エクシア合同会社(TSR企業コード:014686724、法人番号:5010003021723、墨田区江東橋2-2-3、設立2015(平成27)年4月、資本金100万円)は7月1日、債権者から東京地裁に破産を申し立てられ10月18日、東京地裁より破産開始決定を受けた。
破産管財人には小田切豪弁護士(三宅・今井・池田法律事務所、新宿区新宿1-8-5)が選任された。
負債総額は850億円。
為替トレーダーとして経験を積んだとされる代表を中心に、事業性融資や個人向け不動産融資、プライベートエクイティ投資事業などを展開。個人投資家などから当社の社員権の出資による資金調達を加速し、累計出資者数1万112人、累計出資総額561億円(いずれも2021年8月1日時点、当社公表)に達した。また、当社が過去に公表した返戻率(払った金額に対する受け取り金額)によると、利回り(年)は、2016年97.4%、2017年43.8%、2018年44.0%、2019年35.3%、2020年38.3%、2021年18.4%で、高い水準を維持していたとされる。
売上高は2017年12月期は1億7617万円だったが、2019年12月期には24億186万円へ急伸。以降も売上高をさらに伸ばしたとみられていた。しかし、2021年秋頃から当社への出資に関する不審感がSNSなどで広がった。さらに2022年春ごろには当社への出資や持分の払戻請求が一時的に相次いだため、出資や持分の払戻制限を行っていると公表するなど経営が混乱し、投資家とのトラブルが表面化していた。
また、証券取引等監視委員会は2022年6月21日、現行制度では合同会社の社員権の取得勧誘は金融商品取引業に該当しないため、投資者保護の観点から合同会社の社員権の取得勧誘について、金融商品取引業法の登録が必要な範囲を拡大するなどの措置が必要と建議され、10月に施行。当社の事業スキームの維持が不透明となっていた。
2022年夏頃にはエクシア被害対策弁護団が立ち上がり、投資家との訴訟も相次ぎ、社会問題化。また、突如、本社移転や代表社員・社名を変更すると公表するなど、経営が混乱していた。
船井電機(株)(TSR企業コード:697425274、法人番号:3122001036719、大東市中垣内7-7-1、設立2023(令和5)年2月、資本金313億1260万7960円)は10月24日、東京地裁より破産開始決定を受けた。
破産管財人には片山英二弁護士(阿部・井窪・片山法律事務所、千代田区丸の内1-9-2)が選任された。
負債総額は469億6400万円。
「FUNAI」ブランドでリーズナブルな価格帯の液晶テレビなどを供給するAV機器メーカー。1951年に船井哲良氏がミシンの部品や完成品の卸問屋として船井ミシン商会を創業。また、同年1月に東南商事(株)(TSR企業コード:570182948、法人番号:2122001015871、大東市)が設立される。1959年、船井ミシン商会はトランジスタラジオの生産を開始。1976年、東南商事が船井ミシン商会を源流とする企業を吸収し、船井電機(株)へ商号変更。1980年代からは映像関連や生活家電の製造にも参入し、1990年代には米ウォルマート社との取引を開始して業容を拡大した。2000年3月には東証1部(当時)に上場した。
特に北米での高いシェアを誇り、「世界のFUNAI」と呼ばれ、2005年3月期には単体売上高3535億9200万円をあげた。しかし、その後は中国・台湾などのメーカーとの競合激化もあって業績は低迷。これに対し、2016年に大手家電量販の(株)ヤマダ電機(現:(株)ヤマダホールディングス、TSR企業コード:270114270、法人番号:4070001011201、群馬県高崎市)への独占供給を柱とする業務提携を締結。その後の直接供給先は(株)ヤマダデンキ(TSR企業コード:134237650、法人番号:2070001036729、群馬県高崎市)となったものの、引き続き主要取引先として供給した。
この間、2017年に創業者の船井哲良氏が死去。事業承継を模索するなかで2021年5月、(株)秀和システムホールディングス(TSR企業コード:136862659、法人番号:2010601058062、江東区)が株式公開買付を実施して、同社の完全子会社となり、2021年8月26日に上場を廃止した。その後、秀和システムホールディングスの親会社である(株)秀和システム(TSR企業コード:292007680、法人番号:1010401013986、江東区)の傘下となり、2023年3月末に当社へ事業を移管し、船井電機は船井電機・ホールディングス(以下、船井電機HD)へ商号変更し、中間持株会社となった。さらに同年4月、船井電機HDは脱毛サロン運営の(株)ミュゼプラチナム(現:(株)MIT、TSR企業コード:300036639、法人番号:3011001092832、大田区)を買収した。
しかし、2024年3月に、本社と東京支店の不動産(いずれも船井電機HD名義)に対して、創業家より100億円を超える根抵当権の仮登記が設定されていることが判明。また5月に役員構成が入れ替わるなかで、当社より明確な説明がなされず、信用不安が高まった。さらに、ミュゼプラチナムはネット広告企業に対する債務約22億円の支払いが滞る事態も発生。債務を連帯保証していた船井電機HDが保有する当社株式に対する株式仮差押が申し立てられ、5月2日に仮差押決定の発令を受けた。
10月3日に経営体制の刷新が発表されたものの、支払遅延が発生するなかで材料仕入なども困難となり、今回の措置となった。
(株)L&A Investment(TSR企業コード:130968196、法人番号:4010401145026、港区愛宕2-5-1、設立2019(平成31)年4月、資本金1000万円)と、関連の合同会社ブリッジ(TSR企業コード:698366824、法人番号:6010703006758、同所、登記上:港区芝4-7-6、設立2023(令和5)年6月、資本金10万円)は6月18日、債権者より破産を申し立てられ10月9日、東京地裁より破産開始決定を受けた。
破産管財人には渋村晴子弁護士(本間合同法律事務所、東京都中央区築地1-12-22)が選任された。
負債は、L&A Investmentが96億3900万円で、合同会社ブリッジが29億500万円で、2社合計125億4400万円。
L&A Investmentは、経営課題や財務問題に対するアドバイザリー支援を手がけていた。また、ファクタリング業務にも注力し、投資家からファクタリング原資への出資を募っていた。
ブリッジは投資家を勧誘し、当社と投資家との間で社員権取得契約を締結することで、報酬の支払いを約束していた。
しかし、2社の合併に伴うトラブルが発覚。投資家への利払いが止まるなか、ファクタリング事業の実態も不透明となったため2024年6月18日、債権者が破産を申し立てていた。
加藤運輸(有)(TSR企業コード:320437477、法人番号:4040002045036、松戸市小金きよしケ丘3-12-13、設立1979(昭和54)年7月、資本金680万円)は元子会社より民事再生法を申し立てられ10月25日、千葉地裁より民事再生開始決定を受けた。
監督委員には山村清治弁護士(みどり総合法律事務所、千葉市中央区中央3-10-4)が選任された。
負債総額は債権者約530名に対して68億円。
食品等の日配品の配送業務を展開。大手企業等から受注を得て業容を拡大するほか、倉庫業、リサイクル事業、貿易等、事業の多角化を進め、2024年3月期は過去最高となる売上高約88億円を計上した。一方で、ここ数年は毎期5億円を超える赤字を計上し、採算性に課題を残していた。
こうしたなか、2012年頃よりスタートした青果事業の収益性が改善せず、2023年10月30日付で当該事業部門および、これに関連する不動産を譲渡し、同事業から撤退を企図したが、事業の譲受人との間で係争が発生。係争が深刻化するなかで「係争相手への牽制等」を目的として2024年3月22日、元子会社が債権者として民事再生の申し立てを行ったが、係争は終局しなかった。その後、私的整理による再生を目指したが、係争に端を発した信用不安や、これに関連する風説の流布等により徐々に業容が悪化。金融機関からの借入債務の期限の利益が喪失し、さらに重要取引先数社から保証金の積み立てを求められ、急速に資金繰りが悪化していた。
北海道バイオマスエネルギー(株)(TSR企業コード:024621250、法人番号:1450001012089、上川郡下川町西町958-1、設立2017(平成29)年5月、資本金4億9900万円)は10月15日、旭川地裁より特別清算開始決定を受けた。
負債総額は39億6200万円。
三井物産(株)(TSR企業コード:291022189、法人番号:1010001008767、東京都千代田区)80%と、北海道電力(株)(TSR企業コード:010074988、法人番号:4430001022351、札幌市中央区)20%の共同出資により設立した木質バイオマス発電事業者。下川町で、小型発電プラント11基、燃料となる木質ペレット製造工場を擁して稼働を開始。2021年7月には石狩郡当別町に発電プラントを設置し、発電した電気は再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)を利用し、全量を北海道電力に売電してきた。
原材料となる原木は下川町や北海道内にある三井物産の社有林から調達してきたが、ウッドショックの影響により原木価格が高騰し、当初見込んでいた価格での仕入が困難となり、2024年3月末に事業を停止。8月20日、株主総会の決議により解散し今回の措置となった。
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