心に基礎的なビジネス用語から専門用語まで、 幅広く収録した用語辞典です。営業活動の知恵袋としてお役立てください。
与信管理
「与信」とは、取引先に信用を供与すること。取引先の財政状態、営業内容、取引実績などを総合的に判断して与信限度額(取引額)を設けること。
TOPへ