NISグループ(株)(TSR企業コード:820039535、港区南麻布3-19-23、登記上:松山市千舟町5-7-6、設立昭和35年5月、資本金282億8937万5826円、原川城治社長、従業員100名)は、5月9日東京地裁に民事再生法の適用を申請した。監督委員には内田実弁護士(虎ノ門南法律事務所、港区虎ノ門1-16-4、電話03-3502-6294)が選任された。負債総額は512億4200万円。
昭和28年7月、愛媛県松山市で貸金業者として個人創業。同35年に法人化し、商業手形割引を主に手掛けるようになった。その後、同47年には消費者ローン、同56年には商工ローンと取り扱い業務を加え、営業エリアも大阪、東京に拡大していった。平成6年には株式を店頭公開、同11年に東証・大証1部に指定替えとなった(同23年8月、東証2部に指定替え)。
事業者向けローン、消費者向けローン、信用保証などグループ全体で総合金融サービス事業を主体に展開していたが、平成21年3月期に事業内容を中小企業向けノンバンク事業主体から中小企業向けベンチャーキャピタル業務へ転換し、貸付債権等を売却。同22年3月期の営業収益は86億5900万円に縮小。さらに、同22年12月に貸金業の登録を取下げるなどして同23年3月期には40億1400万円となった。同23年3月末時点での貸付残高は121億8600万円、保証債務残高が52億6200万円なった。
平成21年3月期以降、ニッシン債権回収(株)(TSR企業コード:295250917、千代田区)や中小企業信用機構(株)(墨田区)の株式を一部譲渡したほか、同22年8月25日には第三者割当増資(約40億円)によりネットワークとの関係解消を進めていた。こうしたなか9月10日、日本振興銀行が破綻。同行とは株式の保有・貸付金などの取引があり、同23年3月期に投資有価証券評価損22億7800万円、貸倒引当金繰入額70億2900万円など特別損失97億3700万円を計上したことで204億2500万円の当期純損失を計上し、債務超過に転落した。
その後も厳しい資金繰りを余儀なくされ、大口債権者との間で協議を行い再建に向けた交渉を進めていたが、賛同を得られる見通しが立たず今回の措置となった。
神戸市住宅供給公社(TSR企業コード:662009266、神戸市中央区雲井通5-3-1、設立昭和40年11月、出資金1000万円、石井陽一理事長、従業員105名)は、5月22日神戸地裁に民事再生法の適用を申請した。住宅供給公社の民事再生手続は初のケース。監督委員は安藤猪平次弁護士(六甲法律事務所、神戸市中央同区明石町48、電話078-391-4848)。負債総額は503億500万円。
昭和40年6月施行の地方住宅供給公社法に基づいて設立された住宅供給公社。地元における住宅供給業務を中心に事業を展開、平成7年1月に発生した阪神・淡路大震災以後の復興事業では民間企業との連携による様々な住宅インフラの回復に努め、賃貸管理事業(賃貸住宅管理事業・賃貸施設管理事業)を主力として、分譲事業(分譲住宅事業・分譲宅地事業)、受託事業、長期割賦事業を手がけていた。
しかし、平成13年度以後は大規模開発・供給方の分譲事業からは撤退、神戸市営住宅の管理業務に関しては同22年3月期をもって終了するなど事業規模の縮小傾向が続いてきた。また、過年度における分譲用事業資産並びに賃貸事業資産に対する資金負担が大きく、年間収入を大幅に超える有利子負債を抱えてきた。同23年3月期末時点で21億6592万円の債務超過と財務体質は劣化していた。
こうした中、神戸市の外郭団体の見直し議論を検討していた「都市計画総局外郭団体あり方検討委員会」から「清算型民事再生案の手続きを経たうえで、最終的には解散、清算することが適切」という内容の報告を受けた。資産を伴っていない借上特優賃事業等の事業は同24年4月1日付で神戸市都市整備公社が承継済み、資産を伴う賃貸事業等は民事再生手続に沿って同公社へ事業承継する予定。
(株)スタンドサービス(TSR企業コード:150082762、郡山市富田町字町西44-8、設立昭和62年7月、資本金3000万円、吉田幹夫社長、従業員121名)は、5月28日福島地裁郡山支部に民事再生法の適用を申請した。申請代理人は御山義明弁護士(御山義明法律事務所、東京都中央区日本橋3-8-9、電話03-6225-2557)ほか。負債総額は72億2000万円。
主に福島県内でセルフ型ガソリンスタンド「まうちゅう」を運営するほか、ガソリンスタンド総合管理、焼肉レストラン、不動産賃貸業などを展開し平成23年9月期は年商約90億7300万円を計上した。同23年7月には集団食中毒事件を起こした「焼肉酒家えびす」運営会社の(株)フーズ・フォーラス(TSR企業コード:590207423、金沢市)から北陸、神奈川県内の全20店舗を約2億円で買収したうえ「ヴイ・ブリアン」の店名で順次、焼肉店をスタートした。
しかし、原油価格高騰に伴う粗利減少に加え、ガソリンスタンド業界の競合激化から赤字店舗が増加し収益は大きく悪化。さらに、焼肉店買収に伴う風評被害で当初見込んでいた収益をあげることができなかった。事業拡大に伴う負債増で約定弁済や運転資金への負担が重く資金繰りが悪化した。
エスケー食品(株)(TSR企業コード:660229234、神戸市西区伊川谷町潤和1110、設立昭和48年4月、資本金1億4000万円、菅野時雄社長、従業員70名)は、5月25日神戸地裁に民事再生法の適用を申請した。監督委員は田辺重徳弁護士(田辺法律事務所、神戸市中央区多聞通3-3-7、078-351-2880)が選任された。負債総額は51億円。
業歴40年以上の冷凍調理食品製造業者。エビやイカなどを原材料とした冷凍調理品を主体に多様な商品構成を展開、原材料調達からの一貫管理体制の整備に取り組んできたほか、インドネシアの子会社では抗生物質や抗菌剤を使用しない稚エビ育成に成功するなど実績は高く、ピーク時の平成4年12月期には年商76億1272万円を計上していた。
しかし、最近はデフレが続くなか年商規模は50億円台にとどまっていた。また、30億円以上の借入金を抱えていたため年間7000万円以上の支払利息が収益を圧迫した。こうしたなか、最近の急激な為替変動に伴いデリバティブでの損失も発生するなどで支えきれなくなった。
(株)カズキ高分子(TSR企業コード:575172754、大阪市中央区南本町2-1-10、設立平成15年10月、資本金1億1780万円、木村一恵社長、従業員60名)は、5月31日大阪地裁に民事再生法の適用を申請した。監督委員は加藤清和弁護士(梅田総合法律事務所、大阪市北区堂島浜1-1-5、電話06-6348-5566)が選任された。負債総額は43億7000万円。
FRP製品の扱いを手がけるコンポジット事業部、ポリ塩化ビニル(PVC)原料の製造販売を手掛けるポリマー事業部、ペンや修正液などのステーショナリー事業部など大別して3事業で化成品関連事業を展開していた。積極的な事業展開から業容が年々拡大、コンポジット事業での風力発電関連の受注増加などもあってピークとなる平成21年2月期に年商47億4609万円を計上していた。
しかし、同期の損益は、関係の強い取引先への貸付金や前渡金などを含む9億6467万円の貸倒損失を計上し、7億7771万円の最終赤字となった。
その後、市況低迷に加えて主要販売先との取引解消や材料購入資金の不足などから大口案件の受注を見送ったこともあり、平成22年2月期の年商は19億3470万円にまで低下。固定資産の売却損などで連続して赤字を計上、その後も業績は低迷し、同23年2月期の年商も約14億円にとどまっていた。
平成24年2月期に入り、東日本大震災の影響から塩ビパイプ向けの案件が増加するなど追い風はあったものの、コンポジット事業での案件は先延ばしになるなど厳しい推移が続いていた。
この一方で、過去の本社物件取得や出雲工場の開設資金、製造設備への投資などから借入負担が膨らみ余裕の無い資金運営が続いていたため、借入金の返済条件緩和を要請するほか、社有物件の売却なども進めるなどして立て直しを図ったが、平成24年5月末日の手形決済のメドが立たなくなった。
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