(株)BALM(TSR企業コード:750059338、法人番号:9250001011590、港区赤坂2-14-11、設立1978(昭和53)年5月、資本金1億円)は12月2日、東京地裁に民事再生法の適用を申請し同日、監督命令を受けた。
申請代理人は柴原多弁護士(西村あさひ法律事務所・外国法共同事業、千代田区大手町1-1-2)ほか。
負債総額は債権者163名に対して831億円。
1976年1月に山口県岩国市で創業し、自動車修理工場から中古車販売も開始し、積極的な出店やM&Aなどにより事業は急拡大。BIGMOTOR(ビッグモーター)の店名で、中古車販売を主軸に、買取や車検、修理、板金塗装、損害保険など幅広く扱い、2002年3月期には売上高100億円を突破していた。以降も出店など投資を加速させ、2015年9月期(決算期変更)に売上高1000億円を超え、2021年9月期には売上高4567億8200万円、123億7400万円の最終利益をあげていた。
しかし、2018年頃には幹部による売上の前倒しや架空計上など不適切な会計処理が発覚。さらに2020年8月以降、一部工場従業員などによる修理の過大な見積りや不必要な修理を行うなど不正が行われ、損害保険会社が問題化していた。その後、特別調査委員会による調査で、ヘッドライトのカバーを割るなど不適切な行為が多数見つかった。また、店舗周辺の街路樹や植え込みが除草剤などの影響で枯れた可能性が高いなどコンプライアンス意識の欠如などが露呈し、信用が失墜した。
こうしたなか、2024年3月に伊藤忠商事(株)(TSR企業コード:570013178、法人番号:7120001077358、東京都港区)がスポンサーとなって再建に着手。同年5月1日に中古車販売などの全事業を(株)WECARS(TSR企業コード:861037553、法人番号:7011101105985、千代田区)へ吸収分割方式で譲渡すると同時に、(株)ビックモーターから現商号へ変更した。
当社は保険不正請求問題などに伴う補償対応にあたっていたが、未確定の潜在債務を確定させる目的で今回の措置となった。
(医)社団美実会(TSR企業コード:298381052、法人番号:8013305001638、港区虎ノ門4-3-9、登記上:さいたま市大宮区大門町2-1-1、設立2010(平成22)年9月)と、関連の一般社団法人八桜会(TSR企業コード:381171477、法人番号:8010405020064、同所、登記上:豊島区南池袋1-21-5、設立2021(令和3)年7月)は12月10日、東京地裁より破産開始決定を受けた。
破産管財人には志甫治宣弁護士が選任された。
負債は、美実会が債権者5万7498名に対して72億9546万円、八桜会が債権者3万4320名に対して51億7587万円で、2社合計の負債権者9万1818名に対して124億7133万円。
美実会は、医療脱毛クリニック「アリシアクリニック」を経営していた。積極的な出店で、全国に約40店舗を展開していた。有名女優を起用した広告で知名度を高め、2021年4月期には売上高163億1540万円をあげていた。しかし、コロナ禍の影響や、同業との競争激化などから利用客の確保に苦戦し、2023年4月期は売上高134億7380万円にとどまり、同期は多大な広告宣伝費がかさみ、7539万円の最終赤字を計上していた。
八桜会は脱毛クリニック「じぶんクリニック」を経営し、約20店舗を展開していた。2024年7月1日には経営していた店舗名を「アリシアクリニック」に変更。しかし、アフィリエイト経由での送客が2社ともに伸び悩み、経営が悪化し、今回の措置となった。
(株)ADI.G(TSR企業コード:580000281、法人番号:7220001000739、金沢市浅野本町1-10-10、設立1974(昭和49)年8月、資本金4000万円)は12月16日、東京地裁に民事再生法の適用を申請し同日、監督命令を受けた。
申請代理人は稲生隆浩弁護士(森・濱田松本法律事務所、東京都千代田区丸の内2-6-1)。
負債総額は65億500万円。
歯科医院向け医療器具などの専門商社。金沢市の本社ほか横浜市にも本社機構を構え、1997年5月期には売上高約54億8000万円をあげた。2015年1月に、(株)浅野歯科産業から現商号へ変更。予約システムの販売にも注力したほか、業務提携や代理店契約の締結により業績を拡大させ、2019年5月期は売上高65億484万円を計上したと公表していた。
その後は、「新型コロナウイルス」感染拡大の影響から販売が伸び悩んだが、一定の黒字維持と公表していた。こうしたなか、2024年11月末に、長年の不適切会計を金融機関に開示。コンプライアンスを強化による信頼回復を目指したが、一部金融機関の同意を得られず、自力での再建を断念した。
西宝土地開発(株)(TSR企業コード:570072174、法人番号:4120001064053、大阪市北区西天満2-7-19、設立1960(昭和35)年10月、資本金1億円)は12月3日、大阪地裁より破産開始決定を受けた。
破産管財人には宮崎慎吾弁護士(中本総合法律事務所、大阪市北区西天満5-9-3)が選任された。
負債総額は債権者5名に対して28億7000万円。
宅地造成分譲や分譲マンションの販売を手掛け、ピークの1992年7月期には売上高約74億5500万円、最終利益5992万円を計上していた。しかし、以降はバブル崩壊後の不動産市況の低迷から業績が悪化。2005年7月には本社不動産を売却して資金需要に対応したが、金融債務がサービサーに譲渡されるなど厳しい経営を露呈した。
近年は休眠状態が続き、2022年12月14日には会社法第472条第1項(みなし解散)の規定により解散。こうしたなか、債務整理のため、今回の措置となった。
(株)かづ美(TSR企業コード:580112217、法人番号:9220001001826、金沢市中屋2-88-1、設立1987(昭和62)年7月、資本金3300万円)は12月20日、金沢地裁に民事再生法の適用を申請し同日、監督命令を受けた。
申請代理人は髙木大地弁護士(弁護士法人関西法律特許事務所、大阪市中央区北浜2-5-23)ほか6名。
負債総額は債権者287名に対し27億405万円。
創業当初は「ブライダルコスチューム・かづ美」の屋号で貸衣装業を展開。法人化後は化粧品事業部を新設するほか、1990年1月には「ドレスモードカヅミ」として、婚礼衣装やパーティードレスなどのレンタル・販売業に注力していた。2000年4月には飲食事業にも進出したほか、2004年4月には「ヴィラ・グランディスウエディング・リゾート金沢店」を開設し、現在の主業務である婚礼および披露宴の企画・演出・運営に本格参入。北陸3県に式場を開設し、トップクラスの業容を誇り、2011年6月期の売上高は約25億5700万円を計上していた。
しかし、近年は少子化に伴い結婚式の需要が減少したほか、同業他社との競合もあり2015年6月期の売上高は17億1326万円に低下し、2018年6月期には債務超過に転落した。「新型コロナウイルス」感染拡大の影響もあり、2021年6月期の売上高は6億8230万円にまで落ち込み、億単位の最終赤字を計上するなど、財務内容が悪化。コロナ関連融資を利用する一方、借入返済のリスケジュールを要請するなど厳しい資金繰りが続いていたところ、自主再建を断念して今回の措置となった。
(株)ベアハグ(TSR企業コード:293209570、法人番号:8010401042888、中央区銀座8-4-23、設立1997(平成9)年6月、資本金7000万円)は12月6日、東京地裁より破産開始決定を受けた。
破産管財人には荻山剛弁護士(功記総合法律事務所、中央区日本橋人形町3-6-7)が選任された。
負債総額は22億円。
「ベアハグ」の屋号で、整体・フットセラピーの運営を手掛けていた。ショッピングセンターなどへ積極的に出店し、リラクゼーションサロンの店舗の業務委託やメガソーラー事業などにも対応。2019年9月期には売上高33億5783万円をあげていた。この間、業容を拡大する一方で、関係会社の代表を務めていた現代表が法人税法違反などで起訴されたとの報道がなされ、コンプライアンス面でも注目されていた。さらに、メガソーラー事業に関わる資金調達や取引先とのトラブルの発生で信用が低下。不採算店舗の閉鎖や営業権の譲渡により事業を縮小していたが、債権者から破産を申し立てられ、今回の措置となった。
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