(株)上月カントリー倶楽部(兵庫県佐用郡佐用町早瀬669−1、設立昭和41年5月、資本金2000万円、山田一男社長、従業員2名)は4月26日、債権者より大阪地裁へ会社更生手続開始を申し立てられ、5月31日同地裁より更生手続開始決定を受けた。申立代理人は、尾崎幸弘弁護士(神戸市中央区多聞通4−1−3 ナカヤマビル2F、電話078−366−5627)他2名。管財人には印藤弘二弁護士(はばたき綜合法律事務所、大阪市北区西天満4−4−18 梅ヶ枝中央ビル7F、電話06−6363—7800)が選任されている。負債は会員権の預託金約114億円を含め約227億円。
同社は昭和41年3月、山一興産(株)として大阪市にて設立。平成1年3月、ゴルフ場の経営を目的に(株)上月カントリー倶楽部に商号変更。平成5年4月、総工費約200億円を以って上月カントリー倶楽部をオープン。約840名の会員を擁し、ピーク時の平成6年には年間来場者数42000人を数えた。しかし、ゴルフ場開発費用が予定外に膨らみ多額の借入金を抱えていたうえ、それ以後は来場者数の減少が続き経営が悪化し、多額の債務超過状態にあった。
平成11年11月より会員権預託金の返還請求が始まったが、その原資難から会員権の分権及び預託金据置期間の10年延長等で対応していた。また、平成14年12月よりゴルフ場の運営は関連会社の(株)上月グリーンマネジメント(兵庫県佐用郡佐用町上秋里1061、設立昭和50年11月、資本金1000万円、齋藤亮社長)に移管し、当社はゴルフ場不動産の賃貸と会員権の手続業務のみに転換していた。
しかし、金融機関等から競売開始を申し立てられるなど経営内容が改善されなかったことから、会員有志が経営改善を求めて会社更生手続開始を申し立てていた。
三洋薬品工業(株)(台東区東上野1−8−6、設立昭和30年7月、資本金4億円、榎通雄社長、従業員1075名)は6月19日、東京地裁に民事再生手続開始を申し立てた。申立代理人は増岡研介弁護士(新宿区愛住町1、電話03−3357−3775)、監督委員には永島正春弁護士(千代田区丸の内3−3−1、電話03−3211−1791)が選任された。負債は債権者1923名に対し約124億3300万円。
同社は昭和5年8月創業、同30年7月に法人化。同37年に生理用ナプキン製造を開始して以来、清浄綿、お産パットなど紙綿製品製造を展開し業容を拡大、特に医療機関向けの産科用品ではトップクラスのシェアを占めていた。その後、OEM商品を主体とした救急医療品や健康食品の配置薬事業にも参入、近年は紙綿製品製造(40%)、配置薬・健康食品(60%)の割合で推移、ピークとなる平成12年7月期には年商189億2400万円をあげていた。
しかし、その後は医薬品の規制緩和の影響に伴い、配置薬部門で同業他社との競合が激化。売上・収益ともに減少し、平成18年7月期には年商154億400万円にまで落ち込み、同期に事業所の統廃合を進めたため営業所撤退損失6億7000万円を含め11億7800万円の最終損失を計上。一方、従来から商品仕入サイトに対し受取サイトが長く資金繰りの悪化が課題となっていたが、ここにきて売上減少が資金繰りにも影響を招き、民事再生法による再建を図ることとなった。
(株)日新(名古屋市中区金山4−1−20、設立昭和62年6月、資本金1億円、津村達也社長)は5月24日、名古屋地裁にて特別清算手続開始が決定した。負債は約105億円。
同社は、昭和62年6月に名古屋市中川区において、親会社であった旧・日新観光(株)向けのクリーニング業を行うべく(株)サンケア・サービスとして設立された。平成11年5月に日新観光(株)に商号変更。平成12年11月には旧・日新観光(株)を吸収合併している。本社同所、名古屋駅前、愛知県七宝町に店舗を構え、遊技場・サウナ・カプセルホテルなどを経営。ピーク時の平成16年4月期には年商203億5100万円をあげていた。
また、関連会社を数社有し、多角的に事業を展開。特にバブル期には旧・日新観光(株)において不動産事業も手がけていたが、その事業拡大が裏目となり、多額の含み損を抱えるに至った。順次、不動産を売却した他、人員の削減などで事業規模を縮小したが、多額の金融債務の削減は遅々として進まなかった。その後、金融機関による事業再生ファンドへの債権譲渡が実施されるなど再建への道を模索していたが、主力となる遊技場部門での業績悪化から資金的にも厳しくなり、平成18年12月に会社分割し新会社・日新観光(株)(名古屋市中区金山4−1−20、資本金1000万円、津村達也社長)に事業を移管。
同社は(株)日新に商号変更した。平成19年1月30日の株主総会で解散を決議し、平成19年2月1日に特別清算手続開始を申し立てていた。なお、申立代理人は山崎圭弁護士(名古屋市東区東桜1−3−8、電話152−950−2888)他1名。
(株)豊栄リゾート(佐賀県杵島郡江北町山口花祭1026−3、設立平成4年4月、資本金3000万円、徳久仁社長、従業員75名)は6月8日、東京地裁に民事再生手続開始を申し立て、6月14日開始決定を受けた。申立代理人は植松泰子弁護士(シティ法律事務所、東京都港区虎門東洋共同ビル6F、電話03−3580−0123)。負債は約99億9800万円。
同社は平成15年12月に負債135億円を抱え民事再生手続開始を申し立てた(株)豊栄建設の子会社で、平成4年4月ゴルフ場経営を目的に設立。当初「花祭りゴルフ倶楽部」は豊栄建設が総工費95億円を投下して平成8年5月オープンしていたが、平成9年3月から同社が運営。元々、計画通り会員権が販売できず、40数億円を金融機関で調達、また、 親会社に対する未払金9億円を抱え外部依存の高い資金繰りが続き、平成15年1月からの会員権償還の原資確保も出来ていなかった。
親会社の民事再生手続開始申し立て後も、事業は継続していたが年商4億円台を維持するのが精一杯で、財務内容も大幅な債務超過を抱え、会員からは預託金の返還訴訟も発生し、成り行きが注目されていた。
(株)西神オリエンタル開発(神戸市西区糀台5−6−3、設立平成2年3月、資本金1億円、田中章生社長)は、4月6日開催の株主総会で解散を決議していたが、5月31日神戸地裁に特別清算手続開始を申し立て、6月7日開始決定を受けた。申立代理人は佐藤容子弁護士(佐藤法律事務所、神戸市中央区多聞通3−3−16甲南第1ビル5F、電話078−351−2116)。負債は約84億6200万円。
同社は、神戸市西区、市営地下鉄西神中央駅前に所在する都市型ホテル、「西神オリエンタルホテル」の経営母体。平成2年3月、大手スーパー(株)ダイエーの系列企業の出資で設立(その後ダイエー100%出資となる)。平成5年6月「神戸西神オリエンタルホテル」を開業。同ホテルは、客室184室、コンベンションホールや宴会場を多数備えた大型ホテルで、西神地区の中核施設として位置づけられていた。
しかし、いわゆるバブル期に建設された施設のため、初期投資の負担が大きかったほか、新興住宅地に立地する条件の悪さもあり、業績は赤字決算が続いていた。平成16年12月には産業再生機構の支援が決定、以後は同機構の指導下で再建を図った。しかし、その後も赤字基調は変わらず、平成18年2月期は年商24億3600万円、当期損失3億9800万円という実績で、95億9200万円の債務超過の状態にあった。
ダイエーのコア事業への経営資源の集中という再建方針に基づき、平成17年11月にはマンションデベロッパーの(株)ヒューザー(東京都千代田区)への事業譲渡が決定したが、その後ヒューザーの耐震偽装問題発生が発生したことで同社への売却は白紙撤回。平成18年6月に事業投資ファンド運営会社(株)ジェイ・ウィル・パートナーズ(東京都千代田区)の子会社(有)ジェイ・ピー・ティー(東京都中央区、特別目的会社)にダイエーが持つ全株式が売却された。以降、ホテルの運営は同ファンドグループの関連会社に委ねられ、同社は最終処理のため特別清算手続開始を申し立てることとなった。
関連サービス
人気記事ランキング
2024年の「学習塾」倒産 件数、負債が過去最多 少子化と競争が激化、淘汰の時代に
大学受験予備校などを含む「学習塾」の倒産は、2024年は53件(前年比17.7%増)に達し、2000年以降では2023年の45件を超えて、過去最多を更新した(速報値)。 また、負債総額も117億4,400万円(同827.6%増)で、2023年(12億6,600万円)の9.2倍増と大幅に増え、2000年以降で過去最多となった。
2
2025年の展望=2024年を振り返って(11)
2025年は「私的整理の法制化」が本格的に動き出すが、企業倒産は厳しい見方が有力だ。企業自ら自立し、将来ビジョンをしっかり地に足をつけて描くことが求められる。
3
2025年の“周年企業”最長の900周年は「冠稲荷神社」 「100周年」は2,000社、創業100年超は4万6,601社
2025年は巳年。金運の象徴といわれる蛇にまつわる縁起の良い年と言われる。そんな年に創立900周年(1125年創業)を迎えるのが 「冠稲荷神社」(群馬県)だ。そして、800周年(1225年創業)は、「くじ取らず」の鉾として京都祇園祭で山鉾巡行の先頭を行く「長刀鉾保存会」が名を連ねる。
4
脱毛サロン「ミュゼプラチナム」3度の運営会社が変更 ~「船井電機」倒産余波の真相~
船井電機(株)が破産開始決定を受けて以降、脱毛サロン「ミュゼプラチナム」への関心が高まっている。これまでの運営会社の変遷をまとめた。
5
倒産増加と審査部の真価=2024年を振り返って(5)
審査担当者は長らく、肩身の狭い思いをしてきた。リーマン・ショックの影響が収まらない2009年12月、中小企業金融円滑化法が施行された。これは窮境状態にある企業に金融機関がとどめを刺すことを戒める法律で、返済猶予の件数報告が義務化された。これ以降、企業倒産は減少をたどった。